[令和4年4月1日現在法令等]

対象税目

源泉所得税

概要

役員または使用人に対して退職手当等を支払うときには、所得税および復興特別所得税を源泉徴収して、原則として、翌月の10日までに納めなければなりません。

この退職手当等には、退職したことに基因して支払われるすべての給与が含まれますので、本来の退職手当のほかに功労金などを支給しても退職手当等に含めなければなりません。

(注) 死亡退職により支払う退職手当等で相続税の課税の対象となるものは、所得税の課税の対象とならないため、所得税および復興特別所得税の源泉徴収は必要ありません。

退職手当等に対する源泉徴収税額の計算のしかたは、退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合とで異なります。

「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合

(1) 退職する人の勤続年数を計算します。

勤続年数とは、原則として、退職手当等の支払者の下で退職の日まで引き続き勤務した期間(以下「勤続期間」といいます。)の年数(勤続期間に1年に満たない端数があるときは1年に切り上げます。)です。なお、支払者の下で勤務した期間には、支払者が相続人である場合の被相続人、支払者が合併法人である場合の被合併法人または支払者が分割承継法人である場合の分割法人の下で勤務した期間を含みます。

<勤続期間に含まれる期間>

1 長期の欠勤や病気での休職の期間(5に該当するものを除きます。)

2 過去に同一の支払者の下で勤務した期間(4、5、6に該当するものを除きます。)

3 その支払者または他の者の下で前に勤務した期間で、退職給与規程などの明らかな定めに基づき、退職手当等の支払金額の計算の基礎に含まれる期間

<勤続期間から除かれる期間>

4 日額表丙欄の適用を受けていた期間

5 他の支払者の下で勤務するために休職した期間(3に該当するものを除きます。)

6 その支払者から前に支払を受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎となった期間の末日以前の期間(3に該当するものを除きます。)

(2)上記(1)で計算した勤続年数に応じて、次の表により退職所得控除額を計算します。

<退職所得控除額の計算の表>

勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A
20年超 800万円+70万円×(A-20年)

なお、次に掲げる重複期間がある場合には、本年分の退職手当等の勤続年数に基づき上記表により算出した退職所得控除額から、重複期間の年数(重複期間に1年未満の端数がある場合には切り捨てます。)に基づき上記表により算出した退職所得控除額相当額を控除した残額が退職所得控除額となります。

1 本年分の退職手当等が、前年以前にその支払者または他の支払者から支払われた退職手当等の勤続期間を通算して計算している場合に、本年分の退職手当等の勤続期間と前年以前に支払われた退職手当等の勤続期間との重複期間

2 前年以前4年内(確定拠出年金の老齢給付金として支給される一時金の支払を受けた年分は前年以前14年内(令和4年4月1日以後に支払を受けるべきものは19年内))に他の支払者から支払われた退職手当等(以下「前の退職手当等」といいます。)がある場合に、本年分の退職手当等の勤続期間と前の退職手当等の勤続期間との重複期間

なお、前の退職手当等の収入金額が、前の退職手当等の勤続年数に基づき上記表により計算した額を下回る場合には、前の退職手当等の勤続期間はその期間の初日から次表の算式により計算した数(1未満の端数は切り捨てます。)に相当する年数を経過した日の前日までの期間であったものとして、本年分の退職手当等の勤続期間との重複期間の計算をします。

前の退職手当等の収入金額 算式
800万円以下の場合 収入金額÷40万円
800万円を超える場合 (収入金額-800万円)÷70万円+20

(注) 上記の方法により計算した額が80万円未満である場合には、退職所得控除額は80万円となります。また、障害者になったことが直接の原因で退職した場合の退職所得控除額は、上記の方法により計算した額(80万円未満の場合は80万円)に、100万円を加えた金額となります。

(3) 退職手当等の区分に応じて次の算式により課税退職所得金額を計算します。

※ 短期退職手当等については、令和4年1月1日以後に支払うべき退職手当等について適用されます。

退職手当等の区分 課税退職所得金額
一般退職手当等の場合(※1) (一般退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2
特定役員退職手当等の場合(※2) 特定役員退職手当等の収入金額-退職所得控除額
短期退職手当等の場合(※3) ①短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額≦300万円の場合
(短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2
②短期退職手当等の収入金額-退職所得控除額>300万円の場合
150万円+{短期退職手当等の収入金額-(300万円+退職所得控除額)}

(※1) 一般退職手当等とは、退職手当等のうち、特定役員退職手当等および短期退職手当等のいずれにも該当しないものをいいます。

(※2) 特定役員退職手当等とは、役員等としての勤続年数(以下「役員等勤続年数」といいます。)が5年以下である人が支払を受ける退職手当等のうち、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいいます。

(※3) 短期退職手当等とは、短期勤続年数(役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数が5年以下であるものをいい、この勤続年数については、役員等として勤務した期間がある場合には、その期間を含めて計算します。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないものをいいます。

(注1) 課税退職所得金額に1,000円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

(注2) 同じ年に一般退職手当等、特定役員退職手当等または短期退職手当等のうち2以上の退職手当等がある場合に該当するときは、課税退職所得金額の計算方法が異なります。

(4)上記(3)の課税退職所得金額に応じて、「退職所得の源泉徴収税額の速算表」の「税額」欄の算式に従い計算した額が、源泉徴収する税額になります。

「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていない場合

退職手当等の支給額に20.42パーセントの税率を乗じて計算した所得税および復興特別所得税の額(1円未満の端数は切り捨てます。)を源泉徴収します。

この場合には、退職手当等の受給者本人が確定申告をして、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と同様の計算を行い所得税および復興特別所得税の精算をすることになります。

(注) 支払者が所定の要件(※)を満たす場合には、「退職所得の受給に関する申告書」は電磁的方法により提供することができます。

※  所定の要件とは、支払者が次の3点の措置を講じていることです。

1 記載事項の提供を適正に受けることができる措置

2 記載事項の提供した者を特定するための必要な措置

3 提供を受けた記載事項について、電子計算機の映像面への表示、書面への出力をするための必要な措置

具体例

1 「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合

(例1)

退職金の支給額が800万円、勤続期間が10年2か月の場合

イ 勤続年数は、11年になります。(1年未満の端数は1年に切上げ)

ロ 退職所得控除額 40万円 × イの勤続年数 = 40万円 × 11年 = 440万円

ハ 課税退職所得金額 (退職金の支給額 - ロ)× 1/2

=(800万円 - 440万円)× 1/2 = 180万円

ニ 税額 (ハ × 税率 - 控除額)× 102.1% = 180万円 × 5% × 102.1% = 91,890円

この場合の源泉徴収税額は、91,890円になります。

(例2)

退職金の支給額が2,300万円、勤続期間が29年2か月の場合

イ 勤続年数は、30年になります。(1年未満の端数は、1年に切上げ)

ロ 退職所得控除額 800万円 + 70万円 ×(イの勤続年数 - 20年)

= 800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円

ハ 課税退職所得金額 (退職金の支給額 - ロ)× 1/2

=(2,300万円 - 1,500万円)× 1/2

= 400万円

ニ 税額 (ハ × 税率 - 控除額)× 102.1% =(400万円 × 20% - 427,500円)× 102.1% = 380,322.5円

⇒380,322円(1円未満の端数は切り捨てます。)

この場合の源泉徴収税額は、380,322円になります。

2 「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていない場合

(例)

退職金の支給額が800万円の場合

退職金の支給額 × 20.42% = 800万円 × 20.42% = 1,633,600円

この場合の源泉徴収税額は1,633,600円になります。

根拠法令等

通法118、119、通令40、所法9、22、30、120、122、198、199、201、203、所令69、69の2、70、319の2、319の4、所基通9-17、30-6、30-7、30-9~11、復興財確法28、31

関連リンク

◆パンフレット・手引き

源泉所得税関係

源泉徴収税額表関係

◆関連する税務手続

[手続名]退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)

◆関連する質疑応答事例《源泉所得税》▼ひらく

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