[令和6年4月1日現在法令等]
消費税
消費税および地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の経理処理としては、税抜経理方式と税込経理方式とがあり、どちらの方式を選択してもよいことになっていますが、それぞれの方式を選択適用した場合の納付すべき税額または還付を受ける税額の経理処理は次のとおりです。
事業者がすべての取引について税抜経理方式を選択適用した場合には、課税売上げに対する消費税等は仮受消費税等とし、また、課税仕入れに対する消費税等は仮払消費税等とします。簡易課税制度を適用している事業者の仕入控除税額は、その課税期間の課税標準額に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて計算した金額とされますので、簡易課税制度による納付すべき税額と、上記の仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を控除した金額とは一致しません。
そこで、この一致しない差額は、次により清算します。
なお、いずれの場合も、清算する時期は差額が生じた課税期間を含む年または事業年度です。
(1)仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を差し引いた金額より簡易課税制度を適用した場合の納付すべき消費税等の額が少ない場合には、その差額を雑収入として総収入金額または益金の額に算入します。
(2)仮受消費税等の合計額から仮払消費税等の合計額を差し引いた金額より簡易課税制度を適用した場合の納付すべき消費税等の額が多い場合には、その差額を雑損失として必要経費または損金の額に算入します。
令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除制度において適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入され、インボイス制度導入後6年間は、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れのように適格請求書等の記載事項に基づき計算した金額がない課税仕入れについても、従前の仕入税額相当額の一定割合(80%控除・50%控除)を課税仕入れに係る消費税額とみなす経過措置が設けられています(平成28年改正法附則 52、53)。
税抜経理方式を適用している簡易課税制度適用事業者が課税仕入れを行った場合に、その取引相手が、適格請求書発行事業者か適格請求書発行事業者以外の者かを厳密に区分する事務負担を軽減する観点から、簡易課税制度を適用している課税期間を含む事業年度における継続適用を条件として、適格請求書等の記載事項に基づき計算した金額の有無にかかわらず全ての課税仕入れについて、課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象となるものは108分の8)を乗じて算出した金額を仮払消費税等の額として経理をした場合にはその処理も認められることとされました(消費税経理通達1の2)。
事業者がすべての取引について税込経理方式を選択適用した場合には、課税売上げに対する消費税等の額は収入金額または収益に含まれ、また、課税仕入れに対する消費税等の額は仕入金額や経費などの額に含まれます。
このため、納付すべき消費税等の額は、租税公課として必要経費または損金の額に算入し、還付を受ける消費税等の額は、雑収入などとして総収入金額または益金の額に算入します。
この場合の納付すべき消費税等の額および還付を受ける消費税等の額の計上時期は、原則として次のとおりです。
(1)申告に係るもの
その申告書が提出された日の属する年または事業年度
(2)更正または決定に係るもの
その更正または決定があった日の属する年または事業年度
なお、個人事業者が申告期限未到来の納税申告書に記載すべき消費税等の額を未払金または未収入金に計上した場合には、その計上した年の必要経費または総収入金額に算入することができます。
また、法人が申告期限未到来の納税申告書に記載すべき消費税等の額を損金経理により未払金に計上した場合または収益の額として未収入金に計上した場合には、その計上した事業年度の損金の額または益金の額に算入します。
平元.3直所3-8外、平元.3直法2-1
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