[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税

概要

損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの(損益通算の対象となる所得の範囲(1)から(4)記載の所得)についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。

損益通算の対象となる所得の範囲

所得の金額の計算上損失が生じた場合に、損益通算の対象となる所得は次の所得です。

(1) 不動産所得

(2) 事業所得

(3) 譲渡所得

(4) 山林所得

(注1) 利子所得および退職所得は、所得金額の計算上損失が生じることはありません。

(注2) 配当所得、給与所得、一時所得および雑所得の金額の計算上損失が生じることはありますが、その損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできません。

(注3) 生活に通常必要でない資産に係る所得の金額の計算上生じた損失は、競走馬の譲渡に係るもので一定の場合を除き、他の各種所得の金額と損益通算できません。

なお、生活に通常必要でない資産とは、次に掲げる資産です。

(1) 競走馬、その他射こう的行為の手段となる動産

(2) 主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産

(3) 主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)

(4) 生活の用に供する動産で、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等

※上記(3)については、平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用されます。

(注4) 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、次に掲げるような損失の金額は、その損失が生じなかったものとみなされ、他の各種所得の金額から控除することはできません。

(1) 別荘等の生活に通常必要でない資産の貸付けに係るもの

(2) 土地(土地の上に存する権利を含みます。)を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額

(3) 一定の組合契約に基づいて営まれる事業から生じたもので、その組合の特定組合員に係るもの

(4) 令和3年分以後の各年において、国外中古建物から生じた不動産所得の損失のうち、当該建物の耐用年数を「簡便法」等により計算した減価償却費に相当する部分の金額

なお、国外中古建物を2以上有する場合は、国外中古建物ごとに計算した償却費のうち、次の区分に応じて計算した金額の合計額となります。

イ 当該償却費の額が当該建物の貸付けによる損失の金額を超える場合・・・・・当該損失の金額

ロ 当該償却費の額が当該建物の貸付けによる損失の金額以下の場合・・・・・当該損失のうち当該償却費の額に相当する金額

※(4)により生じた損失は、国内にある不動産から生ずる不動産所得との内部通算(いわゆる所得内通算)もできません。

(注5) 申告分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失がある場合は、株式等に係る譲渡所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。

また逆に、株式等に係る譲渡所得等以外の所得の損失も、株式等に係る譲渡所得等の金額との損益通算はできません。

ただし、平成21年分以後の所得税の確定申告において、上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額(平成28年分以後の確定申告については、上場株式等の配当等に係る利子所得の金額および配当所得の金額)から控除することができます(当該上場株式等に係る配当所得の金額(平成28年分以後の確定申告については、上場株式等の配当等に係る利子所得の金額および配当所得の金額の合計額)を限度とします。)。

(注6) 申告分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失がある場合は、先物取引に係る雑所得等以外の所得の金額との損益通算はできません。

また逆に、先物取引に係る雑所得等以外の所得の損失も、先物取引に係る雑所得等の金額との損益通算はできません。

(注7) 譲渡所得の金額の計算上生じた損失のうち、一定の居住用財産以外の土地建物等の譲渡所得の金額の計算上生じた損失がある場合は、土地建物等の譲渡所得以外の所得の金額との損益通算はできません。

また逆に、土地建物等の譲渡所得以外の所得の損失も、土地建物等の譲渡所得の金額との損益通算はできません。

根拠法令等

所法69、所令178、措法31、32、37の10、37の11、37の12の2、41の4、41の4の2、41の4の3、41の5、41の5の2、41の14、措令26の6の3、平20改正法附則47、平26改正所令附則5

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