[令和3年9月1日現在法令等]

対象税目

消費税

概要

仕入税額控除の適用を受けるためには、法定事項が記載された帳簿および請求書等の保存が要件とされています。

消費税等の税率は軽減税率(8パーセント)と標準税率(10パーセント)の複数税率となっていますので、事業者は、消費税等の申告等を行うために、取引等を税率ごとに区分して記帳するなどの経理(以下「区分経理」といいます。)を行う必要があります(区分記載請求書等保存方式)。

免税事業者の方も課税事業者の方と取引する場合、区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。

また、令和5年10月からは、帳簿および税務署長に申請し登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)から交付を受けた適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります。適格請求書等保存方式の詳細は、コード6498適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)をご覧ください。

帳簿の記載事項

仕入税額控除の要件となる帳簿への記載事項は、次のとおりです。

(1) 課税仕入れの場合

イ 課税仕入れの相手方の氏名または名称

ロ 課税仕入れを行った年月日

ハ 課税仕入れに係る資産または役務の内容(その課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容および軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)

ニ 課税仕入れに係る支払対価の額

(消費税額および地方消費税額に相当する額を含みます。)

(2) 特定課税仕入れの場合

イ 特定課税仕入れの相手方の氏名または名称

ロ 特定課税仕入れを行った年月日

ハ 特定課税仕入れの内容

ニ 特定課税仕入れに係る支払対価の額

ホ 特定課税仕入れに係るものである旨

(3) 保税地域からの課税貨物の引取りの場合

イ 課税貨物を保税地域から引き取った年月日

(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取った年月日および特例申告書を提出した日または特例申告に関する決定の通知を受けた日)

ロ 課税貨物の内容

ハ 課税貨物の引取りに係る消費税額および地方消費税額(これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除きます。)またはその合計額

請求書等の記載事項

仕入税額控除の要件となる請求書等への記載事項は、次のとおりです。

(1) 事業者に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類(当該課税資産の譲渡等が小売業、飲食店業、タクシー業、駐車場業、その他これらに準ずる事業で不特定多数の者に資産の譲渡等を行うものである場合には、イからニまでに掲げる事項が記載されているもの。)

イ 書類の作成者の氏名または名称

ロ 課税資産の譲渡等を行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)

ハ 課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容(その課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、その資産の内容および軽減対象資産の譲渡等である旨)

ニ 税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額および地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含みます。)

ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名または名称

(2) 事業者がその行った課税仕入れにつき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類(当該書類に記載されている事項につき、当該課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限ります。)

イ 書類の作成者の氏名または名称

ロ 課税仕入れの相手方の氏名または名称

ハ 課税仕入れを行った年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)

ニ 課税仕入れに係る資産または役務の内容(その課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容および軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)

ホ 税率の異なるごとに区分して合計した課税仕入れに係る税込対価の額

(3) 課税貨物を保税地域から引き取る事業者が税関長から交付を受ける当該課税貨物の輸入の許可(関税法第67条(輸出または輸入の許可)に規定する輸入の許可をいいます。)があったことを証する書類、その他税関長の承認を受けて輸入の許可前に保税地域から課税貨物を引き取った場合における当該承認があったことを証する書類など

イ 納税地を所轄する税関長

ロ 課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなった年月日(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなった年月日および特例申告書を提出した日または特例申告に関する決定の通知を受けた日)

ハ 課税貨物の内容

ニ 課税貨物に係る消費税の課税標準である金額ならびに引取りに係る消費税額および地方消費税額(これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除きます。)

ホ 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

帳簿の記載内容について

(1) 帳簿と請求書等の記載内容の対応関係

請求書等に記載されている課税仕入れに係る資産または役務の内容が一品ごとの詳細なもの(例えば、鮮魚店の場合であれば、「あじ○匹、いわし○匹、──」というような記載)であっても、帳簿には商品の一般的な総称でまとめて記載するなど、申告時に請求書等を個々に確認することなく仕入控除税額を計算できる程度に記載してあれば差し支えありません。

ただし、課税商品と非課税商品がある場合(例えば、ビールと贈答用ビール券)には区分して記載する必要があります。

また、商品が軽減税率の対象品目である場合にはその旨を記載する必要があります。軽減税率の対象品目である旨の記載については、区分記載請求書と同様に、軽減税率の適用対象を示す記号(「※」や「☆」など)等の記載をする方法がありますが、この他に税率区分欄を設けて、税率や税率コードを記載する方法もあります。

(参考)

「課税仕入れに係る資産または役務の内容」の記載例

・青果店………野菜、果実、青果または食料品

・魚介類の卸売業者………魚類、乾物または食料品

(2) 一取引で複数の種類の商品を購入した場合

一回の取引で、複数の一般的な総称の商品を2種類以上購入した場合でも、例えば、建設会社が文房具と雑貨を購入したときのように、それが経費に属する課税仕入れである場合には、課税仕入れに係る資産または役務の内容として、「文房具ほか」、「文房具等」と記載することで差し支えありません。

ただし、課税商品と非課税商品がある場合、標準税率対象商品と軽減税率対象商品がある場合には区分して記載する必要があります。

(3) 一定期間分の取引のまとめ記載

課税期間の範囲内で一定期間分の取引について請求書等をまとめて作成する場合には、その請求書等に記載すべき課税仕入れの年月日については、その一定期間でよいこととされています。

これには、例えば、電気、ガス、水道水等のように継続的に供給されるもので、一定期間ごとに供給量を検針し、その結果により料金を請求するという取引の場合が該当しますが、このような取引に係る請求書等に基づいて帳簿を作成する場合には、課税仕入れの年月日の記載も同様の記載で差し支えありません。

また、例えば、同一の商品(一般的な総称による区分が同一となるもの)を一定期間内に複数回購入しているような場合で、その一定期間分の請求書等に一回ごとの取引の明細が記載または添付されているときには、帳簿の記載に当たって、課税仕入れの年月日をその一定期間とし、取引金額もその請求書等の合計額を記載することで差し支えありません。

なお、一定期間とは「○月分」という記載でも差し支えありません。

(4) 仕入税額控除の要件としての帳簿代用書類の保存の可否

法人税法では、法定事項を帳簿に記載することに代えて、それらの記載事項の全部または一部が記載されている取引関係書類を整理・保存すること(帳簿代用書類)を認めていますが、この帳簿代用書類は、仕入税額控除の要件とされる帳簿には該当しません。

したがって、帳簿代用書類が保存されていても、消費税の仕入税額控除のための帳簿については、記載すべき事項の全部または一部が欠落していることになりますから、「帳簿および請求書等の保存」があるとは認められないことになります。

ただし、帳簿代用書類のうち、課税仕入れの相手方から受け取ったものは通常「請求書等」に該当すると考えられますから、申告時にその書類を個々に確認することなく仕入控除税額を計算できる程度に課税仕入れに関する法定事項が帳簿に記載されていれば、その書類と帳簿を保存することで仕入税額控除の要件を満たすことになります。

(5) 伝票会計の場合の帳簿の保存

伝票会計を採っている事業者の伝票が、上記「帳簿の記載事項」を記載したものであリ、当該伝票を勘定科目別、日付別に整理し、これに日計表月計表等を付加した伝票綴りを保存する場合には、「帳簿の保存」があるものとして取り扱われます。

ただし、別途課税仕入れの相手方から交付を受けた請求書等の保存が、仕入税額控除を受けるために必要であることは、本来の「帳簿」を保存している場合と異なるものではありません。

(6) 帳簿に記載すべき氏名または名称

課税仕入れの相手方については、その「氏名または名称」を帳簿に記載することとされていますから、例えば、個人事業者であれば「田中一郎」等と、また、法人であれば「株式会社鈴木商店」等と記載することが原則です。

ただし、正式な氏名または名称およびそれらの略称が記載されている取引先名簿が備え付けられていることなどにより課税仕入れの相手方が特定できる状況にある場合には、例えば「田中」、「鈴木商店」のような略称による記載であっても差し支えありません。

また、飲食店であれば「日比谷食堂」、フランチャイズのコンビニエンスストアであれば「ABチェーン霞が関店」のような屋号等による記載であっても、電話番号が明らかであること等により課税仕入れの相手方が特定できる場合には、正式な氏名または名称の記載でなくても差し支えありません。

根拠法令等

消法30、消令49、平28改正法附則34②

お問い合わせ先

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