[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

源泉所得税

概要

役員や使用人が海外の支店などに1年以上の予定で転勤した場合には、一般的には所得税法でいう非居住者、1年未満であれば居住者になります。

ここでは、年の中途で非居住者になった役員や使用人に対する源泉徴収のしかたについて、海外に出国する前と出国した後に分けて順に説明します。

海外に出国する前

扶養控除等(異動)申告書を提出した居住者で、その年の年末調整の対象となるその年中に支払うべきことが確定した給与等の支給額が2,000万円以下である者が、1年以上の予定で海外に転勤することになった場合には、給与等の支払を行う者は、その居住者が海外に出国する日までに、年末調整をしなければなりません。

なお、社会保険料生命保険料などの保険料控除は、出国する日(居住者であった期間)までに支払われたものに限られます。

一方、扶養控除配偶者控除(または配偶者特別控除)などは、出国の時に控除の対象となる者に係る所得控除額を控除できます。控除対象となるかどうかは次により判定します。

(1)生計を一にしていたかどうかおよび親族関係にあったかどうか:出国の時の現況

(2)合計所得金額の判定:出国の時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの合計所得金額

また、出国の時にその年の合計所得金額が2,500万円以下の者は、基礎控除に係る所得控除額を控除できます。

出国の時にその年の給与等の収入金額が850 万円を超える者で、特別障害者に該当する者または年齢23 歳未満の扶養親族を有する者もしくは特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する者の総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000 万円を超える場合には、1,000 万円)から850 万円を控除した金額の10パーセントに相当する金額を、所得金額調整控除として給与所得の金額から控除できます。

(注) 年末調整において、配偶者(特別)控除、基礎控除、保険料控除および所得金額調整控除の適用を受けようとする場合は、所要の事項を記載した「給与所得者の配偶者控除等申告書」、「給与所得者の基礎控除申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」を提出しなければなりません。

海外に出国した後

非居住者となった役員や使用人に出国後に給与等を支払う場合ですが、役員と使用人では、源泉徴収のしかたが異なります。

海外勤務に対する報酬であっても、内国法人の役員として受ける報酬は、国内源泉所得に該当することから、20.42パーセントの税率で源泉徴収が必要です。

ただし、その役員が、海外支店の支店長など使用人としての立場で常時海外において勤務している場合には、源泉徴収の必要はありません。

また、非居住者となった使用人の海外における勤務に対する給与等は、国内源泉所得に該当しないことから源泉徴収の必要はありません。

しかし、海外で勤務している使用人や使用人として常時海外で勤務している役員に対して国内において賞与、ボーナスなどが支払われ、その計算期間内に日本で勤務した期間が含まれている場合には、日本での勤務期間に対応する金額に対して20.42パーセントの税率で源泉徴収が必要です。

具体的には、給与等の総額のうち、国内において行った勤務に対応する部分の金額は、原則として、次の算式により計算することになります。

【算式】

なお、給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となった場合、給与等の計算期間が1か月以下であれば、給与等の計算期間のうちに日本での勤務期間が含まれていても源泉徴収をしなくてもよいことになっています(給与等の全額が日本での勤務に対応する場合には、20.42パーセントの税率で源泉徴収が必要です。)。

根拠法令等

所法2、7、85、161、162、164、190、194、195の2、195の3、196、212、213、所令285、復興財確法28、所基通85-1、161-41、161-42、190-1、212-5、措法41の3の4

関連リンク

◆関連する税務手続

[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告

◆関連する質疑応答事例《源泉所得税》

年の中途で出国し非居住者となった者が後発的事由により帰国し居住者となった場合の年末調整

給与の計算期間の中途で非居住者となった者に支給する超過勤務手当(基本給との計算期間が異なる場合)

国外において常時使用人として勤務する役員に支払われる役員賞与

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