[令和5年4月1日現在法令等]

相続時精算課税における相続税額の計算の概要

Q1

相続時精算課税における相続税額の計算の概要は、どのようなものですか。

A1

特定贈与者の死亡に係る相続税額の計算において、相続時精算課税適用者は、その特定贈与者から相続または遺贈により取得した財産の価額と相続時精算課税の適用を受ける財産の価額を合計した金額を相続税の課税価格として計算した相続税額から、相続時精算課税における贈与税相当額を控除して、納付すべき相続税額を計算します。その際、相続税額から控除しきれない贈与税相当額については、還付を受けることができます。

(参考)相続税法の適用関係

※ 令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後に特定贈与者から贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産について、その特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算される価額は、相続時精算課税に係る基礎控除後の残額とすることとされました。税制改正の概要については「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(令和5年6月)」(PDF/1,023KB)をご覧ください。

1 課税価格

(1) 相続または遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者の場合

イ 相続時精算課税の適用を受ける財産については相続税の課税価格に加算します。

ロ 相続税の課税価格に加算される財産の価額は、贈与の時における価額によります。

(2) 相続または遺贈により財産を取得しなかった相続時精算課税適用者の場合

イ 相続時精算課税の適用を受ける財産については相続または遺贈により取得したものとみなします。

ロ 相続税の課税価格に算入される財産の価額は、贈与の時における価額によります。

2 債務控除

適用あり。

3 相続開始前3年以内の贈与加算

適用あり。

(注) 相続時精算課税の適用を受ける財産については適用はありません。

4 基礎控除

適用あり。

5 相続税額の2割加算

適用あり。

6 贈与税額控除(暦年課税における贈与税額の控除)

適用あり。

(注) 相続開始前3年以内に贈与により取得した財産の価額について相続税の課税価格に加算されるものがある場合において、当該財産の価額に対応する贈与税額については、相続税額から控除することができます。

7 未成年者控除

適用あり。

(注) 相続時精算課税適用者は、その贈与の時には18歳以上ですから、未成年者に該当しませんが、他の相続人の扶養義務者として未成年者控除の適用がある場合があります。

8  障害者控除

適用あり。

(注)1 相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)に限ります。

2 「一時居住者」、「外国人被相続人」及び「非居住被相続人」については、コード4138相続人が外国に居住しているときをご覧ください。

9 相次相続控除

適用あり。

(注) 控除限度額を計算する場合の「第二次相続に係る被相続人が第一次相続により取得した財産の価額」および「第二次相続により相続人および受遺者が取得した財産の価額」には、相続時精算課税の適用を受ける財産の価額を含みます。

10 外国税額控除

適用あり。

(注) 控除の限度額を計算する場合の「相続または遺贈により取得した財産の価額」には、当該被相続人からの贈与により取得した相続時精算課税の適用を受ける財産の価額を含みます。

11 相続時精算課税における贈与税額の控除

適用あり。

(注) 相続時精算課税の適用を受ける財産につき「課せられた贈与税」がある場合において控除する贈与税額は、外国税額控除の規定による控除前の税額とされ、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税および重加算税に相当する税額は除かれます。
また、「課せられた贈与税」には、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産に対して課されるべき贈与税も含まれます(更正または決定をすることができなくなった贈与税を除きます。)。

(相法11の2、13、15、18、19、19の3、19の4、20、20の2、21の14〜21の16、33の2、36、相令4、4の3、5の3、5の4、相基通13-9、20-3、20-4、21の15-2、21の15-3、21の16-1)

特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡している場合

Q2

特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡し、相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務の承継があった場合の相続税の申告はどのように行うのですか。

A2

特定贈与者の死亡以前に相続時精算課税適用者が死亡した場合には、相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。以下「承継相続人」といいます。)が、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務を承継し、承継相続人が相続時の精算を行うことになります。

したがって、特定贈与者が死亡した際に相続税がかかる場合には、承継相続人が相続時精算課税適用者に代わって相続税の申告をすることになります。

(注) 特定贈与者が相続人となる場合は、その特定贈与者は、相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務は承継しません。

また、その承継相続人が死亡している場合、この承継相続人の相続人(「再承継相続人」といいます。)が、その承継相続人が承継をした割合により相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務を承継し、相続時の精算を行うこととなります。

なお、再承継相続人が死亡している場合、再承継相続人の相続人には、更に相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務の承継はありません。したがって、この再々承継分の権利義務は消滅することとなり、相続時の精算の必要はなくなります。

(参考) 承継相続人または再承継相続人に係る相続税額の計算

イ 課税価格
相続時精算課税の適用を受ける財産の価額の合計額(承継されないこととなる金額を除きます。)

ロ 債務控除
適用なし。

ハ 基礎控除
適用あり。ただし、死亡した相続時精算課税適用者は法定相続人の数に含まれません。

ニ 未成年者控除
適用なし。

ホ 障害者控除
適用なし。

ヘ 外国税額控除
適用あり。

ト 相続時精算課税における贈与税額の控除
適用あり。

(注) 当該各承継相続人に当該特定贈与者から相続もしくは遺贈または相続時精算課税に係る贈与により取得した財産がある場合(死亡した相続時精算課税適用者の代襲相続人として当該特定贈与者から相続により財産を取得した場合など)には、当該財産に係る相続税額と上記の相続税額を合計した金額が当該各承継相続人の納付すべき相続税額となります(再承継相続人の場合も同じです。)。

(相法11の2、13、15、19の3、19の4、20の2、21の17、相基通13−10、15-7、19の3-6、19の4-6、21の17-1)

相続時精算課税適用者が死亡した場合における納税に係る権利義務の承継の割合

Q3

相続時精算課税適用者の相続人が2人以上ある場合の納税に係る権利義務の承継の割合はどうなりますか。

A3

特定贈与者の死亡以前にその特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合において、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務を承継する相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)が2人以上あるときのその相続人が承継する割合の例は次の事例のとおりです。

(事例1)

相続時精算課税適用者の相続人がその相続時精算課税適用者の配偶者および子の計2人である場合

この場合においては、配偶者および子が相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継することになり、その割合は、配偶者と子がそれぞれ2分の1ずつとなります。

(事例2)

相続時精算課税適用者の相続人がその相続時精算課税適用者の配偶者、父(特定贈与者)および母の計3人である場合

この場合においては、配偶者および母が相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務を承継することになり、その割合は、配偶者が3分の2、母が3分の1となります。

なお、父は特定贈与者であり、相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務は承継しません。

(相法21の17、相令5の5、相基通21の17-2)

お問い合わせ先

国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。