[令和7年4月1日現在法令等]
消費税
事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等について消費税を納める義務がありますが、その課税期間の基準期間(注)における課税売上高が1,000万円以下である場合には、一定の場合を除き、消費税の納税義務が免除されます。
(注)基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度(前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいいます。
この基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても消費税の納税義務が免除されないこととなる「一定の場合」の一つに、基準期間がない法人の取扱いがあります。
新たに設立された法人の設立1期目および2期目については、基準期間がありませんので、設立1期目および2期目は原則として納税義務が免除されますが、以下に記載する「新設法人に対する納税義務の免除の特例」または「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」に該当する場合には、納税義務は免除されず、課税事業者として消費税の申告が必要となります。
※ 適格請求書発行事業者は、基準期間における課税売上高や基準期間がない法人の納税義務の免除の特例の適用の有無にかかわらず、納税義務は免除されません。その他の消費税の納税義務が免除されない「一定の場合」については、コード6501「納税義務の免除」を参照してください。
※ 設立2期目を判定する場合において、設立1期目に特定期間が生じている場合には、特定期間の課税売上高等による納税義務の判定も必要となります。
その事業年度の基準期間がない法人(社会福祉法人を除きます。)(注)のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人(以下「新設法人」といいます。)は、その課税期間の納税義務は免除されません。
したがって、設立1期目または設立2期目のそれぞれの期首における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である場合には、その設立1期目または設立2期目は課税事業者となります。
例えば、資本金の額を1,000万円未満で設立した後、設立1期目の途中で増資したことにより資本金の額が1,000万円以上となった場合には、設立2期目は課税事業者となります。
なお、設立1期目または設立2期目のそれぞれの期首における資本金の額または出資の金額が1,000万円未満である場合には、①適格請求書発行事業者である場合、②特定期間における課税売上高等が1,000万円超える場合(設立2期目)、③消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となっている場合、④合併、分割があった場合の納税義務の免除の特例(消費税法第11条、第12条)の適用がある場合、⑤特定新規設立法人に該当する場合のいずれかに該当する場合を除き、免税事業者となります。
※ 上記の①から④については、コード6501「納税義務の免除」を参照してください。
(注)国外に本店がある外国法人の設立3期目以降の事業年度については、その事業年度の前々事業年度(基準期間)が存在することになりますが、その事業年度の基準期間がある外国法人が、当該基準期間の末日の翌日以後に、国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した場合には、当該事業年度は基準期間がないものとみなすこととされています(令和6年10月1日以後に開始する課税期間について適用されます。)。このため、設立3期目以降の外国法人が日本に進出して国内で事業を開始したような場合には、その日本進出1年目と2年目については、上記の資本金の額または出資金の額による納税義務の判定が必要になり、その日本進出1年目と2年目のそれぞれの事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が 1,000 万円以上である場合には、課税事業者となります。
その事業年度の基準期間がない(注1)資本金1,000万円未満の法人(社会福祉法人を除きます。以下「新規設立法人」といいます。)のうち、その事業年度開始の日において特定要件に該当し、さらにその新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となった他の者および他の者と特殊な関係にある法人(特殊関係法人)のうちいずれかの者(判定対象者)のその新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超える法人(注2)(以下「特定新規設立法人」といいます。)については、その課税期間の納税義務は免除されません。
なお、「特定要件」および「特殊関係法人」については、国税庁質疑応答事例「特定新規設立法人の納税義務免除の特例(特定要件の判定)」および「特定新規設立法人の納税義務免除の特例(特殊関係法人の範囲)」をご参照ください。
(注1)その事業年度の基準期間がある外国法人が、当該基準期間の末日の翌日以後に、国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した場合には、当該事業年度は基準期間がないものとみなすこととされています(令和6年10月1日以後に開始する課税期間について適用されます。)。
(注2)令和6年10月1日以後に開始する課税期間からは、判定対象者の基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超える場合に加え、売上金額、収入金額その他の収益の額の合計額が50億円を超える場合も、特定新規設立法人に該当します。この「売上金額、収入金額又はその他の収益の額の合計額」とは、国内において行われる資産の譲渡等の対価の額に限らず、国外において行われる資産の譲渡等の対価や資産の譲渡等の対価以外の収入も含みます。
基準期間のない事業年度開始の日において新設法人に該当することとなった場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を、また、特定新規設立法人に該当することとなった場合には、「消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することとされていますが、新設法人については、法人設立届出書に消費税の新設法人に該当する旨および所定の記載事項を記載して提出した場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」の提出があったものとして取り扱われます。
新設法人および特定新規設立法人が、基準期間がない各課税期間中に調整対象固定資産(注)の課税仕入れや調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の確定申告を一般課税で行う場合には、その調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間から当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は、免税事業者となることはできません。
また、その調整対象固定資産の仕入れ等を行った課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することもできません。
(注) 「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその付属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。
設立1期目および2期目で一定の要件に該当する法人
消法9、12の2、12の3、消規26、消基通1-5-15、1-5-18、1-5-20、1-6-1
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