[令和5年4月1日現在法令等]
相続税
個人が、相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(「被相続人等」といいます。)の事業の用または居住の用に供されていた宅地等(土地または土地の上に存する権利をいいます。以下同じです。)のうち一定のものがある場合には、その宅地等のうち一定の面積までの部分(「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、下記の「減額される割合等」の表に掲げる区分ごとにそれぞれに掲げる割合を減額します。
なお、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等および「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」の適用を受けた特例事業受贈者に係る贈与者または「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受ける特例事業相続人等に係る被相続人から相続または遺贈により取得した特定事業用宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
(注)「宅地等のうち一定のもの」とは、建物または構築物の敷地の用に供されている宅地等(農地および採草放牧地を除きます。)をいい、棚卸資産およびこれに準ずる資産を除きます。
小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。
相続開始の直前における宅地等の利用区分 | 要件 | 限度面積 | 減額される割合 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 | 貸付事業以外の事業用の宅地等 | ① | 特定事業用宅地等に該当する宅地等 | 400 | 80% | |
貸付事業用の宅地等 | 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除きます。)用の宅地等 | ② | 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 | 400 | 80% | |
③ | 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200 | 50% | |||
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 | ④ | 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200 | 50% | ||
被相続人等の貸付事業用の宅地等 | ⑤ | 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 | 200 | 50% | ||
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 | ⑥ | 特定居住用宅地等に該当する宅地等 | 330 | 80% |
特例の適用を選択する宅地等が以下のいずれに該当するかに応じて、限度面積を判定します。
特例の適用を選択する宅地等 | 限度面積 |
---|---|
特定事業用等宅地等(①または②)および特定居住用宅地等(⑥) (貸付事業用宅地等がない場合) |
(①+②)≦400㎡ ⑥≦330㎡ 両方を選択する場合は、合計730㎡ |
貸付事業用宅地等(③、④または⑤)およびそれ以外の宅地等(①、②または⑥) (貸付事業用宅地等がある場合) |
(①+②)×200/400+⑥×200/330 +(③+④+⑤)≦200㎡ |
(注) 特例を適用する宅地等が配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される宅地等またはその宅地等を配偶者居住権に基づき使用する権利の全部または一部である場合には、その宅地等の面積に、それぞれその敷地の用に供される宅地等の価額またはその権利の価額がこれらの価額の合計額のうちに占める割合を乗じて得た面積を、特例を適用する宅地等の面積とみなして、上記の算式を計算します。
この特例の対象となる宅地等は、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等、特定居住用宅地等および貸付事業用宅地等のいずれかに該当するものであることが必要です。
相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業(注1)を除きます。)の用に供されていた宅地等(その相続の開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等(「3年以内事業宅地等」といいます。以下同じです。)(注2)を除きます。)で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件のすべてに該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件のすべてに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
区分 | 特例の適用要件 | |
---|---|---|
被相続人の事業の用に供されていた宅地等 | 事業承継要件 | その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。 |
保有継続要件 | その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 | |
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等 | 事業継続要件 | 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること。 |
保有継続要件 | その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 |
(注1) 「準事業」とは、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいいます。
(注2) 相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等であっても、一定の規模以上の事業を行っていた被相続人等の事業の用に供された宅地等については、3年以内事業宅地等に該当しません。
なお、上記の「一定の規模以上の事業」とは、次の算式を満たす場合におけるその事業をいいます。
(算式)
下記の事業の用に供されていた一定の資産(※)のうち 被相続人等が有していたものの相続開始時の価額の合計額 新たに事業の用に供された宅地等の相続開始時の価額 |
≧15% |
※ 上記の「一定の資産」とは、次に掲げる資産(その資産のうちにその事業の用以外の用に供されていた部分がある場合には、その事業の用に供されていた部分に限ります。)をいいます。
1 その宅地等の上に存する建物(その附属設備を含みます。)または構築物
2 所得税法第2条第1項第19号に規定する減価償却資産でその宅地等の上で行われるその事業に係る業務の用に供されていたもの(上記1に掲げるものを除きます。)
(注3) 被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人が、特定事業用宅地等についてこの特例の適用を受ける場合には、その人を含め、その被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人のすべてが、「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除」の適用を受けることができません。
相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、次の表に掲げる要件のすべてに該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(一定の法人の事業の用に供されている部分で、次の表に掲げる要件のすべてに該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
区分 | 特例の適用要件 | |
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一定の法人の事業の用に供されていた宅地等 | 法人役員要件 | 相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること。 |
保有継続要件 | その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 |
(注) 一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人および被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数または出資の総額の50パーセント超を有している場合におけるその法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除きます。)をいいます。
1 被相続人の親族等とは、被相続人の親族およびその被相続人と租税特別措置法施行令第40条の2第16項に定める特別の関係がある者をいいます。
2 発行済株式の総数または出資の総額には、法人の株主総会または社員総会において議決権を行使できる事項の全部について制限された租税特別措置法施行規則第23条の2第6項または第7項に規定する株式または出資は含まれません。
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。
区分 | 特例の適用要件 | |||
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取得者 | 取得者等ごとの要件 | |||
① | 被相続人の居住の用(注1)に供されていた宅地等(注2) | 1 | 被相続人の配偶者 | 「取得者ごとの要件」はありません。 |
2 | 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族(注3) | 相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。 | ||
3 | 上記1および2以外の親族 |
次の(1)から(6)の要件をすべて満たすこと(一定の経過措置がありますので、詳しくは下記の(注4)を参照してください。) 。
|
||
② | 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等 | 1 | 被相続人の配偶者 | 「取得者ごとの要件」はありません。 |
2 | 被相続人と生計を一にしていた親族 | 相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 |
(注1) 「被相続人の居住の用」には、被相続人の居住の用に供されていた宅地等が、養護老人ホームへの入所など被相続人が居住の用に供することができない一定の事由(次の(1)または(2)の事由に限ります。)により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合(被相続人の居住の用に供されなくなった後に、事業の用または新たに被相続人等以外の人の居住の用に供された場合を除きます。)におけるその事由により居住の用に供されなくなる直前の被相続人の居住の用を含みます。
(1) 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定もしくは同条第2項に規定する要支援認定を受けていた被相続人または介護保険法施行規則第140条の62の4第2号に該当していた被相続人が次に掲げる住居または施設に入居または入所をしていたこと。
イ 老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホームまたは同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム
ロ 介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設または同条第29項に規定する介護医療院
ハ 高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅(イの有料老人ホームを除きます。)
(2) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条第1項に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が同法第5条第11項に規定する障害者支援施設(同条第10項に規定する施設入所支援が行われるものに限ります。)または同条第17項に規定する共同生活援助を行う住居に入所または入居をしていたこと。
(注2) 「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」が、被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物(「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」※を除きます。)の敷地の用に供されていたものである場合には、その敷地の用に供されていた宅地等のうち被相続人の親族の居住の用に供されていた部分(上記の「特定居住用宅地等の要件」区分②に該当する部分を除きます。)を含みます。
(注3) 「被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族」とは、次の(1)または(2)のいずれに該当するかに応じ、それぞれの部分に居住していた親族のことをいいます。
(1) 被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物が、「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」※である場合
被相続人の居住の用に供されていた部分
(2) (1)以外の建物である場合
被相続人または被相続人の親族の居住の用に供されていた部分
※ 「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」とは、区分所有建物である旨の登記がされている建物をいいます。
(注4) 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)附則第118条第3項の規定により、令和2年4月1日以後に相続または遺贈により同条第2項に規定する経過措置対象宅地等を取得した場合において、同年3月31日においてその経過措置対象宅地等の上に存する建物の新築または増築等の工事が行われており、かつ、その工事の完了前に相続または遺贈があったときは、その相続税の申告期限までにその建物を自己の居住の用に供したときに限り、その経過措置対象宅地等については上の表の①の被相続人の居住の用に供されていた宅地等と、その取得者は、同表の①2の要件を満たす者とみなすこととされています。
(注5) 「居住制限納税義務者」または「非居住制限納税義務者」については、コード4138「相続人が外国に居住しているとき」を参照してください。
(注6) 「特別の関係がある一定の法人」とは、次の(1)から(4)に掲げる法人をいいます。
(1) 取得者および租税特別措置法施行令第40条の2第15項第1号イからヘまでに掲げる者(以下(注6)において「取得者等」といいます。)が法人の発行済株式または出資(その法人が有する自己の株式または出資を除きます。)の総数または総額((2)および(3)において「発行済株式総数等」といいます。)の10分の5を超える数または金額の株式または出資を有する場合におけるその法人
(2) 取得者等および(1)に掲げる法人が他の法人の発行済株式総数等の10分の5を超える数または金額の株式または出資を有する場合におけるその他の法人
(3) 取得者等ならびに(1)および(2)に掲げる法人が他の法人の発行済株式総数等の10分の5を超える数または金額の株式または出資を有する場合におけるその他の法人
(4) 取得者等が理事、監事、評議員その他これらの者に準ずるものとなっている持分の定めのない法人
相続開始の直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業(注1)に限ります。以下「貸付事業」といいます。)の用に供されていた宅地等(その相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等(「3年以内貸付宅地等」といいます。以下同じです。)(注2)を除きます。)で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件のすべてに該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件のすべてに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。)。
区分 | 特例の適用要件 | |
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被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等 | 事業承継要件 | その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること。 |
保有継続要件 | その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 | |
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等 | 事業継続要件 | 相続開始前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること。 |
保有継続要件 | その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 |
(注1) 「準事業」とは、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいいます。
(注2) 相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等であっても、相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業(貸付事業のうち準事業以外のものをいいます。以下同じです。)を行っていた被相続人等のその特定貸付事業の用に供された宅地等については、3年以内貸付宅地等に該当しません。
日本郵便株式会社に貸し付けられている郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等については、次の要件のすべてを満たす場合、特定事業用宅地等に該当するものとして、この特例の適用を受けることができます。
1 平成19年9月30日以前から被相続人またはその相続人が旧日本郵政公社との間の賃貸借契約に基づき郵便局の用に供するために貸し付けられていた一定の建物(以下「郵便局舎」といいます。)の敷地の用に供されていた宅地等であること。
2 平成19年10月1日から相続の開始の直前までの間において、その賃貸借契約の契約事項に一定事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき、引き続き、郵便局舎の敷地の用に貸し付けられていた宅地等であること。(貸付先は、平成19年10月1日から平成24年9月30日までの間にあっては郵便局株式会社、平成24年10月1日から相続開始の直前までの間にあっては日本郵便株式会社)
3 その宅地等を取得した相続人から相続の開始の日以後5年以上その郵便局舎を日本郵便株式会社が引き続き借り受けることにより、その宅地等を同日以後5年以上郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることについて総務大臣の証明がなされたものであること。
4 郵便局舎の宅地等について、既にこの特例の規定の適用を受けていないこと。(賃貸人一代限り)
この特例の適用を受けるためには、相続税の申告書に、この特例の適用を受けようとする旨を記載するとともに、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど一定の書類を添付する必要があります。
また、この特例の対象となり得る宅地等やその他一定の特例の対象となり得る財産や宅地等を取得した相続人等が2人以上いる場合には、この特例の適用を受けようとする宅地等の選択についてその全員が同意しており、かつ、原則として相続税の申告期限までに分割されていることが必要です。
なお、相続税の申告期限までにこの特例の対象となり得る宅地等が未分割である場合には、コード4208「相続財産が分割されていないときの申告|を参照してください。
措法69の4、平30改正法附則118、措令40の2、措規23の2、措通69の4-27、28、郵政民営化法180
◆手引き・パンフレット
・相続税のしくみ(平成25年度税制改正、平成26年以降施行されるもの)
◆関連する質疑応答事例《相続税》
◆通達・情報
○配偶者居住権関係
・「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例に係る相続税の申告書の記載例等について(情報)」(令和3年4月1日)
・「相続税及び贈与税等に関する質疑応答事例(民法(相続法)改正関係)について(情報)」(令和2年7月7日)
○特定事業用宅地等関係
・「相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)」(令和元年11月5日)
○区分所有建物関係
・「「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)」(平成26年1月15日)
国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。