[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税

概要

事業所得不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

必要経費の算入時期

必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。

つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、 逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。

この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件をすべて満たす場合をいいます。

(1)その年の12月31日までに債務が成立していること。

(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。

災害に関する措置

特定非常災害に関する税制上の措置(概要)

令和5年4月1日以後に発生する特定非常災害により事業用資産などに被害を受けた個人事業者の方については、個人事業者の方の有する棚卸資産や事業用資産等につき当該特定非常災害により生じた損失(以下「特定被災事業用資産の損失」といいます。)について、次に掲げるものの繰越控除の期間が5年(通常:3年)に延長される特例があります。

(1) 青色申告者の方でその有する事業用資産等(土地等を除きます。)の価額のうちに特定被災事業用資産の損失額の占める割合が10パーセント以上である方は、被災事業用資産の損失による純損失を含むその年分の純損失の総額

(2) 青色申告者以外の方でその有する事業用資産等(土地等を除きます。)の価額のうちに特定被災事業用資産の損失額の占める割合が10パーセント以上である方は、その年に発生した被災事業用資産の損失による純損失と変動所得に係る損失による純損失との合計額

(3) (1)および(2)以外の方は、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額

(注)「特定非常災害」とは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第2条第1項の規定により特定非常災害として指定された非常災害をいいます。

東日本大震災に関する税制上の措置(概要)

(1)東日本大震災により事業用資産などに被害を受けた個人事業者の方には、①被災事業用資産の損失、②純損失の繰越控除および③被災代替資産の特別償却に係る税制上の措置があります。

詳しくは、「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【事業用資産や棚卸資産などに被害を受けた個人事業者の方】」をご覧ください。

(2)復興特別区域に係る税制上の特例措置として、①事業用設備等を取得等した場合の特別償却又は税額控除、②開発研究用資産を取得等した場合の特別償却又は税額控除および③被災者向け優良賃貸住宅を取得等した場合の特別償却又は税額控除があります。
また、特定激甚災害地域内における被災者向け優良賃貸住宅を取得等した場合の割増償却の措置があります。
詳しくは、「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)】」をご覧ください。

(3)被災した個人の方について、債務処理計画に基づく減価償却資産等の損失の必要経費算入の特例措置があります。
詳しくは、「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)】」をご覧ください。

注意事項

必要経費に算入する場合の注意事項については、次のとおりです。

(1)家事上の費用は必要経費となりませんが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。

(例)店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)

この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。

(2)必要経費になるものとならないものの例

イ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。

これは、土地や家屋に限らずその他の資産を借りた場合も同様です。ただし、例えば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になります。

ロ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。

(注)青色申告者でない人についての事業専従者控除の金額が、必要経費とみなされます。

ハ  業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。

(注)不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等を取得するために要した負債の利子の額は、不動産所得の計算上必要経費になりますが、不動産所得の金額が損失(赤字)となった場合には、その負債の利子の額に相当する部分の損失の額は生じなかったものとみなされ、他の所得金額との損益通算はできません。

ニ 業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります。

ホ 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。

ヘ 所得税や住民税は必要経費になりません。

ト 罰金、科料および過料などは必要経費になりません。

チ 公務員に対する賄賂などについては必要経費になりません。

根拠法令等

所法37、45、51、56、57、70、70の2、所令96、所基通37-1、37-2、37-27、45-1、45-2、措法41の4、震災特例法6、7、10の2、10の5~11の2、11の3の3、令5改正所法附則3

関連リンク

◆パンフレット・手引き

確定申告書等の様式・手引き等

記帳・帳簿等保存、青色申告

◆災害関係

東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて

関連コード

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