【照会要旨】

 同一年中に2か所から退職手当の支給を受けましたが、後で支給された退職手当の支払者に対して支払済の退職手当の額等を記載しないで「退職所得の受給に関する申告書」を提出したため、本来の源泉徴収すべき税額に比して不足が生じています。
 この場合、源泉徴収義務者は退職手当等の受給者からの申告に基づき適法に源泉徴収していることとなるので、徴収不足税額は確定申告により精算して差し支えありませんか。

【回答要旨】

 徴収不足税額を確定申告で精算することはできません。

 「退職所得の受給に関する申告書」には、支払済の他の退職手当等があるかどうか及びその支払済の退職手当等があるときはその金額を記載しなければならないこととされており(所得税法第203条第1項)、その記載がない申告書は記載事項に誤りのある申告書となります。
 退職手当等の支払者は、提出を受けた退職所得の受給に関する申告の記載事項に誤りがあったことにより生じた徴収不足税額があることを知った場合には、直ちにその不足税額を徴収し納付することとされています(所得税基本通達203-3、194〜198共-1)。
 したがって、徴収不足税額は、退職手当等の支払者の下で是正しなければならないこととなり、確定申告で精算することはできません。

【関係法令通達】

 所得税法第203条第1項、所得税基本通達203-3、194〜198共-1

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。