県の災害対策本部等に対して義援金を支払った場合

[Q1] 県の災害対策本部や義援金配分委員会に対して義援金を支払った場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]

(個人の方が義援金を支払った場合)
 個人の方が、県の災害対策本部や義援金配分委員会に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。寄附金控除額につきましてはQ15をご覧ください。
(法人が義援金を支払った場合)
 法人が、県の災害対策本部や義援金配分委員会に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金に算入されます。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
法人税法第37条第3項

日本赤十字社に対して義援金を支払った場合

[Q2] 日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に対して義援金を支払った場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]

(個人の方が義援金を支払った場合)
 個人の方が、日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。寄附金控除額につきましてはQ15をご覧ください。
(法人が義援金を支払った場合)
 法人が、日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金に算入されます。

(注) 日本赤十字社に対して支払った義援金であっても、例えば、日本赤十字社の事業資金としてのものなど、最終的に地方公共団体に拠出されるものでないもの(財務大臣が指定する寄附金に該当しないものに限ります。)につきましては、特定公益増進法人に対する寄附金に該当し、特別損金算入限度額の範囲内で損金に算入されます。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
所得税基本通達78−5
法人税法第37条第3項、第4項
法人税法施行令第77条、第77条の2
法人税基本通達9−4−6

中央共同募金会に対して義援金を支払った場合

[Q3] 社会福祉法人中央共同募金会(以下「中央共同募金会」といいます。)に対して義援金を支払った場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。
 中央共同募金会においては、この度の東北地方太平洋沖地震に関して、2つの義援金口座を設置していますが、取扱いは異なりますか。

[A]

(個人の方が義援金を支払った場合)
 お尋ねのように、中央共同募金会では、「各県の被災者の生活再建のための義援金」と「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」との2つの口座が設置されていますが、いずれの口座に対して支払った義援金も「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。寄附金控除額につきましてはQ15をご覧ください。
(法人が義援金を支払った場合)
上記の(個人の方が義援金を支払った場合)に記載したとおり、中央共同募金会では、「各県の被災者の生活再建のための義援金」と「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」との2つの口座が設置されています。
 まず、「各県の被災者の生活再建のための義援金」口座に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当します。また、「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」口座に対して支払った義援金は、「指定寄附金」に該当します(平23.3.15財務省告示第84号)。
 法人が「国等に対する寄附金」や「指定寄附金」を支出したときは、いずれもその全額が損金に算入されます。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
所得税基本通達78−5
法人税法第37条第3項
法人税基本通達9−4−6
平成23年3月15日財務省告示第84号

被災地域の救援活動等を行っているNPO法人に対して義援金を支払った場合

[Q4] 被災地域の救援活動や被災者への救護活動を行っているNPO法人に対して義援金を支払った場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]
 お尋ねのNPO法人が国税庁から認定を受けた「認定NPO法人」であり、支払った義援金がその認定NPO法人の行う特定非営利活動に係る事業に関連するものであるときには、その義援金は「認定NPO法人に対する寄附金」に該当します。

(個人の方が義援金を支払った場合)
 個人の方が、「認定NPO法人に対する寄附金」として支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。寄附金控除額につきましてはQ15をご覧ください。
(法人が義援金を支払った場合)
法人が、「認定NPO法人に対する寄附金」として支払った義援金は、「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、その範囲内で損金に算入されます。
 また、認定NPO法人以外の法人等に対して義援金を支払った場合(注1)には、次に掲げるような支払先の区分に応じて、税務上の取扱いが異なります。
 支払先の区分や支払った義援金の税務上の取扱いにつきましては、直接支払先の法人等に確認してください。
▽ 認定NPO法人以外の法人等に対して義援金を支払った場合の税務上の取扱いの例
支払先の区分 個人の方の取扱い(所得税) 法人の取扱い(法人税)
公益社団法人・公益財団法人の場合(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限ります。) 特定寄附金として寄附金控除の対象となります。 特定公益増進法人に対する寄附金として、特別損金算入限度額の範囲内で損金に算入できます。
NPO法人(認定NPO法人でないもの)、職場の有志で組織した団体などの人格のない社団等の場合 寄附金控除の対象となりません。 一般の寄附金として、損金算入限度額の範囲内で損金に算入できます。
  1. (注1)「国等に対する寄附金」及び「指定寄附金」に該当するものを支払った場合を除きます。
  2. (注2)募金を取りまとめる団体(募金団体)を通じて、国、地方公共団体等へ義援金を支払う場合には、Q5をご覧ください。

※ 「特定公益増進法人に対する寄附金」の特別損金算入限度額など、寄附金を支払ったときの税務上の取扱いについて、詳しくは、暮らしの税情報「寄附金を支出したとき(PDF/773KB)」をご覧ください。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
所得税法施行令第217条
法人税法第37条第1項、第3項、第4項
法人税法施行令第77条、第77条の2
租税特別措置法第41条の18の3、第66条の11の2第2項
特定非営利活動促進法第46条第1項

募金団体を通じた義援金

[Q5] 当団体は、関係する個人、法人から義援金を集め、これを取りまとめた上で、一括して日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に対して支払いたいのですが、その場合、当団体に寄附した個人、法人の税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]
 お尋ねのように、募金を取りまとめる団体(以下「募金団体」といいます。)が個人、法人から義援金を預かる場合でも、その義援金が、最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであれば、募金団体に対して義援金を支払った個人の方にあっては「特定寄附金」、法人にあっては「国等に対する寄附金」として取り扱われ、税制上の優遇措置の適用を受けることができます(税制上の優遇措置につきましてはQ1をご覧ください。)。
 なお、税務署においては、募金団体に対して支払う義援金が、最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであるかどうかの確認を行っています。最終的に国、地方公共団体に拠出される義援金を募集する募金団体にあっては、「募金団体を通じた義援金等に係る税務上の確認手続きについて」をご覧いただき、税務署の確認を受けてください。
 募金団体の確認手続に関するFAQを、「U 義援金を募集する募金団体の確認手続」のQ9〜Q13に掲載していますので、併せてご覧ください。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
法人税法第37条第3項

災害見舞金に充てるために同業団体等へ拠出する分担金等

[Q6] 当連合会は、各都道府県に設置した同業団体(県団体)を構成員とする全国組織の連合会(全国団体)です(下図参照)。この度の震災によって、東北地方などの県団体(A団体など)に所属する構成員に被害を受けた者がいることから、被害を受けなかった県団体(B団体など)の構成員から分担金を集め、災害見舞金として拠出したいと考えています。
 同業団体の構成員が被災した場合に、その被災した構成員に対する災害見舞金に充てるために当該同業団体の他の構成員が拠出することとなる分担金については、一定の要件の下、必要経費又は損金に算入されるという取扱い(以下「災害見舞分担金に係る必要経費算入の取扱い」といいます。)があります(所基通37−9の6、法基通9−7−15の4)。
 当連合会のように、県ごとに別々の県団体を有し、分担金を拠出するB団体などの構成員と分担金を受けることとなるA団体などの構成員とが異なる組織(県団体)の構成員である場合には、同様に取り扱うことはできないのでしょうか。 災害見舞金に充てるために同業団体等へ拠出する分担金等

[A] お尋ねは、同一の連合会傘下の異なる組織(県団体)の構成員に対する災害見舞金に充てるための分担金ということですが、分担金を負担する構成員が属する同業団体等と、被災した構成員が属する他の団体との事業関連性などからみて、構成員相互の扶助等を目的として実施するものであれば、災害見舞分担金に係る必要経費算入の取扱い(所基通37−9の6、法基通9−7−15の4)と同様に取り扱うことになります。

[関係法令通達等]
所得税基本通達37−9の6
法人税基本通達9−7−15の4

被災された取引先に対する寄附

[Q7] この度の地震で被災された得意先に対して、法人が災害見舞金を支払った場合、支払先が事業に関係のある者で、不特定又は多数の被災者に対する寄附に当たらないことから、支払った災害見舞金は損金に算入されないのでしょうか。

[A]
 法人が、被災した取引先に対し、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、交際費等に該当せず損金に算入されます。

[関係法令通達等]
租税特別措置法通達(法人税編)61の4(1)−10の3

法人が自社製品を被災者に提供した場合

[Q8] 法人が、自社製品を被災者に提供する場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]
 法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等には該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金に算入されます。

[関係法令通達等]
法人税基本通達9−4−6の4
租税特別措置法通達(法人税編)61の4(1)−10の4