御挨拶

 税務大学校租税史料館は、租税に関する文書や図書など、歴史的な史料を体系的に収集・保存し、租税史の研究や展示などを通じて広く一般に公開している歴史史料館です。
 租税史料館では、その前身である租税資料室の時代から数々の展示を行ってきており、平成12年度からは、毎年特別展示を開催することとなりました。
 平成12年度の特別展示は、「江戸時代の税-年貢-」と題し、租税資料室・租税史料館を通じて初めて江戸時代をテーマに取り上げ、当館で所蔵する多数の近世史料のうち、得に年貢に関する史料を紹介しました。
 江戸時代は、徳川家康が江戸に幕府を開く慶長8年(1603)から、徳川慶喜が大政奉還を行う慶応3年(1867)までの時代のことを指します。江戸時代の税は、大きく年貢(=本年貢、本途物成)と諸役(小物成・高掛物・夫役・国役など)に分けることができ、税の中心は年貢でした。年貢は検地と呼ばれる土地調査により作られた検地帳をもとに課税され、また、年貢の取り集め及び納入は「村請制」のもとで村に委任されており、この取り集めにかかった経費も村で負担していました。これらに関する展示史料を通じて、江戸時代の税について理解を深めていただければ幸いに存じます。
 今後も租税史料館では、特別展示を通じて、たくさんの所蔵史料を紹介してまいりたいと思いますので、より一層のご支援とご協力をお願いいたします。

平成14年3月 税務大学校 租税史料館長
佐野 一重