[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税

概要

介護保険制度においては、介護保険サービスは医療との連携に十分配慮して行わなければならない(介護保険法2②)こととされており、このサービスには日常生活上の世話のほかに看護、医学的管理の下における療養上の世話等も含まれています。

要介護者または要支援者(以下「要介護者等」といいます。)が、居宅介護サービス事業者等から提供を受ける居宅サービス等には、訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅管理指導のように看護師、保健師等により行われる居宅サービス等(医療系サービス)、訪問介護や訪問入浴介護のように介護福祉士等により行われる居宅サービス等(福祉系サービス)があります。

これらの居宅サービス等の対価のうち、看護、医学的管理の下における療養上の世話等に相当する部分の対価として利用者が負担する金額については、医療費控除の対象となります。

なお、これらの居宅サービス等を提供する居宅サービス事業者等が発行する領収証には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されることとなっています。

医療費控除の対象となる居宅サービス等の対価

具体的には、居宅サービス等の種類により、医療費控除の対象となるかどうかをまとめると、次の表のとおりです。

医療費控除の対象(または対象外)となる居宅サービス等の対価の概要
  居宅サービス等の種類
①医療費控除の対象となる居宅サービス等 訪問看護
介護予防訪問看護
訪問リハビリテーション
介護予防訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導【医師等による管理・指導】
介護予防居宅療養管理指導
通所リハビリテーション【医療機関でのデイサービス】
介護予防通所リハビリテーション
短期入所療養介護【ショートステイ】
介護予防短期入所療養介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限ります。)

看護・小規模多機能型居宅介護(上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除きます。)に限ります。)

※平成27年4月に「複合型サービス」から「看護・小規模多機能型居宅介護」に名称が変更されました。
②①の居宅サービス等と併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス等

訪問介護【ホームヘルプサービス】(生活援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助)中心型を除きます。)
夜間対応型訪問介護
介護予防訪問介護(※平成30年3月末まで)
訪問入浴介護
介護予防訪問入浴介護
通所介護【デイサービス】

地域密着型通所介護(※平成28年4月1日から)
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
介護予防通所介護(※平成30年3月末まで)
介護予防認知症対応型通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
短期入所生活介護【ショートステイ】
介護予防短期入所生活介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合および連携型事業所に限ります。)
看護・小規模多機能型居宅介護(上記①の居宅サービスを含まない組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除きます。)に限ります。)

※平成27年4月に「複合型サービス」から「看護・小規模多機能型居宅介護」に名称が変更されました。

地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスを除きます。)

地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスを除きます。)

③医療費控除の対象外となる居宅サービス等

訪問介護(生活援助中心型)
認知症対応型共同生活介護【認知症高齢者グループホーム】
介護予防認知症対応型共同生活介護
特定施設入居者生活介護【有料老人ホーム等】
地域密着型特定施設入居者生活介護
介護予防地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具貸与
介護予防福祉用具貸与
看護・小規模多機能型居宅介護【旧複合型サービス】(生活援助中心型の訪問介護の部分)
※平成27年4月に「複合型サービス」から「看護・小規模多機能型居宅介護」に名称が変更されました。

地域支援事業の訪問型サービス(生活援助中心のサービスに限ります。)

地域支援事業の通所型サービス(生活援助中心のサービスに限ります。)
地域支援事業の生活支援サービス

(注1)居宅サービス等において、おむつを使用した場合のおむつ代については、医師等が発行する「おむつ使用証明書」がある場合に限り、医療費控除の対象となります(平成13年7月3日付課個2-15「おむつに係る費用の医療費控除の取扱い(「おむつ使用証明書」の様式の変更等)について(法令解釈通達)」参照)。

なお、おむつ代について医療費控除を受けるのが2年目以降である場合には、「おむつ使用証明書」に代えて、市町村が介護保険法に基づく要介護認定に係る主治医意見書の内容を確認した書類または主治医意見書の写しがあれば、医療費控除の対象となります(平成14年6月25日付課個2-11「おむつに係る費用の医療費控除の取扱い(「おむつ使用証明書」に代えた簡易な証明手続等)について(法令解釈通達)」参照)。

(注2)上表の②の居宅サービス等(上記①の居宅サービス等と併せて利用しない場合に限ります。)または上表の③の居宅サービス等において行われる介護福祉士等による喀痰吸引等の対価(居宅サービス等の対価として支払った金額の10分の1に相当する金額)は、医療費控除の対象となります(平成25年2月27日付個人課税課情報「介護福祉士等による喀痰吸引等の対価に係る医療費控除の概要等について(情報)」参照)。

(注3)通所リハビリテーションや通所介護、短期入所生活介護などを居宅サービス等の提供を受けるために、介護老人保健施設や指定介護老人福祉施設などへ通う際の交通費については、これらの居宅サービス等の対価に係る自己負担額が医療費控除の対象となった場合で、かつ、通常必要なものに限り、医療費控除の対象となります。

(注4)高額介護サービス費として払戻しを受けた場合は、その高額介護サービス費を医療費の金額から差し引いて医療費控除の金額の計算をすることとなります。

医療費控除の対象となる居宅サービス等(医療系サービス)の対価について

要介護者が、居宅サービス計画または介護予防サービス計画(以下「ケアプラン」といいます。)に基づき、居宅介護サービス事業者等から提供を受ける居宅サービス等のうち、上表の①に掲げる居宅サービス等(医療系サービス)については、保健師や看護師等により行われる療養上の世話または診療の補助等であることから、これらの医療系サービスの対価に係る自己負担額として支払った金額は、医療費控除の対象となります。

医療系サービスと併せて利用する場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス等(福祉系サービス)の対価について

要介護者等が、ケアプランに基づき、居宅介護サービス事業者等から提供を受ける居宅サービス等のうち、上表の②に掲げる居宅サービス等(福祉系サービス)については、介護福祉士等により行われる入浴、排せつ、食事等の介護などの日常生活上の世話ですが、厚生労働省の通知等において、上表の①の居宅サービス等(医療系サービス)と併せて利用した場合には、「療養上の世話を受けるために特に依頼したものからの療養上の世話等に当たるとされていることから、これらの福祉系サービスの対価に係る自己負担額としてに支払った金額は、医療費控除の対象となります。

なお、居宅介護サービス事業者等が発行する領収証には、医療費控除の対象となる金額が記載されることとなっています。

(注)「医療系サービスと併せて利用した場合」とは、1か月単位のケアプランに医療系サービスが位置付けられている場合をいい、具体的には、居宅介護支援事業者等から交付される「サービス利用票」に医療系サービスが記載されているかどうかで、医療費控除の対象となるかどうかを判断します。

なお、居宅介護サービス事業者等には、居宅介護支援事業者等から「サービス利用票」と同一内容の「サービス提供票」が交付されることとなっています。

医療費控除の対象とならない居宅サービス等(福祉系サービス)の対価について

要介護者等が、ケアプランに基づき、居宅介護サービス事業者等から提供を受ける居宅サービス等のうち、上表の②に掲げる居宅サービス等(福祉系サービス)については、介護福祉士等により行われる入浴、排せつ、食事等の介護などの日常生活上の世話等であり、医療系サービスと併せて使用しない場合には、看護、医学的管理の下における療養上の世話等とはいえないことから、これらの福祉系サービスの対価に係る自己負担額として支払った金額は、医療費控除の対象とはなりません。

また、上表の③に掲げる居宅サービス等(福祉系サービス)については、生活援助を中心とした日常生活上の世話等であることから、これらの福祉系サービスの対価に係る自己負担額として支払った金額は、医療費控除の対象とはなりません。

根拠法令等

所法73、所令207、所規40の3、所基通73-6、平12・6課個4-11、平13・7課個2-15、平14・6課個2-11

関連リンク

◆パンフレット・手引き

確定申告書等の様式・手引き等

◆関連する質疑応答事例《所得税》

在宅療養の世話の費用

訪問介護の居宅サービス費

寝たきりの者のおむつ代

介護事業所・生活関連情報検索」(介護サービス情報公表システム)

介護保険制度の概要については、厚生労働省ホームページの「介護事業所・生活関連情報検索」(介護サービス情報公表システム)に介護保険サービスや介護保険の解説などが掲載されています。

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