[令和6年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税、源泉所得税

概要

 所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。

 この源泉徴収制度は、①給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、②その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、③支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するというものです。

所得税を源泉徴収して国に納める義務のある人を源泉徴収義務者といいます。

源泉徴収の対象とされている所得の支払者は、それが会社や協同組合である場合はもちろん、人格のない社団・財団や個人の方であっても、全て源泉徴収義務者となります。

ただし、常時2人以下の家事使用人だけに給与を支払っている個人は、その支払う給与や退職金について源泉徴収をする必要はありません。

また、給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬などの報酬・料金については、源泉徴収をする必要はありません(例えば、給与所得者が確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)。

給与支払事務所等の開設届出書

国内において会社や個人が、新たに給与の支払を始めて、源泉徴収義務者となる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を、給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出することになっています。

この届出書の提出先は、給与を支払う事務所、事業所その他これらに準ずるものなどの所在地を所轄する税務署長です。

ただし、個人が新たに事業を始めたり、事業を行うために事務所を設けたりした場合には、「個人事業の開業等届出書」を提出することになっていますので「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要はありません。

計算方法・計算式

源泉徴収税額の計算方法

給与を支払う際に源泉徴収をすることとなる税額の算定方法は、その支払う給与が賞与である場合と賞与以外の給与である場合とでは異なっていますので、税額の算定に当たっては、その支払う給与を賞与とそれ以外の給与とに区分する必要があります。

賞与以外の給料や賃金などを支払う際に源泉徴収をする税額は「給与所得の源泉徴収税額表」によって求めます。

平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得については、源泉所得税を徴収する際に、源泉徴収すべき所得税の額に2.1パーセントの税率を乗じて計算した復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税と併せて納付しなければならないこととされていますから、平成25年分以降の「源泉徴収税額表」の税額は、復興特別所得税相当額が含まれています。

この税額表には、月額表と日額表とがあります。

給与の支給区分に応じて使用する税額表が決められ、さらに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下「扶養控除等申告書」といいます。)の提出の有無に応じて税額表の適用する欄が違います。

例えば、給料が月払いで「扶養控除等申告書」を事業主に提出している人の場合は、月額表の甲欄を適用して源泉徴収税額を求めます。提出していない人の場合は月額表の乙欄を適用することになります。

なお、賞与に対する源泉徴収税額は、通常、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って求めますが、月額表を使って求める場合もあります。

手続き

申告等の方法

源泉徴収した所得税および復興特別所得税の納付については、次のとおりです。

源泉徴収義務者が源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則、その源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日までに併せて納付しなければならないことになっています。

源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税は、その合計額をe-Taxを利用して納付するか又は「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて最寄りの金融機関若しくは所轄の税務署の窓口で納付します。「所得税徴収高計算書(納付書)」の記載に当たっては、住所、氏名や税務署から通知された整理番号などの記入漏れがないようにしてください。

なお、源泉徴収した所得税および復興特別所得税を納付する際には、これらの金額を区分することなく、その所得税および復興特別所得税の合計額を納付書に記載して納付します。給与の支給人員が常時9人以下のときは、源泉徴収した所得税および復興特別所得税の納期が毎月ではなく、7月と翌年の1月の年2回にまとめられる特例があります。この特例は、給与や退職手当、税理士などの報酬・料金について源泉徴収した所得税および復興特別所得税に限られています。納期の特例の適用を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出してください。

この申請書を提出した日の属する月の翌月末日までに税務署長から承認又は却下の通知がない場合には、その申請月の翌月末日において承認があったものとされ、その申請月の翌々月の納付分からこの特例が適用されます。

なお、納期の特例の適用を受けるための申請書は、いつでも提出することができます。

この申請書の提出先は、給与の支払事務を取り扱う事務所等の所在地を所轄する税務署長です。

(注1)納付期限の日が、日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限となります。

(注2)居住者に対し国内において給与等の支払をする者は、その支払の際、その給与等について徴収して納付すべき所得税の額がない場合においても、「所得税徴収高計算書(納付書)」を提出するものとされています。

申告先等

所轄税務署

注意事項

「扶養控除等申告書」を提出し、かつ、給与等の金額が2,000万円以下の人については、その年の最後の給与等の支払をする際に年末調整を行う必要があります。

源泉徴収のために必要な「源泉徴収税額表」「扶養控除等申告書」「源泉徴収簿」「年末調整のしかた」「源泉徴収のあらまし」などは、年末調整がよくわかるページ給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿の作成を参照してください。

根拠法令等

所法6、183、185、186、190、194、204、216、217、229、230、別表第2~4、復興財確法28

関連リンク

◆関連する税務手続

[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

[手続名]給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿の作成

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