[令和6年4月1日現在法令等]
法人税
青色申告書を提出する法人が、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合で、かつ、その事業年度終了の時において特定法人に該当する場合において、その事業年度において下記の「適用要件」を満たすときは、その事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の10パーセント(<上乗せ要件>を満たす場合には、最大35パーセント)相当額(以下「税額控除限度額」といいます。)の法人税額の特別控除ができることとされています。※制度の詳細については、経済産業省ホームページをご覧ください。
次の1ないし3要件を満たす必要があります。
1 国内雇用者(注1)に対して給与等を支給すること。
2 その事業年度終了の時において特定法人(注2)に該当すること。
3 (継続雇用者給与等支給額(注3)-継続雇用者比較給与等支給額(注3))/継続雇用者比較給与等支給額≧3パーセント
※ 継続雇用者比較給与等支給額が0である場合には、要件を満たさないものとされます。
ただし、その事業年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合には、次の(1)および(2)の要件も満たす必要があります。
(1)インターネットを利用する方法によりマルチステークホルダー方針(給与等の支給額の引上げの方針、下請事業者その他の取引先との適切な関係の構築の方針その他の事業上の関係者との関係の構築の方針に関する一定の事項)を公表すること
(2)そのマルチステークホルダー方針を公表していることについて経済産業大臣に届出があった旨を証する書類の写しを確定申告書等に添付していること
<上乗せ要件>
次の4ないし6の要件を満たす必要があります。
4 (継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額)/継続雇用者比較給与等支給額≧4パーセント
5 (教育訓練費の額(注4)-比較教育訓練費の額(注5))/比較教育訓練費の額≧10%、かつ、教育訓練費の額/雇用者給与等支給額(注6)≧0.05パーセント
6 次の(1)ないし(3)に掲げる要件のいずれかを満たすこと
(1)その事業年度終了の時において次世代育成支援対策推進法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主(プラチナくるみん認定を受けている者)に該当すること。
(2)その事業年度において女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第9条の認定(えるぼし認定(3段階目以上))を受けたこと(同法第4条の女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供及び同条の雇用環境の整備の状況が良好な一定の場合に限り、その事業年度終了の日までにその認定が取り消された場合を除きます。)。
(3)その事業年度終了の時において女性の機会職業生活における活躍の推進に関する法律第13条第1項に規定する法律第13条第1項に規定する特例認定一般事業主(プラチナえるぼし認定を受けている者)に該当すること。
(注1)国内雇用者とは、法人の使用人(その法人の役員と特殊の関係のある者等の一定の者を除きます。)のうちその法人の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者をいいます。
(注2)特定法人とは、常時使用する従業員の数が2,000人以下の法人をいいます。ただし、その法人およびその法人との間にその法人による支配関係がある他の法人の常時使用する従業員の数の合計数が1万人を超える法人を除きます。
(注3)継続雇用者給与等支給額とは、法人の各事業年度(以下「適用年度」といいます。)およびその適用年度開始の日の前日を含む事業年度(以下「前事業年度」といいます。)の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者(雇用保険法の一般被保険者に限られ、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度の対象者を除くこととされています。以下「継続雇用者」といいます。)に対する適用年度の給与等の支給額(その給与等に充てるために他の者から支払を受ける金額(国または地方公共団体から受ける雇用保険法第62条第1項第1号に掲げる事業として支給が行われる助成金その他これに類するものの額および役務の提供の対価として支払を受ける金額(※)を除きます。以下「補塡額」といいます。)がある場合には、その補塡額を控除した金額になります。以下同じです。)をいいます。
また継続雇用者比較給与等支給額とは、法人の継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額をいいます。
※ 「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」から除かれる補塡額については、令和6年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されますが、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度分の法人税についても、「役務提供の対価として支払を受ける金額」は補塡額に含まれないこととしても差し支えありません。
(注4)教育訓練費とは、法人がその国内雇用者の職務に必要な技術または知識を習得させ、または向上させるために支出する費用で以下のものをいいます。
1 法人がその国内雇用者に対して教育、訓練、研修、講習その他これらに類するもの(以下「教育訓練等」といいます。)を自ら行う場合の次の費用
(1) 教育訓練等のために講師または指導者(その法人の役員または使用人である者を除きます。以下「講師等」といいます。)に対して支払う報酬、料金、謝金その他これらに類するものおよび教育訓練等を行うために要する講師等の旅費のうちその法人が負担するものならびに教育訓練等に関する計画または内容の作成についてその教育訓練等に関する専門的知識を有する者(その法人の役員または使用人である者を除きます。)に委託している場合のその専門的知識を有する者に対して支払う委託費その他これに類するもの
(2) その教育訓練等のために施設、設備その他の資産を賃借する場合におけるその賃借に要する費用およびコンテンツ(文字、図形、色彩、音声、動作もしくは映像またはこれらを組み合わせたものをいいます。)の使用料(コンテンツの取得に要する費用に該当するものを除きます。)
2 法人から委託を受けた他の者がその法人の国内雇用者に対して教育訓練等を行う場合の、その教育訓練等のために当該他の者に対して支払う費用
3 法人がその国内雇用者を他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の、当該他の者に対して支払う授業料、受講料、受験手数料その他の当該他の者が行う教育訓練等に対する対価として支払うもの
(注5)比較教育訓練費の額とは、法人の適用年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額の合計額をその1年以内に開始した各事業年度の数で除して計算した金額をいいます。
(注6)雇用者給与等支給額とは、法人の適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。
税額控除限度額は、次の算式により計算します。
税額控除限度額=控除対象雇用者給与等支給増加額(注1、注2)×10パーセント(注3)
(注1)控除対象雇用者給与等支給増加額とは、法人の雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額(※)を控除した金額をいいます。
※ 比較雇用者給与等支給額とは、前事業年度における雇用者給与等支給額をいいます。
ただし、その金額がその法人の調整雇用者給与等支給増加額(次の1の金額から2の金額を控除した金額をいいます。)を超える場合には、その調整雇用者給与等支給増加額とされます。
1 雇用者給与等支給額(雇用安定助成金額がある場合には、その金額を控除した金額)
2 比較雇用者給与等支給額(雇用安定助成金額がある場合には、その金額を控除した金額)
(注2)その事業年度において「地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除」(措法42の12)の規定の適用を受ける場合には、その規定による控除を受ける金額の計算の基礎となった者に対する給与等の支給額を基に計算した金額を控除した残額とされています。
(注3)上記の「適用要件」の<上乗せ要件>の要件4を満たす場合には15パーセント、要件5を満たす場合には5パーセント、また、要件6を満たす場合には5パーセントがそれぞれ加算されます。なお、いずれも満たす場合には25パーセントが加算されます。
なお、この税額控除限度額が、その事業年度の調整前法人税額の20パーセント相当額を超える場合には、その控除を受ける金額は、その20パーセント相当額が上限となります。
適用対象法人は、青色申告書を提出する法人です。ただし、上記の「適用要件」の2に記載しているとおり、その事業年度終了の時において特定法人に該当している必要があります。
令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用できます。
ただし、コード5927「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(大企業向け賃上げ促進税制)」の適用を受ける事業年度、設立事業年度(法人の設立の日を含む事業年度)、合併以外の事由による解散の日を含む事業年度および清算中の各事業年度においては、適用できません。
申告に当たっての注意点については、次のとおりです。
1 対象となる期間内に新たに設立された法人の設立の日を含む事業年度については、この制度の適用を受けることができません。
2 確定申告書等(控除を受ける金額を増加させる修正申告書または更正請求書を提出する場合には、その修正申告書または更正請求書を含みます。)に控除の対象となる控除対象雇用者給与等支給増加額(継続雇用者給与等支給額および継続雇用者比較給与等支給額を含みます。)、控除を受ける金額およびその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用されます。この場合において、控除される金額の計算の基礎となる控除対象雇用者給与等支給増加額は、確定申告書等に添付された書類に記載された控除対象雇用者給与等支給増加額が限度となります。
3 その事業年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合には、上記の「適用要件」の2(2)のとおり、マルチステークホルダー方針を公表していることについて経済産業大臣に届出があった旨を証する書類の写しを確定申告書等に添付する必要があります。
上記の「適用要件」の<上乗せ要件>の要件5を満たすものとしてこの制度の適用を受けようとする場合には、教育訓練費の額および比較教育訓練費の額に関する次の事項を記載した書類を、保存する必要があります。
(1) 教育訓練等の実施時期、内容、対象となる国内雇用者の氏名
(2) 教育訓練等の費用を支出した年月日、内容および金額ならびに相手先の氏名または名称
措法42の12、42の12の5、措令27の12の5、措規20の10、令6改正法附則38
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