[令和6年4月1日現在法令等]
所得税
事業主が損害賠償金を支払ったときの取扱いについては次のとおりです。
※ この場合の損害賠償金には、慰謝料、示談金、見舞金等の名目を問わず、他人に与えた損害を補てんするために支払う一切の金額が含まれます。
損害賠償金が事業所得の必要経費となるかどうかは、事故の業務関連性の有無と事故原因に故意または重大な過失があったかどうかにより判定します。
まず、事故が業務に関連のないものは必要経費になりません。
次に、業務に関連してはいるが、事故原因に故意または重大な過失があった場合も必要経費になりません。
なお、重大な過失があったかどうかについては、加害者の職業、地位、事故当時の周囲の状況、侵害した権利の内容および取締法規の有無などの具体的事情を考慮して、加害者が本来払うべきであった注意を払ったかどうかにより判定します。
例えば、交通事故の場合ですと、無免許運転、高速度運転、酒気帯び運転、信号無視などによる事故は、特別の事情がない限り重大な過失があったとされます。
このように、事業主が加害者として支払った損害賠償金が事業所得の必要経費となるのは、商品の配送や売掛金などの集金の途中など業務に関連した事故で、しかも故意または重大な過失がない場合に限られます。
使用人の行為に基因する損害賠償金を事業主が負担したときの取扱いについて説明します。
使用人の行為に関し、事業主に故意または重大な過失がある場合には、使用人に故意または重大な過失がないときであっても事業主の必要経費になりません。
また、使用人の行為に関し、事業主に故意または重大な過失がない場合には、使用人に故意または重大な過失があったかどうかを問わず、業務に関連するものは事業主の必要経費になり、業務に関連しないもので家族従業員以外の使用人で雇用主の立場上やむを得ず負担したものは事業上の必要経費になり、その他のものは必要経費になりません。
所法45、所令98、所基通45-6~8
◆関連する質疑応答事例《所得税》
・総額が確定した損害賠償金を分割して支払う場合の必要経費に算入すべき時期
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