[令和7年4月1日現在法令等]
所得税
(1)特定中小会社が発行した株式の取得に要した場合
平成15年4月1日以後に、居住者等(特定中小会社の同族株主など一定の者を除きます。)が、特定中小会社の株式(以下「特定株式」といいます。)を払込み(株式の発行に際してするものに限ります。)により取得(いわゆるストック・オプション税制の適用を受けるものを除きます。)をした場合における一般株式等に係る譲渡所得等の金額または上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算については、その年中に払込みにより取得をした特定株式(その年12月31日において有する一定のものに限ります。以下「控除対象特定株式」といいます。)の取得に要した金額の合計額(この特例の適用前の一般株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額(以下「適用前の株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額」といいます。)を限度とします。)が控除されます。
また、令和8年1月1日以後に控除対象特定株式を払込みにより取得をした居住者等は、その年において生じた「特定株式控除未済額」(注1)がある場合には、原則としてその年分の確定申告書の提出と同時に、所轄税務署長に対し、その年の前年分の所得税額のうちその特定株式控除未済額に対応する部分の金額の還付を請求することができます(注2)。
(注1)「特定株式控除未済額」とは、その年分の適用前の株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額が、その年中における控除対象特定株式の取得に要した金額の合計額に満たない場合におけるその満たない部分の金額のうち、下記「特例の対象となる特定株式」の(1)と(2)に掲げる特定株式に相当する部分の金額(取得に要した金額の割合で按分計算した金額)をいいます。
(注2)所得税の還付の請求は、①その年の前年分の所得税につき、その年中に下記「特例の対象となる特定株式」の(1)と(2)に掲げる特定株式を払込みにより取得をする見込みである旨その他の一定の事項を記載した書類の添付がある確定申告書をその提出期限までに提出している場合であって、②その年分の確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り、適用することとされています。
なお、この特例の適用を受けた場合には、その適用を受けた年または特定株式控除未済額が生じた年(以下「適用年」といいます。)の翌年以後の各年分における控除対象特定株式に係る同一銘柄株式の取得価額について、一定の調整計算(取得価額からこの特例の適用を受けた金額を控除)が必要となります。
ただし、特例控除対象特定株式(控除対象特定株式のうちの一定のものをいいます。以下同じです。)(注3)の取得に要した金額の合計額についてこの特例の適用を受けた場合において、その適用を受けた金額として一定の金額(適用額)が20億円以下であるときは、その適用年の翌年以後の各年分における特例控除対象特定株式に係る同一銘柄株式の取得価額については、この調整計算が不要です(注4)。
(注3)特例控除対象特定株式とは、控除対象特定株式のうち下記「特例の対象となる特定株式」の(1)と(2)に掲げる株式会社で、その設立の日以後の期間が5年未満の株式会社であることその他の一定の要件を満たすものの特定株式に係るものをいいます。
(注4)令和8年1月1日以後に特例控除対象特定株式を払込みにより取得をした居住者等が、適用年の翌年1月1日から翌年12月31日までの間にその特例控除対象特定株式について一定の譲渡をした場合には、その適用年の翌年以後の各年分における特例控除対象特定株式に係る同一銘柄株式の取得価額について、追加で調整計算をする必要があります。
(2) 特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した場合
令和5年4月1日以後に、その設立の日の属する年において、中小企業等経営強化法第6条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社でその設立の日以後の期間が1年未満であることなどの要件を満たすもの(以下「特定株式会社」という。)の設立の際に発行される株式(以下「設立特定株式」という。)を、居住者等(特定株式会社の発起人であること、自らが営んでいた事業の全部または一部を承継させた個人等に該当しないことなどの要件を満たすもの)が、払込み(株式の発行に際してするものに限ります。)により取得(いわゆるストック・オプション税制の適用を受けるものを除きます。)をした場合における一般株式等に係る譲渡所得等の金額または上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算については、その年中に払込みにより取得をした設立特定株式(その年12月31日において有する一定のものに限ります。以下「控除対象設立特定株式」といいます。)の取得に要した金額の合計額(適用前の株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額を限度とします。)が控除されます。
また、令和8年1月1日以後に控除対象設立特定株式を払込みにより取得をした居住者等は、その年において生じた「設立特定株式控除未済額」(注1)がある場合には、原則としてその年分の確定申告書の提出と同時に、所轄税務署長に対し、その年の前年分の所得税額のうち設立特定株式控除未済額に対応する部分の金額の還付を請求することができます(注2)。
(注1)「設立特定株式控除未済額」とは、その年分の適用前の株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額が、その年中における控除対象設立特定株式の取得に要した金額の合計額に満たない場合におけるその満たない部分の金額をいいます。
(注2)所得税の還付の請求は、①その年の前年分の所得税につき、その年中に設立特定株式を払込みにより取得をする見込みである旨その他の一定の事項を記載した書類の添付がある確定申告書をその提出期限までに提出している場合であって、②その年分の確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り、適用することとされています。
なお、この特例の適用を受けた場合において、その適用を受けた金額(適用額)が20億円を超えるときは、その適用を受けた年または設立特定株式控除未済額が生じた年(以下「起業特例適用年」といいます。)の翌年以後の各年分における控除対象設立特定株式に係る同一銘柄株式の取得価額について、一定の調整計算(適用額から20億円を控除した残額を取得価額から控除)が必要(注3)となります。
(注3)適用額が 20 億円以下である場合には、上記の調整計算は不要です。ただし、令和8年1月1日以後に控除対象設立特定株式を払込みにより取得をした居住者等が、起業特例適用年の翌年1月1日から翌年12月31日までの間にその控除対象設立特定株式について一定の譲渡をした場合には、これらの適用を受けた金額のうち20億円以下の部分の金額について、その起業特例適用年の翌年以後の各年分における控除対象設立特定株式に係る同一銘柄株式の取得価額を追加で調整計算する必要があります。
この特例は、「起業特例」と呼ばれています。
特例の対象となる「特定株式」とは、次に掲げる特定中小会社の区分に応じ、それぞれ次に定める株式をいいます。
(1)中小企業等経営強化法第6条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社 その株式会社により発行される株式
(2)内国法人のうち、その設立の日以後10年を経過していない中小企業者に該当する一定の株式会社 その株式会社により発行される株式で、次に掲げるもの
イ 一定の投資事業有限責任組合契約に従って取得をされるもの
ロ 一定の第一種少額電子募集取扱業務を行う者が行う電子募集取扱業務により取得をされるもの
(3)内国法人のうち、沖縄振興特別措置法第57条の2第1項に規定する指定会社で平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に同項の規定による指定を受けたもの その指定会社により発行される株式
(4)内国法人のうち、認可金融商品取引業協会の規則においてその事業の成長発展が見込まれるものとして指定を受けている株式(いわゆるグリーンシート銘柄の一部)を発行する株式会社であって、その設立の日以後10年を経過していない中小企業者に該当する一定のもの その株式会社により発行される株式で、一定の金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限ります。)を通じて取得されるもの
(注)この株式については、平成31年4月1日前に払込みにより取得をしたものに限ります。
(5)内国法人のうち、地域再生法に規定する認定地域再生計画に記載されている特定地域再生事業を行う株式会社(平成28年3月31日までに同法の確認を受けたものに限ります。)で一定の中小企業者に該当するもの その株式会社により発行される株式で、その確認を受けた日から同日以後3年を経過する日までの間に発行される株式
(注)この株式については、平成28年4月1日前に払込みにより取得をしたものに限ります。
(6)内国法人のうち、地域再生法に規定する認定地域再生計画に記載されている地域再生に資する事業を行う特定地域再生事業会社であって、中小企業者に該当する一定の株式会社 その株式会社により発行される株式
(注)この株式については、平成22年4月1日前に払込みにより取得をしたものに限ります。
特例の対象となる「設立特定株式」とは、中小企業等経営強化法第6条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社で次の要件を満たすものによりその設立の際に発行される株式をいいます。
控除対象特定株式または控除対象設立特定株式の取得に要した金額(控除対象額(注))は、居住者等がその年中に払込みにより取得をした特定株式または設立特定株式の銘柄ごとに、「その払込みにより取得をした特定株式または設立特定株式の取得に要した金額の合計額」を「その取得をした特定株式または設立特定株式の数」で除して計算した金額に、「次の(1)の数から(2)の数を控除した株数(控除対象特定株式または控除対象設立特定株式数)」を乗じて計算した金額となります。
(1)その年中に払込みにより取得をした特定株式または設立特定株式の数
(2)その年中に譲渡または贈与したその特定株式または設立特定株式に係る同一銘柄株式の数
(注)上記「特例の対象となる特定株式」の(1)に掲げる株式会社に該当する特定中小会社に対する払込み(新株予約権の行使に際してするものに限ります。)により取得した新株予約権及び同(2)に掲げる株式会社に該当する特定中小会社に対する払込み(新株予約権の行使に際してするものに限ります。)により取得した新株予約権(同(2)イにより取得したものに限ります。)の行使により取得(いわゆるストック・オプション税制の適用を受けるものを除きます。)をした特定株式については、当該新株予約権の取得に要した金額を含めて控除対象額を計算します。
まず、この特例適用前の一般株式等に係る譲渡所得等の金額を限度として、その取得の日の属する年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除し、なお控除しきれない金額があるときは、この特例適用前の上場株式等に係る譲渡所得等の金額を限度として、その取得の日の属する年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除します。
なお、雑損失の繰越控除が行われる場合には、この特例の控除を行った後、雑損失の繰越控除を行います。
(1) 上記「概要」の⑴の特例の適用年の翌年以後の各年分における控除対象特定株式または特例控除対象特定株式に係る同一銘柄株式1株当たりの取得価額は、租税特別措置法通達「37の13-8」・「37の13-9」を参照してください。
(2) 上記「概要」の⑵の特例の起業特例適用年の翌年以後の各年分における控除対象設立特定株式に係る同一銘柄株式1株当たりの取得価額は、租税特別措置法通達「37の13の2-1」 を参照してください。
特定株式または設立特定株式を払込みにより取得した方(令和8年1月1日以後に控除対象特定株式または控除対象設立特定株式を払込みにより取得をした居住者等で所得税の還付を請求する場合には、その年において生じた特定株式控除未済額または設立特定株式控除未済額も必要になります。)
この特例の適用(所得税の還付を請求する場合を除きます。)を受けるためには、この特例の適用を受けようとする旨の記載があり、一定の書類を添付した確定申告書を提出することが必要です。
なお、この一定の書類は特定株式または設立特定株式の種類により異なります。
また、所得税の還付を請求するためには、その還付を受けようとする所得税の額、その計算の基礎その他一定の事項を記載した還付請求書(繰戻還付請求書)に、特定株式控除未済額または設立特定株式控除未済額の計算に関する明細書その他の一定の書類を添付して、原則としてその年分の確定申告書の提出と同時に提出することが必要です(注)。
(注)所得税の還付の請求は、①その年の前年分の所得税につき、その年中に上記「特例の対象となる特定株式」の(1)及び(2)に掲げる特定株式又は設立特定株式を払込みにより取得をする見込みである旨その他一定の事項を記載した書類の添付がある確定申告書をその提出期限までに提出し、②その年分の確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り、適用することとされています。
所轄税務署
措法37の13、37の13の2、措令25の12、25の12の2、措規18の15、18の15の2、平成22年改正法附則63、平成28年改正法附則72、平成31年改正法附則36、措通37の13-8、37の13-9、37の13の2-1
◆パンフレット・手引き
◆各種様式
・申告書添付書類一覧(所得税及び復興特別所得税(譲渡所得・山林所得関係)申告書添付書類)
◆関連する質疑応答事例《譲渡所得》
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