令和5年6月22日付課鑑118 国税庁長官官房審議官通知

最終改正 令和6年4月25日付課鑑37 国税庁長官官房審議官通知

1 本通知の趣旨

 ゲノム編集技術の利用により得られた生物の「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)上の取扱いについては、中央環境審議会のもとで検討が行われ、当該検討の結果を踏まえ、環境省から、「ゲノム編集技術の利用により得られた生物であってカルタヘナ法に規定された『遺伝子組換え生物等』に該当しない生物の取扱いについて」(平成31年2月8日付け環自野発第1902081号環境省自然環境局長通知。以下「環境省通知」という。)が発出されたところです。
 本通知は、環境省通知を踏まえ、ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち財務大臣が当該生物である物の生産又は流通を所管するもの(拡散防止措置を執って使用等を行う場合にあっては、財務大臣が当該生物の使用等をする者の行う事業を所管するもの。以下「対象生物」という。)について、生物多様性への影響の観点から情報提供等をお願いするものです。
 なお、本通知における「拡散防止措置」とは、カルタヘナ法第12条に基づき省令に定められた拡散防止措置又は主務大臣の属する官庁(以下「主務官庁」という。)が認めた拡散防止措置のことをいいます。
 おって、本通知に定める事項は、ゲノム編集技術に関する科学的知見や国際的動向等を踏まえ、必要に応じて見直しを行うこととします。

2 環境省通知の概要

  • (1) ゲノム編集技術の利用により得られた生物のカルタヘナ法における規制対象範囲
     ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、最終的に得られた生物に細胞外で加工した核酸又はその複製物が含まれない場合は、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しないこととされています。
     一方、最終的に得られた生物に細胞外で加工した核酸若しくはその複製物が含まれる場合又は残存の有無が確認されていない場合は、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当し、カルタヘナ法に基づく適切な措置を講ずる必要があります。
  • (2) ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の取扱い
     ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物の使用等(食用、飼料用その他の用に供するための使用、栽培その他の育成、加工、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付随する行為をいう。以下同じ。)をしようとする者は、その使用等に先立ち、その生物の特徴及び生物多様性への影響が生ずる可能性の考察結果等について、主務官庁に情報提供を行うこととされています。
     なお、使用等の開始後、得られた生物により生物多様性への影響が生ずるおそれがあると判断した場合は、直ちに、生物多様性への影響を防止するために必要な措置を執るとともに、速やかに主務官庁に報告することとされています。

3 酒類分野におけるゲノム編集技術の利用により得られた生物の取扱い

  • (1) 開放系における使用等(拡散防止措置の執られた施設以外での使用等)
     ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物について、拡散防止措置を執らずに対象生物の使用等をしようとする場合は、その使用等に先立ち、国税庁課税部鑑定企画官(以下「鑑定企画官」という。)へ事前に相談を行った上で、様式1「ゲノム編集技術の利用により得られた生物の使用等に係る情報提供書」(PDF/221KB)(以下「情報提供書」という。)を鑑定企画官宛にご送付ください。
     情報提供書の送付の際は、その内容を記録した電磁的記録の提供をお願いします。紙媒体で送付する場合は、情報提供書の写し1通を添付するとともに、その内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても併せて提供をお願いします。情報提供書の写しは、鑑定企画官から関係省庁である環境省自然環境局野生生物課へ送付します。
  • (2) 閉鎖系における使用等(拡散防止措置の執られた施設での使用等)
     ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物について、拡散防止措置を執って対象生物の使用等をしようとする場合は、その使用等に先立ち、鑑定企画官へ事前に相談を行った上で、様式2「ゲノム編集技術の利用により得られた生物の使用等に係る拡散防止措置確認書」(PDF/262KB)(以下「確認書」という。)を鑑定企画官宛にご送付ください。
     確認書の送付の際は、その内容を記録した電磁的記録の提供をお願いします。紙媒体で送付する場合は、その内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても併せて提供をお願いします。
  • (3) 連絡先の変更連絡
     情報提供書又は確認書を送付した者は、当該情報提供書又は確認書に記載した連絡先(氏名、住所又は電話番号)に変更が生じた場合、速やかに鑑定企画官にご連絡ください。
  • (4) 譲渡先等への情報提供
     ゲノム編集技術の利用により得られた生物のうち、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しない生物について、対象生物の使用等をしている者は、当該対象生物を他者に譲渡し、若しくは提供し、又は委託して使用等をさせようとする場合は、その譲渡若しくは提供を受ける者又は委託を受けて使用等をしようとする者及び鑑定企画官に対し、以下の情報の提供をお願いします。
    • イ 当該対象生物がゲノム編集技術の利用により得られた生物であって、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」に該当しないものである旨
    • ロ 拡散防止措置を執って使用等をしている旨(該当する場合)
    • ハ 既に鑑定企画官に情報提供書又は確認書を送付している旨(該当する場合)
    • ニ 当該対象生物の宿主又は親生物の名称及び標的遺伝子の名称
    • ホ 当該対象生物を譲渡し、若しくは提供し、又は委託して使用等をさせようとする者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称並びに担当責任者の氏名及び連絡先)
     また、当該対象生物について、譲渡若しくは提供を受ける者又は委託を受けて使用等をしようとする者は、情報提供書又は確認書の送付の要否について鑑定企画官へ照会を行ってください。例えば、既に情報提供がなされた生物に改変を行って使用等をしようとするなど、情報提供された項目に変更がある場合は、改めて情報提供書の送付をお願いします。照会の結果、情報提供書又は確認書の送付が必要な場合は、開放系における使用等をしようとする場合にあっては3(1)のとおり情報提供書を、閉鎖系における使用等をしようとする場合にあっては3(2)のとおり確認書をご送付ください。
  • (5) セルフクローニング及びナチュラルオカレンスの取扱い
     対象生物の使用等をしようとする者は、対象生物が「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則」(平成15年財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号)第2条各号の規定(いわゆるセルフクローニング及びナチュラルオカレンス)に該当するか否かの判断には明確な科学的根拠が必要であることから、個別事例ごとに鑑定企画官までお問合せください。
  • (6) 生物多様性への影響が生ずるおそれがある場合の対応
     対象生物の使用等をしている者又はした者は、生物多様性への影響が生ずるおそれがあると判断した場合は、直ちに生物多様性への影響を防止するために必要な措置を執るとともに、速やかに鑑定企画官に報告してください。鑑定企画官は、報告を受けた場合、又は生物多様性への影響の観点から必要と認める場合は、公益上の必要性を考慮し、必要な措置を執ることとします。また、当該報告の内容を環境省自然環境局野生生物課に遅滞なく連絡することとします。

4 その他の留意事項

  • (1) 食品や飼料としての安全性
     ゲノム編集技術の利用により得られた生物については、生物多様性への影響の観点からの取扱いのほか、食品や飼料としての安全性の観点からも別途取扱いが定められています。食品としての安全性の観点からの取扱いについては、消費者庁食品衛生基準審査課へご確認ください。また、飼料(食品残さ等の飼料利用を含む。)としての安全性の観点からの取扱いについては、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課へご確認ください。
  • (2) 情報の取扱い
     3における情報の確認に当たっては、必要に応じて学識経験者の意見を聴くこととします。また、送付いただいた情報の一部は、日本版バイオセーフティクリアリングハウス(J-BCH)及び国税庁ホームページに掲載します。
     なお、掲載に当たっては、掲載内容について事前に確認させていただきますが、営業上の秘密等の観点から非公開とすべき情報がありましたら、情報提供書等の該当部分にその旨ご記載ください。

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