[令和2年4月1日現在法令等]
国税は、金銭で一時に納付することが原則です。しかし、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付することができます。
これを延納といいますが、この延納期間中は利子税の納付が必要となります。
次に掲げる全ての要件を満たす場合に、延納申請をすることができます。
延納の担保として提供できる財産の種類は、次に掲げるものに限られます。
なお、相続又は遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人又は第三者が所有している財産であっても担保として提供することができます。
納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに延納申請書に担保提供関係書類を添付して提出する必要があります。ただし、延納申請期限までに担保提供関係書類を提供することができない場合は、担保提供関係書類提出期限延長届出書を提出することにより、1回につき3か月を限度として、最長6か月まで担保提供関係書類の提出期限を延長することができます。
延納申請書が提出された場合、税務署長は、その延納申請に係る要件の調査結果に基づいて、延納申請期限から3か月以内に許可又は却下を行います。
なお、延納担保などの状況によっては、許可又は却下までの期間を最長で6か月まで延長する場合があります。
延納のできる期間と延納にかかる利子税の割合については、その人の相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によって、おおむね次の表のようになります。
なお、各年の延納特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合の利子税の割合は、次の算式により計算される割合(特例割合)が適用されます。
(算式)
延納利子税割合(年割合) × 延納特例基準割合(※) ÷ 7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
※ 延納特例基準割合
各分納期間の開始の日の属する年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
※ この表の「特例割合」は、令和2年1月1日現在の「延納特例基準割合」1.6%で計算しています。
したがって、「延納特例基準割合」の変更があった場合には、次の表の「特例割合」も変動しますので、延納申請に際し所轄税務署で確認願います。
区分 | 延納期間 (最高) |
延納利子税割合 (年割合) |
特例割合※ | |
---|---|---|---|---|
不動産等の割合が75%以上の場合 | ![]() |
10年 | 5.4% | 1.1% |
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20年 | 3.6% | 0.7% | |
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20年 | 1.2% | 0.2% | |
不動産等の割合が50%以上75%未満の場合 | ![]() |
10年 | 5.4% | 1.1% |
![]() ![]() |
15年 | 3.6% | 0.7% | |
![]() |
20年 | 1.2% | 0.2% | |
不動産等の割合が50%未満の場合 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
5年 | 6.0% | 1.3% |
![]() ![]() |
5年 | 4.8% | 1.0% | |
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5年 | 4.2% | 0.9% | |
![]() |
5年 | 1.2% | 0.2% |
詳しくは、「相続税・贈与税の延納の手引」をご覧ください。(延納・物納申請等)
延納の許可を受けた相続税額について、その後に延納条件を履行することが困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分について、延納から物納への変更を行うことができます。これを特定物納といいます。
特定物納の申請をした場合には、物納財産を納付するまでの期間に応じ、当初の延納条件による利子税を納付することとなります。
なお、特定物納に係る財産の収納価額は、特定物納申請書を提出した時の価額となります。
※ 上記については、平成18年4月1日以後の相続開始により財産を取得した場合に適用されます。
なお、平成18年3月31日以前の相続開始により財産を取得した場合には、改正前の相続税法が適用され、上記の担保提供関係書類の提出期限、延納の許可までの審査期間及び特定物納制度の適用はありません。
延納・物納申請等の手続については、延納・物納申請等をご覧ください。
(相法38、39、48の2、52、相令12から15、通法50、措法70の10、70の11、93、措令40の11)