[令和6年4月1日現在法令等]
所得税(譲渡所得)
令和7年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。さらに損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間繰り越して控除(繰越控除)することができます。
これらの特例を、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。なお、これらの特例は、新たなマイホーム(買換資産)を取得しない場合であっても適用することができます。
譲渡損失の損益通算限度額については、次のとおりです。
マイホームの売買契約日の前日における住宅ローンの残高から売却価額を差し引いた残りの金額が、損益通算の限度額となります(下図参照)。
(注)説明を簡潔にするため、減価償却などは考慮していません。
この特例の適用を受けるためには、次の4つの要件すべてに当てはまることが必要です。
(1)売った資産は、下記のイからホまでのいずれかに該当する資産であること(国内にある資産に限ります)。なお、この譲渡には借地権の設定などの譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けが含まれます。
イ 現に自分が住んでいる家屋
ロ 以前に住んでいた家屋(住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。なお、その家屋は、住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまいません)。
ハ 上記イまたはロの家屋とともに売ったその敷地や借地権
ニ 上記イまたはロの家屋を取り壊した場合の家屋およびその敷地、次の3つの要件すべてに当てはまるもの。
(イ) 取り壊された家屋およびその敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。
(ロ) その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
(ハ) 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
ホ 家屋が災害により滅失した場合のその敷地で、次の区分に応じた期限までに売るもの(これらの土地の場合は、住まなくなった後は、どのような用途に使用していてもかまいません。)
(イ) 上記イの家屋の敷地の場合は、災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。
(ロ) 上記ロの家屋の敷地の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。
(2)売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに5年を超えていること(家屋が災害により滅失した場合は、その家屋を引き続き所有していたならば、売った年の1月1日において所有期間が5年を超える家屋の敷地に限ります。)。
(3)譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること。
(4)マイホームの譲渡価額が上記(3)の住宅ローンの残高を下回っていること。
(1)損益通算および繰越控除の両方が適用できない場合
イ 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対してマイホームを売却した場合
「特別の関係がある人」には、このほか生計を一にする親族、家屋を売却した後その売却した家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係にある法人なども含まれます。
ロ マイホームを売却した年の前年および前々年に次の特例を適用している場合
(イ)居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例(措法31の3)
(ロ)居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例を除きます。)
(ハ)特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
(ニ)特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
ハ マイホームを売却した年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算の特例を適用している場合
ニ マイホームを売却した年またはその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5第1項)の適用を受ける場合または受けている場合
(2)繰越控除が適用できない場合
合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ適用できません。
なお、損益通算の特例については、所得金額の要件がありませんので、例えば、マイホーム(譲渡資産)を売って譲渡損失の金額が生じた年の合計所得金額が3,000万円を超える場合であっても損益通算の特例の適用を受けることができます。
(注)この特例と住宅借入金等特別控除は併用できます。
(1)損益通算の場合
確定申告書に次の書類を添付する必要があります。
なお、マイホームの売買契約日の前日においてそのマイホームを売った人の住民票に記載されていた住所とそのマイホームの所在地とが異なる場合などには、戸籍の附票の写し、消除された戸籍の附票の写しその他これらに類する書類でそのマイホームを売った人がそのマイホームを居住の用に供していたことを明らかにするものを、併せて提出してください。
イ 「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」
ロ 「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5の2用)」
ハ 売却したマイホームに関する次の書類
(イ)登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることを明らかにするもの
(ロ)「譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書」(売買契約日の前日のもの)
(2)繰越控除の適用を受ける年分
次のことが必要です。
イ 損益通算の適用を受けた年分について、上記(1)のすべての書類の添付がある期限内申告書を提出していること。
ロ 損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出すること。
<登記事項証明書の添付省略について>
土地・建物の登記事項証明書については、「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」に不動産番号を記載することなどにより、その添付を省略することができます。
<参考>東日本大震災に関する税制上の措置(概要)
被災居住用財産に係る譲渡期限の延長等の特例があります。
詳しくは、「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)】」をご覧ください。
所轄税務署
措法41の5の2、措令26の7の2、措規18の26、措通41の5-5、41の5-7、41の5の2-7、震災特例法11の7
◆パンフレット・手引き
◆各種様式
・申告書添付書類一覧(所得税及び復興特別所得税(譲渡所得・山林所得関係)申告書添付書類)
画面の案内に沿って金額を入力することによりご自宅等で確定申告書等の作成・提出ができます。
必要な付表や明細書も、入力することで自動的に作成されます。
◆法務局ホームページ
◆災害関係
・東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて
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