日本国内において遺伝子組換え生物等を酒類分野で産業利用するには、カルタヘナ法に基づき、事前に主務大臣へ申請を行い、承認(第一種使用等)又は確認(第二種使用等)を受ける必要があります。

 酒類分野における産業利用の例として、酒類の販売を目的とした遺伝子組換え酵母や麹菌、乳酸菌等による酒類製造等が想定されます。以下では、酒類分野における遺伝子組換え生物等の産業利用の具体的な手続きについて紹介します。

※ 酵母や麹菌、乳酸菌等、遺伝子組換え生物等の研究開発段階に係る手続きは、文部科学省ホームページをご覧ください。

※ 酒類の原材料として使用する遺伝子組換え農作物(米、果実類、大麦、甘藷等)の栽培等に係る手続きは、農林水産省ホームページをご覧ください。

必要な手続き

事前相談

 国税庁では、各種手続きに先立ち、事前相談を受け付けています。酒類分野における遺伝子組換え生物等やゲノム編集技術の利用により得られた生物を産業利用したい方は、まずは国税庁へご相談ください。

問合せ先
担当:国税庁 課税部 鑑定企画官付 調整係
電話番号:03-3581-4161(国税庁代表)
メールアドレス※:kumikae「at」nta.go.jp
※「at」を@に変換してください。

安全委員会の設置

 第一種使用等又は第二種使用等のいずれであっても、事業所等に遺伝子組換え生物等の安全な取扱いについて検討する委員会(安全委員会)を設置するよう努めてください。安全委員会では、以下のことを実施してください。

1. 申請に先立ち、あらかじめ遺伝子組換え生物等の安全な取扱いについて検討を行う。
2. 遺伝子組換え生物等の取扱いについて経験を有する者を配置する。
3. 遺伝子組換え生物等の取扱いに関する教育訓練を行う。
4. 事故時における連絡体制の整備を行う。

 安全委員会の設置については、カルタヘナ法第3条の規定に基づく基本的事項第二の2をご覧ください。

第一種使用等

 遺伝子組換え生物等の第一種使用等をする場合、使用等をしようとする者(開発者や輸入者等)は、事前に第一種使用規程を定め、生物多様性影響評価書等を添付し、主務大臣の承認を受ける必要があります。

 一般的な酒類製造場において、例えば、遺伝子組換え酵母を用いてアルコール発酵を行う、遺伝子組換え麹菌を用いて製麹を行うなど、遺伝子組換え生物等を用いて酒類製造を行う場合は、開放的な環境中での使用等(拡散防止措置を執らない使用等)となるため、第一種使用等に該当すると考えられます。

申請から使用等までの流れ
1. 申請書等の作成
 「第一種使用規程承認申請書」及び「生物多様性影響評価書」を作成してください。

第一種使用等に先立ち提出が必要な書類

書類名 主な記載内容等
第一種使用規程承認申請書
(PDF/34KB)(Word/106KB)
・遺伝子組換え生物等の種類の名称
・遺伝子組換え生物等の第一種使用等の内容
・遺伝子組換え生物等の第一種使用等の方法
生物多様性影響評価書 ・詳細は「遺伝子組換え生物等の第一種使用等による生物多様性影響評価実施要領 」をご覧ください。

2. 申請書等の提出
 1.で作成した書類について、国税庁へ事前相談の上、以下の送付先に提出してください。その際、申請書等の内容を記録した電磁的記録媒体があればこれと併せて提出してください。

(送付先)
〒100-8978
東京都千代田区霞が関3-1-1
国税庁 課税部 鑑定企画官付 調整係

(電話番号)
03-3581-4161(国税庁代表)

(メールアドレス※)
kumikae「at」nta.go.jp
※「at」を@に変換してください。

3. 学識経験者からの意見聴取
 主務大臣は、申請書等の内容について学識経験者から意見を聴取します。

4. パブリックコメントの実施
 主務大臣は、第一種使用等の内容及び方法に応じて国民から意見を聴取します。

5. 第一種使用規程の承認、公表
 主務大臣は、第一種使用規程を承認した場合は、当該使用規程を告示により公表します。

6. 使用等
 主務大臣による第一種使用規程の承認を受けた後、遺伝子組換え生物等の第一種使用等が可能となります。

第二種使用等

 遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする場合、使用等をしようとする者(開発者や輸入者等)は、執るべき拡散防止措置が主務省令で定められている場合はその省令に従い、定められていない場合は事前に主務大臣の確認を受ける必要があります。

 遺伝子組換え生物等が外部へ漏出しないよう隔離された設備等において、遺伝子組換え生物等を用いて酒類製造を行い、製造工程中に発生する副産物や廃水等を不活化処理する場合などは、閉鎖的な環境中での使用等(拡散防止措置を執る使用等)となるため、第二種使用等に該当すると考えられます。

 産業利用における執るべき拡散防止措置については、「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(以下「産業利用二種省令」といいます。)で定められており、遺伝子組換え生物等の生産工程中での使用等をはじめ、保管、運搬といった場面ごとに行うべき具体的な措置が盛り込まれています。

 このうち生産工程中での使用等については、「GILSP遺伝子組換え微生物」※1及び「カテゴリー1遺伝子組換え微生物」※2における拡散防止措置の内容が産業利用二種省令で定められており、「GILSP遺伝子組換え微生物」及び「カテゴリー1遺伝子組換え微生物」については、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣又は環境大臣が定めるものとされております。

(※1)特殊な培養条件下以外では増殖が制限されること、病原性がないこと等のため最小限の拡散防止措置を執ることにより使用等をすることができるもの

(※2)GILSP遺伝子組換え微生物以外のものであって、病原性がある可能性が低いもの

 酒類分野においては、「GILSP遺伝子組換え微生物」及び「カテゴリー1遺伝子組換え微生物」が定められていないため、遺伝子組換え生物等の使用等をしたい場合は、あらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置を執る必要があります。

申請から使用等までの流れ
1. 申請書等の作成
 「第二種使用等拡散防止措置確認申請書」を作成してください。

第二種使用等に先立ち提出が必要な書類

書類名 主な記載内容等
第二種使用等拡散防止措置確認申請書(微生物用)
(PDF/224KB)(Word/53KB)
・詳細は「拡散防止措置の確認の申請に関する留意事項」をご覧ください。

2. 申請書等の提出
 1.で作成した書類について、国税庁へ事前相談の上、以下の送付先に提出してください。その際、申請書等の内容を記録した電磁的記録媒体があればこれと併せて提出してください。

(送付先)
〒100-8978
東京都千代田区霞が関3-1-1
国税庁 課税部 鑑定企画官付 調整係

(電話番号)
03-3581-4161(国税庁代表)

(メールアドレス※)
kumikae「at」nta.go.jp
※「at」を@に変換してください。

3. 拡散防止措置の確認、公表
 主務大臣は、第二種使用等の内容及び方法に応じて学識経験者から意見を聴取します。主務大臣の確認を受けた拡散防止措置の事例は、情報の一部を国税庁ホームページに公表します。

4. 使用等
 主務大臣による拡散防止措置の確認を受けた後、遺伝子組換え生物等の第二種使用等が可能となります。

輸出入

 遺伝子組換え生物等を輸出入する場合、輸出入に先立ち、手続きを行う必要があります。詳しくは、以下のリンク先をご覧ください。

【注意喚起】

○ 海外、特にカルタヘナ議定書の非締約国※では、酒類製造用の遺伝子組換え生物等が開発・市販されていることがありますが、遺伝子組換え生物等を日本国内へ輸入する場合、カルタヘナ法に基づき、事前に主務大臣による承認や確認が必要です。

○ 承認や確認前に遺伝子組換え生物等を輸入することがないよう、@遺伝子組換え生物等に該当しないか、A該当する場合は承認や確認を受けているか、必ずご確認ください。

○ カルタヘナ法に違反した場合、罰則等が適用される場合があります。

(※)主な非締約国:米国、カナダ、豪州、アルゼンチン、チリ(令和6年6月時点)
 最新情報については、以下のリンク先をご覧ください。

その他留意すべき事項

セルフクローニング・ナチュラルオカレンスの確認

 カルタヘナ法施行規則第2条第1号及び第2号に規定する「セルフクローニング※1」又は「ナチュラルオカレンス※2」に該当するか否かの判断に当たって必要な手続きは、「セルフクローニング・ナチュラルオカレンスの確認に関する留意事項」をご覧ください。

(※1)セルフクローニング:同種の核酸のみを用いて加工する技術を用いて加工した場合

(※2)ナチュラルオカレンス:自然条件で核酸を交換することが知られている種の核酸のみを用いて加工する技術を用いて加工した場合

ゲノム編集技術の利用により得られた生物の取扱い

 酒類分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物について、使用等をする場合は、事前に国税庁へ情報提供等をお願いしています。詳しくは「酒類分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の取扱いについて」をご覧ください。

遺伝子組換え食品の安全性

 遺伝子組換え生物等やゲノム編集技術の利用により得られた生物を用いて酒類を製造する場合、生物多様性への影響の観点からの取扱いのほか、食品の安全性の観点からも別途取扱いが定められています。詳しくは以下のリンク先をご覧ください。

遺伝子組換え飼料の安全性

 遺伝子組換え生物等やゲノム編集技術の利用により得られた生物を用いて酒類を製造する場合、生物多様性への影響の観点からの取扱いのほか、飼料(食品残さ等の飼料利用を含みます。)の安全性の観点からも別途取扱いが定められています。詳しくは以下のリンク先をご覧ください。

遺伝子組換え食品の表示

 遺伝子組換え生物等やゲノム編集技術の利用により得られた生物を用いて酒類を製造する場合、表示についても別途取扱いが定められています。詳しくは以下のリンク先をご覧ください。

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、Adobeのダウンロードサイトからダウンロードしてください。