[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税

概要

中古で取得した家屋や自動車のように使用や期間の経過により減価する資産で、不動産所得、事業所得、山林所得または雑所得を生ずべき業務の用に供していないもの(以下「非業務用資産」といいます。)を、これらの所得を生ずべき業務の用に供した場合の減価償却費の計算は、まず、非業務用資産として使用していた期間における「減価の額」の計算を行い、この「減価の額」をその資産の取得価額から控除した金額(以下「未償却残高相当額」といいます。)をその業務の用に供した日におけるその資産の未償却残高とします。

次に、この未償却残高または取得価額を基礎として、その業務の用に供した後の減価償却費の計算を行うこととなりますが、その計算に当たっては、いわゆる中古資産の見積耐用年数による償却率により、その計算を行うことができます。

計算方法・計算式

業務の用に供した日における未償却残高相当額の計算

その資産の取得価額から、その資産と同種の減価償却資産に係る耐用年数に1.5を乗じて計算した年数により旧定額法に準じて計算した金額に、その資産の業務の用に供されていなかった期間に係る年数を乗じて計算した金額を控除した金額です。

<計算式>

(その資産の取得価額)-(業務の用に供されていなかった期間(※1)につき、その資産の耐用年数の1.5倍に相当する年数(※2)で、旧定額法に準じて計算した減価の額)=(その資産の業務の用に供した日における未償却残高相当額)

※1 業務の用に供されていなかった期間に係る年数に1年未満の端数があるときは、6か月以上の端数は1年とし、6か月に満たない端数は切り捨てます。

※2 1.5倍に相当する年数に1年未満の端数があるときは、1年未満の端数は切り捨てます。

(注1)非業務用資産の減価の額の計算は、旧定額法によることに留意してください。

また、非業務用資産の減価の額に係る計算においては、所得税法施行令第134 条第2項((減価償却費の償却累積額による償却費の特例))の適用はありません。

なお、減価の額の累積額が取得価額の95パーセントに相当する金額に達した非業務用資産を業務の用に供した場合は、平成20年分以後において所得税法施行令第134条第2項の規定に従い、減価償却費を計算することになります。

(注2)昭和27年12月31日以前に取得した資産を業務の用に供した場合は、(1)昭和28年1月1日現在における価額として同日におけるその資産の現況に応じ、同日においてその資産につき相続税および贈与税の課税標準の計算に用いるべきものとして国税庁長官が定めて公表した方法により計算した価額(いわゆる相続税評価額)と、(2)昭和28年1月1日以後に支出した設備費、改良費などの資本的支出の合計額(取得価額)を基にして業務の用に供した日における未償却残高を次の計算式で計算します。

ただし、(1)の価額については、その資産の取得価額と昭和27年12月31日までに支出した設備費、改良費の合計額から昭和28年1月1日までの減価の額の累積額を控除した金額が昭和28年1月1日における相続税評価額より多いことが証明された場合は、その額となります。

<計算式>

((注)2で計算したその資産の取得価額)-(左の金額を基礎とし、昭和28年1月1日から業務の用に供した日の前日までの期間(※1)につき、その資産耐用年数の1.5倍に相当する年数(※2)で旧定額法に準じて計算した減価の額)=(その資産の業務の用に供した日における未償却残高相当額)

※1 業務の用に供されていなかった期間に係る年数に1年未満の端数があるときは、6か月以上の端数は1年とし、6か月に満たない端数は切り捨てます。

※2 1.5倍に相当する年数に1年未満の端数があるときは、1年未満の端数は切り捨てます。

業務の用に供した後の減価償却費の計算

(1)減価償却資産の償却方法

業務用期間における減価償却資産の償却の方法は、その資産の取得年月日(非業務用から業務用に転用した日ではありません。)により、次表のとおり異なります。

取得年月日 建物 建物附属設備および構築物 左記以外の一般的な有形減価償却資産
平成10年3月31日以前 旧定額法
または
旧定率法
旧定額法または旧定率法 旧定額法または旧定率法
平成10年4月1日から
平成19年3月31日まで
旧定額法 旧定額法または旧定率法 旧定額法または旧定率法
平成19年4月1日から
平成28年3月31日まで
定額法 定額法または定率法 定額法または定率法
平成28年4月1日以後 定額法 定額法 定額法または定率法

(2)業務の用に供した後の中古資産の耐用年数および償却率の計算

中古資産のうち一定のものを取得した場合には、その資産の法定耐用年数によらずに、購入した中古資産の取得の時以後の使用可能期間の年数を耐用年数とすることができます。

この場合、今後の使用可能期間の年数を合理的に見積もることが困難なときは、次の算式で計算した年数によることもできます(以下、この計算方法を以下「簡便法」といいます。)。ただし、その資産を使用するために取得価額の50パーセントを超える資本的支出を行った場合は、簡便法を使うことはできません。

<簡便法>

イ 法定耐用年数の一部を経過した資産

(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20/100

ロ 法定耐用年数の全部を経過した資産

法定耐用年数×20/100

(注1)1年未満の端数は切り捨てた年数とし、その計算した年数が2年未満の場合は2年とします。

(注2)この場合の経過年数は、新築等されてから取得した時までの期間になります。

次に、上記「(1)減価償却資産の償却方法」の表の区分により、その中古資産の耐用年数に応ずる償却率を求めます。

(3)減価償却資産についての償却費の計算

イ 旧定額法と旧定率法による減価償却

上記「業務の用に供した日における未償却残高相当額の計算」で計算した未償却残高相当額をその業務の用に供した日におけるその資産の未償却残高とし、この未償却残高または取得価額を基に上記「(2)業務の用に供した後の中古資産の耐用年数および償却率の計算」で求めた償却率を用いて、一般の場合と同様に計算を行います。計算方法については、コード2105「旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)」を参照してください。

ロ 定額法と定率法による減価償却

上記「業務の用に供した日における未償却残高相当額の計算」で計算した未償却残高相当額をその業務の用に供した日におけるその資産の未償却残高とし、この未償却残高または取得価額を基に上記「(2)業務の用に供した後の中古資産の耐用年数および償却率の計算」で求めた償却率を用いて、一般の場合と同様に計算を行います。計算方法については、コード2106「定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」を参照してください。

根拠法令等

所法38、49、所令85、120、120の2、128、135、136、所基通49-1、耐令3

関連リンク

◆関連する質疑応答事例《所得税》

建物を転用した場合の減価償却費の計算

非業務用資産を業務の用に供した場合

関連コード

QAリンク

  1. Q 中古で取得した建物を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却費の具体的な計算

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