[令和6年4月1日現在法令等]

対象税目

所得税

概要

この制度は、青色申告書を提出する個人が令和4年から令和9年までの各年において、国内雇用者に対して支払う給与等支給額が適用年の前年の給与等支給額に比して一定割合以上増加した場合に、税額控除が認められます。

税額控除限度額(令和4年分)

税額控除限度額は、次のとおりです。

なお、税額控除限度額が調整前事業所得税額(租税特別措置法第10条第8項第4号に規定する金額をいいます。)の20パーセントを超える場合には、その20パーセントが控除限度額となります。

(1)中小事業者の場合(「中小事業者」とは常時使用する従業員が1,000人以下の個人をいいます。)

適用年分の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額の15パーセント相当額です。ただし、次のイおよびロの要件を満たす場合には25パーセント相当額です。

イ 雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が100分の2.5以上であること

ロ 次に掲げる要件のいずれかを満たすこと

(イ) 教育訓練費の額から前年分の教育訓練費(比較教育訓練費)の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が100分の10以上であること

(ロ) 中小企業等経営強化法の認定を受けた中小事業者で、経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことにつき一定の証明がされたものであること

(2)中小事業者以外の場合

その個人のその年の控除対象新規雇用者給与等支給額の15パーセント相当額です。

ただし、次の要件を満たす場合には5パーセントが加算されます。

教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が100分の20以上である場合。

税額控除限度額(令和5年分・令和6年分)

税額控除限度額は、次のとおりです。

なお、税額控除限度額が調整前事業所得税額(租税特別措置法第10条第8項第4号に規定する金額をいいます。)の20パーセントを超える場合には、その20パーセントが控除限度額となります。

(1)中小事業者の場合(「中小事業者」とは常時使用する従業員が1,000人以下の個人をいいます。)

その中小事業者のその年の控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額です。ただし、次のイおよびロの要件を満たす場合にはそれぞれの金額が加算されます。

イ 雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が100分の2.5以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額。

ロ 教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が100分の10以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の10パーセント相当額。

(2)中小事業者以外の場合

その個人のその年の控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額です。ただし、次のイおよびロの要件を満たす場合にはそれぞれの金額が加算されます。

イ 継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額に対して4パーセント以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の10パーセント相当額。

ロ 教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が100分の20以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の5パーセント相当額。

税額控除限度額(令和7年分から令和9年分)

税額控除限度額は、次のとおりです。

なお、税額控除限度額が調整前事業所得税額(租税特別措置法第10条第8項第4号に規定する金額をいいます。)の20パーセントを超える場合には、その20パーセントが控除限度額となります。

(1)中小事業者の場合(「中小事業者」とは常時使用する従業員が1,000人以下の個人をいいます。)

その中小事業者のその年の控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額です。ただし、次のイ、ロおよびハの要件を満たす場合にはそれぞれの金額が加算されます。

イ 雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が100分の2.5以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額。

ロ 次の(イ)および(ロ)の要件をすべて満たす場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の10パーセント相当額。

(イ) 教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が100分の5以上であること

(ロ) 教育訓練費の額の雇用者給与等支給額に対する割合が100分の0.05以上であること

ハ 次の(イ)から(ニ)の要件のいずれかを満たす場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の5パーセント相当額。

(イ) その年において次世代育成支援対策推進法第13条の認定を受けたこと

(ロ) その年の12月31日において次世代育成支援対策推進法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること

(ハ) その年において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第9条の認定を受けたこと

(ニ) その年の12月31日において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第13条第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること

(2) 特定個人の場合(「特定個人」とは常時使用する従業員が2,000人以下の個人をいいます。)

 その特定個人のその年の控除対象雇用者給与等支給増加額の10パーセント相当額です。ただし、次のイ、ロおよびハの要件を満たす場合にはそれぞれの金額が加算されます。

イ 継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の4以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額。

ロ 次の(イ)および(ロ)の要件をすべて満たす場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の5パーセント相当額。

(イ) 教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が100分の10以上であること

(ロ) 教育訓練費の額の雇用者給与等支給額に対する割合が100分の0.05以上であること

ハ 次の(イ)から(ハ)の要件のいずれかを満たす場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の5パーセント相当額。

(イ) その年の12月31日において次世代育成支援対策推進法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること

(ロ) その年において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第9条の認定を受けたこと

(ハ) その年の12月31日において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第13条第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること

(3) 中小事業者又は特定個人以外の場合

その個人のその年の控除対象雇用者給与等支給増加額の10パーセント相当額です。ただし、次のイ、ロおよびハの要件を満たす場合にはそれぞれの金額が加算されます。

イ 継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の4以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の5パーセント相当額(その割合が100分の5以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の10パーセント相当額。その割合が100分の7以上である場合は、控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント相当額。

ロ 次の(イ)および(ロ)の要件をすべて満たす場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の5パーセント相当額。

(イ) 教育訓練費の額から比較教育訓練費の額を控除した金額のその比較教育訓練費の額に対する割合が100分の10以上であること

(ロ) 教育訓練費の額の雇用者給与等支給額に対する割合が100分の0.05以上であること

ハ 次の(イ)および(ロ)の要件のいずれかを満たす場合には、控除対象雇用者給与等支給増加額の5パーセント相当額。

(イ) その年の12月31日において次世代育成支援対策推進法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること

(ロ) その年の12月31日において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第13条第1項に規定する特例認定一般事業主に該当すること

繰越税額控除制度

青色申告書を提出する中小事業者(「中小事業者」とは常時使用する従業員が1,000人以下の個人をいいます。)に、繰越税額控除限度超過額(税額控除限度額のうち控除しきれなかった金額)がある場合には、翌年以後5年間にわたり、繰越税額控除限度超過額(前年以前に既に控除された金額がある場合には、その残額)を控除することができます。

なお、控除をしようとする年分の雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等を超える場合に限ります。

また、その年の繰越税額控除限度超過額が、調整前事業所得税額(租税特別措置法第10条第8項第4号に規定する金額をいいます。)の20パーセントを超える場合には、その20パーセントが限度となります。

対象者または対象物

青色申告書を提出する個人

控除の適用を受けるための要件(令和4年分)

この制度の適用を受けるには、次の区分に応じた要件を満たす必要があります。

(1)中小事業者の場合

国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その年においてその中小事業者の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が100分の1.5以上であること。

(2)中小事業者以外の場合

新規雇用者給与等支給額から新規雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその新規雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の2以上であること

<参考>

1 国内雇用者とは、個人の使用人(個人と特殊の関係のある者を除きます(注)。)のうち、個人の有する国内事業所に勤務する者で、労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者をいいます。

(注)個人と特殊の関係にある者とは次の者をいいます。

イ 個人の親族

ロ 個人と婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者

ハ 上記イ、ロ以外の者で個人から受ける金銭その他の資産(個人からの給与に該当しないものに限ります。)によって生計の支援を受けている者

ニ 上記ロ、ハに該当する者と生計を一にするこれらの者の親族

2 継続雇用者とは、適用年および適用年の前年の各月において給与の支給を受けた国内雇用者をいいます。

3 雇用者給与等支給額とは、適用年の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。

4 継続雇用者給与等支給額とは、継続雇用者に対する適用年の給与等の支給額として一定の金額をいいます。

5 継続雇用者比較給与等支給額とは、継続雇用者に対する適用年の前年の給与等の支給額として一定の金額をいいます。

6 比較雇用者給与等支給額とは、適用年の前年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額(その適用年の前年において事業を営んでいた期間の月数と適用年において事業を営んでいた月数とが異なる場合にはその月数に応じ一定の計算をした金額)をいいます。

7 比較教育訓練費の額とは、適用年の前年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される教育訓練費の額(その中小事業者が適用年の前年において事業を開始した場合には、その適用年の前年の教育訓練費の額に12を乗じてこれをその適用年において事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額)をいいます。

8 控除対象雇用者給与等支給増加額とは、雇用者給与支給額から比較雇用者給与支給額を控除した金額(その金額が適用年の調整雇用者給与等支給増加額を超える場合には、その調整雇用者等給与等支給増加額)をいいます。

9 調整雇用者給与等支給増加額とは、雇用安定助成金等(給与等の支払に充てるため国又は地方公共団体から受ける金額をいいます)を控除して計算した雇用者給与等支給額から雇用調整助成金等を控除して計算した比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいいます。

10 新規雇用者給与等支給額とは、適用年の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される国内新規雇用者に対する給与等の支給額をいいます。

11 新規雇用者比較給与等支給額とは、適用年の前年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される国内新規雇用者に対する給与等の支給額をいいます。

控除の適用を受けるための要件(令和5年分・令和6年分)

この制度の適用を受けるには、次の区分に応じた要件を満たす必要があります。

(1)中小事業者の場合

国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その年においてその中小事業者の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が100分の1.5以上であること。

(2)中小事業者以外の場合

継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の3以上であること

控除の適用を受けるための要件(令和7年分から令和9年分)

この制度の適用を受けるには、次の区分に応じた要件を満たす必要があります。

(1)中小事業者の場合

国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その年においてその中小事業者の雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額のその比較雇用者給与等支給額に対する割合が100分の1.5以上であること。

(2)特定個人の場合

国内雇用者に対して給与等を支給する場合で、かつ、その年の12月31日において特定個人に該当する場合において、継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の3以上であること

(3)中小事業者及び特定個人以外の場合

国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が100分の3以上であること

対象期間

適用の対象となる期間(年度)

この制度は、令和4年から令和9年までの各年(事業開始日および廃止日を含む年は除きます。)において適用できます。

手続き

申告先等

所轄税務署

注意事項

(1)この制度の適用を受けるためには、確定申告書に、控除の対象となる金額、控除を受ける金額の記載およびその金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

(2)この制度の適用を受ける場合は、復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除、企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の税額控除、避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の税額控除は適用できません。

なお、地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除の適用を受ける年分においては、控除額の調整を行ったうえで適用されます。

地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除については、コード1284「地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除」を参照してください。

根拠法令等

旧措法10の5の4、措法10の5の4、措令5の6の4、震災特例法10の3、同10の3の2、同10の3の3、平30改正法附則65、令2改正法附則57、令3改正法附則30

関連リンク

◆パンフレット・手引き

確定申告書等の様式・手引き等

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申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)

お問い合わせ先

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