募金団体が発行する預り証への記載事項

[Q9] 当団体は、関係する個人、法人から義援金を預かり、これを取りまとめた上で、一括して日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に対して支払います。預かった義援金が、「国等に対する寄附金」に該当することについて税務署の確認を受けた場合、当団体に寄附をした個人、法人に対して発行する預り証には何を記載すべきでしょうか。

[A]
 預り証は、個人、法人が募金団体に対して支払った義援金が、最終的に国又は地方公共団体に拠出されるものであることが税務署で確認された場合に、その義援金が個人にあっては「特定寄附金」、法人にあっては「国等に対する寄附金」として取り扱われ、税制上の優遇措置の適用を受けることができる旨を、寄附した個人、法人にお知らせするものになります。
 したがって、預り証には、記載例のような内容を付記して、寄附をした方に税務上の取扱いを具体的に示すことがよいと考えられます。

(預り証の記載例)

 上記金額をお預かりしました。お預かりした義援金は、○○(例えば、「日本赤十字社の東北関東大震災義援金口座」と記載します。)に拠出いたします。

(注) この預り証をもって、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号の「国又は地方公共団体に対する寄附金」に該当することの証明としてお使いいただけますので、大切に保管してください。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
法人税法第37条第3項

募金団体が募金を受け付ける専用口座

[Q10] 募金団体の確認手続を定めた事務運営指針によれば、税務署では、「募集した義援金等の受付の専用口座等」を確認することになっていますが、専用口座は必ず設置しなければいけませんか。

[A]
 寄附者から預かった義援金が、最終的に国、地方公共団体へ拠出されることが明らかであるかどうかを判断する一つの手段として、義援金の受付専用口座を確認することとしています。受付専用口座で預かった義援金の総額をそのまま国、地方公共団体へ拠出することとしている場合には、募金団体が保有する固有の現預金と混同することがありませんから、最終的に国、地方公共団体へ拠出されることが確認されることになります。
 もっとも、義援金の受付専用口座を設置しない場合であっても、募金団体が保有する固有の現預金と寄附者から預かった義援金が経理上明確に区分され、寄附者から預かった義援金が最終的に国、地方公共団体へ拠出されることが明らかにされれば、税務署の確認を受けることができます。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
法人税法第37条第3項

専用口座を設置している場合の預り証の発行の省略

[Q11] 義援金の募集を行うに当たり、受付専用口座を開設し、寄附者に対してはその口座に振り込んでもらうようにお願いしました。受付専用口座への振込の場合、寄附者には振込票の控えが残ることになりますが、寄附者が税制上の優遇措置を受けるに当たり、別途預り証を発行する必要はありますか。

[A]
 義援金の受付専用口座を設けない場合には、寄附者が義援金を募金団体の口座に振り込んだというだけでは、その義援金が国、地方公共団体へ拠出されることが明らかではありません。したがって、この場合には、寄附者から預かった義援金を国、地方公共団体へ拠出することを明記した預り証を寄附者に対して発行することが必要となります。
 他方、義援金の受付専用口座が設けられている場合には、その口座に振り込まれたということをもって、その義援金が、最終的に国、地方公共団体に拠出されることが明らかです。したがって、この場合には、預り証を発行しなくても、郵便振替で支払った場合の半券(受領証)や銀行振込で支払った場合の振込票の控えをもって、税制上の優遇措置の適用を受けるための証明書類として差し支えありません。
 なお、その半券や振込票の控えに印字された口座番号等が、募金団体の受付専用口座であることが確認できるよう、募金要綱、募金趣意書、新聞報道、募金団体のホームページの写しなど、義援金を振り込んだ口座が義援金の受付専用口座であることが分かる資料を用意していただき、個人の寄附者が確定申告をする際には、その資料を、郵便振替で支払った場合の半券(受領証)や銀行振込で支払った場合の振込票の控えと併せて、確定申告書に添付又は確定申告書提出の際に提示してください。法人の寄附者につきましては、書類として保存しておいてください。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
所得税法施行令第262条第1項
所得税法施行規則第47条の2
法人税法第37条第3項、第9項

複数の募金団体を経由して地方公共団体に拠出される場合の確認

[Q12] 当連合会は、連合会の下部組織である組合(A組合など)に所属する組合員から義援金を集めるに当たり、義援金の募集をA組合などにさせることとし、その上で、当連合会が最終的に取りまとめ、○○県災害対策本部に拠出することとしています。
 最終的に国、地方公共団体へ拠出されるまでに複数の募金団体が介在する場合、税務署への確認手続はいずれの募金団体で行えばよいでしょうか。
複数の募金団体を経由して地方公共団体に拠出される場合の確認の図

[A]
 お尋ねの場合、税務署への確認は、最終的な義援金の拠出先を把握している連合会で行っていただくことになります。
 その際、基本的には、連合会に関する事項として、1募集した義援金の拠出先等(お尋ねの場合は、○○県災害対策本部)、2募金要綱、募金趣意書の有無等を確認し、連合会の下部組織である組合に関する事項として、3募金団体の名称、代表者名、所在地、4募集した義援金の受付専用口座等、5預り証の発行の有無を確認することになります。
 この点をまとめたのが下表になりますので参考にしてください。

▽ 複数の募金団体を経由して地方公共団体に拠出される場合の確認事項(一般的なケース)
地方公共団体へ拠出する募金団体に関する事項(お尋ねの場合は、連合会) 寄附者から募金を取りまとめる募金団体に関する事項(お尋ねの場合は、A組合など)
1 募集した義援金の拠出先等
2 募金要綱、募金趣意書の有無等
3 募金団体の名称、代表者名、所在地
4 募集した義援金の受付専用口座等
5 預り証の発行の有無等

 (注) 2の募金要綱、募金趣意書は、「寄附者から募金を取りまとめる募金団体」においても作成している場合には、併せて確認を受けてください。

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
法人税法第37条第3項

税務署への確認前の寄附

[Q13] 当団体は、関係する個人、法人から義援金を集め、これを取りまとめた上で、一括して日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に拠出する予定です。また、被災地のことを考え、少しでも早く義援金を拠出したいと考えています。
 募金団体として募集する義援金が「国等に対する寄附金」に該当するかどうかについて、税務署で確認を受けようと思っていますが、この確認は、集めた義援金を日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に拠出した後でもよいでしょうか。

[A]
 お尋ねのように、先に義援金を集めて日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座に拠出し、その後に税務署への確認を行ったとしても問題はありませんが、その場合には、実際に義援金を拠出した先(お尋ねの場合は、日本赤十字社)が発行した受領証についても持参し、最終的な拠出先が国、地方公共団体であることの確認を受けるようにしてください。
 また、税務署の確認を受ける前に募金団体に義援金を支払った寄附者に対しては、税務署の確認が得られ次第、預かった義援金が「国等に対する寄附金」に該当して税制上の優遇措置の適用を受けられる旨連絡するとともに、必要に応じて預り証を発行することになりますのでご注意ください。

(注) 日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座、中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」口座への寄附は、国、地方公共団体に拠出されるものに該当します。(Q2及びQ3参照)

[関係法令通達等]
所得税法第78条第1項、第2項
所得税基本通達78−5
法人税法第37条第3項
法人税基本通達9−4−6