[令和6年4月1日現在法令等]
法人税
「特別試験研究費の額に係る税額控除制度」は、各事業年度において、特別試験研究費の額(その事業年度において「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」、「中小企業技術基盤強化税制」の適用を受けた特別試験研究費の額を除きます。)がある場合に、その特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。
この制度の対象となる特別試験研究費の額とは、試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究、国の試験研究機関、大学その他の者に委託する試験研究、中小企業者からその有する知的財産権の設定または許諾を受けて行う試験研究、その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究、高度専門知識等を有する者に対して人件費を支出して行う試験研究などに係る試験研究費の額をいいます。
法人のその事業年度の調整前法人税額から、次の1から3までに掲げる金額の合計額(以下「特別研究税額控除限度額」といいます。)を控除します。
1 特別試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他これらに準ずる者(以下「特別試験研究機関等」といいます。)との共同研究または特別試験研究機関等への委託研究に係る一定の試験研究費の額の30パーセントに相当する金額
2 特別試験研究費の額のうち特定新事業開拓事業者、成果活用促進事業者との共同研究または特定新事業開拓事業者、成果活用促進事業者への委託研究に係る一定の試験研究費の額の25パーセントに相当する金額
3 特別試験研究費の額のうち上記1および2の一定の試験研究費の額以外の金額の20パーセントに相当する金額
この場合において、特別研究税額控除限度額が、法人のその事業年度の調整前法人税額の10パーセントに相当する金額を超えるときは、その控除を受ける金額(税額控除上限額)は、その10パーセントに相当する金額が上限となります。
税額控除上限額 = 調整前法人税額 × 10%
この制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人(人格のない社団等を含みます。)です。
この制度の適用対象年度は、次に掲げる事業年度以外の事業年度です。
(1) 解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度
(2) 清算中の各事業年度
この制度の適用を受けるためには、控除の対象となる特別試験研究費の額および控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
1 特定の税額控除の規定(注1)は、中小企業者(注2)または農業協同組合等以外の法人が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(以下「対象年度」といいます。)において次の(1)から(3)までに掲げる要件のいずれにも該当しない場合には、適用できません。
(1) 継続雇用者給与等支給額 (注3) > 継続雇用者比較給与等支給額 (注4)
ただし、その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合またはその対象年度終了の時において常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合(※)で、その対象年度が設立事業年度もしくは合併等事業年度(注5)に該当する法人またはその対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合の前事業年度が黒字の法人は、次の要件も満たす必要があります。
※ 令和6年4月1日前開始事業年度においては、対象となる法人は「その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合」となります。
(継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額)/継続雇用者比較給与等支給額≧1%
(2) 国内設備投資額 (注6) > 当期償却費総額 (注7) × 30%(上記(1)のただし書きの法人は40%)
(3) その対象年度の所得金額 ≦ 前事業年度の所得金額(※)
(※) (3)の要件は、その対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合にのみ判定します。
2 減価償却資産の取得価額または繰延資産の額のうちに試験研究費の額が含まれる場合において、その試験研究費の額について本制度による税額控除の適用を受けたときは、その減価償却資産または繰延資産については、他の制度による特別償却または他の制度による税額控除の規定の重複適用は認められません。
(注1)特定の税額控除の規定とは、次に掲げる規定をいいます。
1 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法42の4①⑦)
2 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の11の2②)
3 認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の6②)
4 事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の7④~⑥)
(注2) 中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(※1)に該当するものは除かれます。
1 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)
(1) その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(※2)に所有されている法人
(2) 上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(※2)に所有されている法人
(3) 他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイまたはロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人
イ 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人
ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)
(※1) 通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」 を参照してください。
(※2) 大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
1 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
3 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
(2)相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
(3)受託法人
4 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)
(注3)継続雇用者給与等支給額とは、法人の対象年度および前事業年度の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者(雇用保険法の一般被保険者に限られ、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度の対象者を除くこととされています。以下「継続雇用者」といいます。)に対するその対象年度の給与等の支給額(その給与等に充てるために他の者から支払を受ける金額(雇用安定助成金額および役務の提供の対価として支払を受ける金額を除きます。以下「補塡額」といいます。)がある場合には、その補塡額を控除した金額になります。以下同じです。)をいいます。
(注4) 継続雇用者比較給与等支給額とは、法人の継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額をいいます。
(注5)合併等事業年度とは、設立事業年度以外の事業年度で、合併、分割もしくは現物出資(分割または現物出資は事業を移転するものに限ります。以下「合併等」といいます。)に係る合併法人、分割法人もしくは分割承継法人もしくは現物出資法人もしくは被現物出資法人であり、事業の譲渡もしくは譲受け(以下「譲渡等」といいます。)に係るその事業の移転をした法人もしくはその事業の譲受けをした法人であり、または特別の法律に基づく承継に係る被承継法人もしくは承継法人である場合等におけるその合併等の日、その譲渡等の日またはその承継の日等を含む事業年度をいいます。
(注6) 国内設備投資額とは、法人が対象年度において取得等をした国内にあるその法人の事業の用に供する法人税法施行令第13条各号に掲げる資産(時の経過によりその価値の減少しないものは除きます。)でその対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額をいいます。
(注7) 当期償却費総額とは、法人が有する減価償却資産につき対象年度においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいます。
措法42の4、42の13、53、措令27の4、27の13、措規20、令6改正法附則38
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