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東日本大震災(以下「大震災」といいます。)により被災された方については、所得税に関して、次のような税制上の措置があります。
(注)「東日本大震災」とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいいます。
税制上の措置 | 概要 | |
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1 | 申告・納付等の 期限延長 |
申告・納付等を期限までにできない方は、その期限が延長されます。 |
2 | 所得税の軽減又は免除 | 住宅や家財などに損害を受けた方は、所得税の軽減又は免除を受けることができます。 |
3 | 源泉所得税の 徴収猶予・還付 |
上記2に該当する方は、給与・公的年金・報酬料金に係る源泉所得税の徴収猶予や還付を受けることができます。 |
4 | 住宅借入金等 特別控除の特例 |
大震災で住宅が滅失等した場合でも、引き続き、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。 |
5 | 財産形成住宅(年金) 貯蓄の利子等の非課税 |
大震災で被害を受けたことにより、払出しを受ける方は、その払出しに係る利子等は課税されません。 |
6 | 納税の猶予 | 財産に相当な損失を受けた方や国税を一時に納付することが困難な方は、納税の猶予を受けることができます。 |
7 | 予定納税額の減額 | 所轄税務署から予定納税額を通知された方は、予定納税額の減額を申請することができます。 |
8 | 【個人事業者の方】 被災事業用資産の損失に係る取扱い |
棚卸資産、事業用資産等について大震災により生じた損失については、その損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入することができます。 |
9 | 【個人事業者の方】 純損失の繰越控除 |
棚卸資産、事業用資産等について大震災により生じた損失を有する方の平成23年分において生じた純損失の金額は、一定の要件の下で、5年間繰り越すことができます。 |
10 | 【個人事業者の方】 被災代替資産等の特別償却 |
平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、大震災により滅失又は損壊した資産に代わる資産の取得等をして事業の用に供した場合や、建物、構築物、機械装置の取得等をして被災区域内において事業の用に供した場合には特別償却ができます。 |
11 | 【個人事業者の方】 特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例 |
平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、特定の事業用資産の買換え等をした場合には、一定の要件の下で、課税を繰り延べる買換えの特例を受けることができます。 |
見舞金等を受け取られた方は、見舞金等を受け取られた場合についてをご覧ください
大震災により被害を受けた個人事業者の方の消費税課税事業者選択届出書等の提出に係る特例や申告期限の延長に伴う消費税の中間申告書の提出に係る特例 | 被害を受けた個人事業者に対する消費税法の特例をご覧ください。 |
大震災により自動車が廃車となった場合の自動車重量税の特例還付や、買換車両に係る自動車重量税の免税 | 自動車に被害を受けた方をご覧ください。 |
大震災により被害を受けた方が作成する「消費貸借契約書」(金銭借用証書)、「不動産譲渡契約書」、「建設工事請負契約書」の印紙税の非課税 | 被害を受けた方が作成する契約書等に係る印紙税の非課税措置をご覧ください。 |
大震災により申告・納付等を期限までにできない方は、その期限が延長されます。
これには、地域指定による延長と個別の申請による延長があります。
東日本大震災の発生に伴い、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県については、平成23年3月11日以降に到来する国税に関する申告・納付等の期限の延長をしました。
延長後の期限については、別途指定されています。詳しくはこちらをご覧ください。
上記以外の地域の納税者の方についても、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を税務署に提出することにより、災害がやんだ日(注)から2か月以内の範囲で申告・納付等の期限が延長されます。
(注)「災害がやんだ日」とは、申告・納付等をするのに差し支えないと認められる程度の状態になった日をいいます。
災害による申告、納付等の期限延長手続をご覧ください。
(交通手段や通信手段の遮断又はライフラインの遮断などによる申告・納付等の期限延長について)
大震災により住宅や家財などに損害を受けた方は、損害金額に基づき計算した金額を所得から控除する方法(所得税法に基づく「雑損控除」といいます。)、
「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法で、所得税の軽減又は免除を受けることができます。
なお、大震災により被害を受けた方については、平成22年分又は平成23年分のいずれかの年分を選択して、これらの軽減等の措置を受けることができます。
所得税法(雑損控除) | 災害減免法 | |||||||||
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対象となる資産の範囲等 | 生活に通常必要な資産 (注)「生活に通常必要でない資産」とは、別荘や競走馬、1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨とう等をいい、これらの資産についての災害等による損失は雑損控除の対象とはなりませんが、その年か翌年に総合課税の譲渡所得があれば、その所得から控除できます。 |
住宅や家財 ただし、損害額が住宅や家財の価額の2分の1以上であることが必要です。 |
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控除額の計算又は所得税の軽減額 | 控除額は次の (注)「災害関連支出」とは、災害により滅失した住宅・家財を除去するための費用等です。 |
所得税の軽減額等は次のとおりです。
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参考事項 | その年の所得金額から控除しきれない控除額は、翌年以後5年間に繰り越して、各年の所得金額から控除できることとされました。 |
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※ 雑損控除の計算において、住宅や家財、車両について個々に損失額を計算することが困難な場合には、「損失額の合理的な計算方法」により計算することができます。
なお、損失額を計算する場合は、こちらをご覧ください。
【ご参考】
『東日本大震災により被害を受けられた方へ(雑損控除における「損失額の合理的な計算方法」)』所03(パンフレット)(PDF/203KB)
※ 災害減免法又は雑損控除の適用により、平成22年分の源泉徴収された所得税や納付した所得税の還付を受けられる場合があります。詳しくは、最寄りの税務署へお尋ねください。
所得税を軽減免除する年分 | 確定申告の有無 | お手続き | ご用意いただく書類など |
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平成22年分 | 確定申告を済ませている方 | 平成22年分の更正の請求 |
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確定申告を済ませていない方 | 平成22年分の確定申告 | 上記![]() ![]() |
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平成23年分 | 平成23年分の確定申告 | 上記![]() ![]() |
(注)
大震災により住宅や家財などに損害を受けた方で、雑損控除の適用を受けようとする方又は住宅や家財の損害の割合が50%以上であり平成23年分の所得金額が1,000万円以下になると見込まれる方は、申請に基づき、平成23年中に支払を受ける給与等・公的年金等・報酬料金について、源泉所得税の徴収猶予や既に徴収された源泉所得税の還付を受けることができます。
ただし、大震災による損害につき、平成22年分の雑損控除の適用を受けた方で繰り越される雑損失がない方又は平成22年分の災害減免法による所得税の軽減免除の適用を受けた方は、源泉所得税の徴収猶予や還付は受けられません。
(注)源泉所得税の徴収猶予や還付を受けた方は、年末調整の対象とならないため、確定申告で雑損控除や災害減免法による所得税の軽減免除の適用を受けることにより精算することになります。
雑損控除又は災害減免法と源泉所得税の徴収猶予・還付の適用関係です。
災害被災者に対する源泉所得税の徴収猶予・還付申請又は繰越雑損失がある場合の源泉所得税の徴収猶予承認申請手続をご覧ください。
大震災により住宅借入金等特別控除の適用を受けていた住宅について居住できなくなった場合についても、その住宅に係る住宅借入金等特別控除の残りの適用期間について、引き続き、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
(注)年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受けていた方(給与所得者の方)は、引き続き、年末調整で控除を受けることができます。年末調整によって控除を受ける場合の「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(兼証明書)」をお持ちでない方は、最寄りの税務署で再発行いたします。
大震災で被害を受けたことにより、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に勤労者財産形成住宅貯蓄又は勤労者財産形成年金貯蓄の払出しを受ける方は、住宅の取得等以外の目的で払い出す場合であっても、払出しの際、税務署に申請し発行を受けた書類を金融機関に提出することで、これらの貯蓄の利子等については課税されません。
なお、この措置が始まる前に大震災によって被害を受けたことにより、住宅の取得等以外の目的で払出しを受け、利子等につき所得税が徴収された方は、還付請求をすることにより、徴収された所得税の還付を受けることができます。
財産形成住宅(年金)貯蓄の利子等の非課税に関する申請等の手続(東日本大震災)をご覧ください。
大震災により財産に相当な損失を受けた方や国税を一時に納付することが困難な方については、税務署に「納税の猶予申請書」を提出し、その承認を受けることにより、次の期間について納税の猶予を受けることができます。
猶予の対象となる国税 | 猶予期間 |
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損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税 | 納期限から1年以内 |
(注)
猶予の対象となる国税 | 猶予期間 |
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一時に納付することが困難と認められる国税 | 原則として1年以内 |
(注)上記猶予期間中にやむを得ない理由によって納付することが困難な場合は、さらに1年間、猶予期間の延長を受けることができます。
災害等を受けた場合の納税の緩和制度をご覧ください。
平成24年分所得税の予定納税額の通知や納期については、平成24年分所得税の予定納税についてをご覧ください。
平成23年分において、事業所得者等の有する棚卸資産、事業用資産等について大震災により生じた損失(以下「事業用資産の震災損失」といいます。)については、その損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入することができます。
この場合において、平成21年分から青色申告をしている方は、平成22年分の所得において純損失が生じたときは、事業用資産の震災損失も含めて、平成21年分の所得に繰り戻して所得税の還付請求をすることができます。
手続きをする場合は、純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求手続をご覧ください。
※ 上記の手続きには期限があります。
詳しくは、最寄りの税務署へお尋ねください。
事業所得者等の有する棚卸資産、事業用資産等について大震災により生じた損失(以下、「事業用資産の震災損失」といいます。)を有する方の平成23年において生じた純損失の金額のうち、次に掲げるものについては、5年間繰り越すことができます。
※ 上記の手続きには期限があります。
詳しくは、最寄りの税務署へお尋ねください。
平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、
には、これらの減価償却資産の取得価額に、次の区分ごとに、次の償却率を乗じた金額の特別償却ができます。
取得等の時期
被災代替資産等の区分 |
平成23年3月11日から平成26年3月31日までの間 | 平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間 |
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(1) 建物又は構築物 | 15%(18%) | 10%(12%) |
(2) 機械及び装置 | 30%(36%) | 20%(24%) |
(3) 船舶、航空機又は車両及び運搬具 | 30%(36%) | 20%(24%) |
※ かっこ内は中小企業者等(「常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人」をいいます。)が取得等をする場合の償却率です。
平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、事業の用に供している一定の資産(以下「譲渡資産」といいます。)の譲渡をした場合において、その譲渡の日の属する年の12月31日までに、その譲渡資産に対応する一定の資産(以下「買換資産」といいます。)の取得をし、その取得の日から1年以内にその買換資産をその個人の事業の用に供したとき、又は供する見込みであるときは、課税を繰り延べること(繰延割合100%)ができます。
また、買換資産は、譲渡した年中に取得したもののほか、譲渡した年の前年中に取得して税務署長に届け出したものや、
譲渡した年分の確定申告において、譲渡した年の翌年中に取得する見込みである旨の申告を行ったものについても、課税を繰り延べることができます。
譲渡資産 | 買換資産 | |
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![]() |
被災区域である土地等又はこれらとともに譲渡をするその土地の上にある建物若しくは構築物(平成23年3月11日前に取得がされたものに限られます。) | 国内にある土地等又は国内にある事業の用に供される減価償却資産 |
![]() |
被災区域外の区域(国内に限ります。)にある土地等、建物又は構築物 | 被災区域である土地又はその土地の区域内にある事業の用に供される減価償却資産 |
(注) 「被災区域」とは、大震災により滅失(通常の修繕によっては現状回復が困難な損壊を含みます。)をした建物等の敷地及びその建物等と一体的に事業の用に供される附属施設の用に供されていた土地の区域をいいます。
※ 平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、上記の表の譲渡資産とこれに対する買換資産との交換を行った場合などにおいても、上記と同様の要件の下、課税を繰り延べること(繰延割合100%)ができます。
譲渡所得の金額の計算は、具体的には次のとおりとなります。
個人又は法人から見舞金や災害義援金を受け取られた場合には、その見舞金等がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係などに照らし社会通念上相当と認められるものについては、贈与税及び所得税の課税の対象とはなりません。