[令和7年4月1日現在法令等]

対象税目

消費税

概要

高額特定資産の仕入れ等を行った場合

課税事業者が簡易課税制度および2割特例の適用を受けない課税期間中に、国内における高額特定資産の課税仕入れまたは高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り(以下「高額特定資産の仕入れ等」といいます。)を行った場合には、その高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間からその高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度は適用されません。

この「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額 (税抜き)又は課税貨物の課税標準である金額が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。

したがって、1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産を購入し、その課税期間の消費税の申告を一般課税の方法により行った場合には、原則として、その後の2年間は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、免税事業者とはならず、課税事業者として消費税の申告が必要となります。

※ 具体例については、「消費税法改正のお知らせ」(平成28年4月)(平成28年11月改訂)の「Ⅳ 高額特定資産を取得した場合の中小事業者に対する特例措置の適用関係の見直し」を参照してください。

自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合

課税事業者が、簡易課税制度および2割特例の適用を受けない課税期間中に、自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合には、その自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合に該当することとなった日の属する課税期間の翌課税期間から、その自己建設高額特定資産の建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度は適用されません。

この「自己建設高額特定資産」とは、他の者との契約に基づき、またはその事業者の棚卸資産もしくは調整対象固定資産として、自ら建設をした高額特定資産をいいます。

また、「自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合」とは、自己建設高額特定資産の建設等に要した原材料および経費に係る税抜価額(事業者免税点制度、簡易課税制度および2割特例の適用を受ける課税期間に行ったものを除きます。)の累計額が1,000万円以上となった場合をいいます。

棚卸資産の調整措置の適用を受けることとなった場合

事業者が、高額特定資産である棚卸資産または課税貨物について、消費税法第36条第1項または第3項(納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整)の規定(以下「棚卸資産の調整措置」(注1)といいます。)の適用を受けた場合には、その適用を受けた課税期間の翌課税期間からその適用を受けた課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度は適用されません。

また、事業者が、調整対象自己建設高額資産について棚卸資産の調整措置の適用を受けた場合にも、その適用を受けた課税期間の翌課税期間からその適用を受けた課税期間(その適用を受けることとなった日の前日までに建設等が完了していない調整対象自己建設高額資産にあっては、その建設等が完了した日の属する課税期間)の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度は適用されません(注2)。

(注1)「棚卸資産の調整措置」とは、免税事業者が課税事業者となる日の前日に、免税事業者であった期間中に行った課税仕入れ等に係る棚卸資産を有している場合、その棚卸資産の課税仕入れ等に係る消費税額を、課税事業者となった課税期間の課税仕入れ等に係る消費税額とみなして仕入税額控除の計算の対象とする等の制度です。

(注2)「調整対象自己建設高額資産」とは、他の者との契約に基づき、または事業者の棚卸資産として自ら建設等をした棚卸資産で、その建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額の110分の100に相当する金額等(事業者免税点制度、簡易課税制度および2割特例の適用を受ける課税期間に行ったものを含みます。)の累計額が1,000万円以上となったものをいいます。

金又は白金の地金等を取得した場合

課税事業者が、簡易課税制度および2割特例の適用を受けない課税期間中に、金又は白金の地金等の仕入れ等を行い、それらの仕入れ等の金額の合計額(税抜き)が 200 万円以上である場合には、当該仕入れ等を行った課税期間の翌課税期間から、当該仕入れ等を行った課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度は適用されません。

簡易課税制度の適用制限

上記の「高額特定資産の仕入れ等を行った場合」、「自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合」、「棚卸資産の調整措置の適用を受けることとなった場合」または「金又は白金の地金等を取得した場合」のいずれかに該当するときは、次に掲げる期間においては、簡易課税制度選択届出書は提出できません(注)。

(1) 高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間

(2) 自己建設高額特定資産の仕入れを行った場合に該当することとなった日の属する課税期間の初日から、その自己建設高額特定資産の建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間

(3) 高額特定資産である棚卸資産もしくは課税貨物または調整対象自己建設高額資産について、棚卸資産の調整措置の適用を受けた課税期間の初日から同日(調整対象自己建設高額資産については、課税事業者となった日の前日までに建設等が完了していない場合には、その建設等が完了した日の属する課税期間の初日)以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間

(4) 金又は白金の地金等の仕入れ等(合計200万円以上)を行った課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間

(注) 上記の(1)から(4)までの各期間中に、既に、簡易課税制度選択届出書が提出されている場合には、その届出書の提出はなかったものとみなされます。

(参考)

高額特定資産、自己建設高額特定資産または調整対象自己建設高額資産で、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物(居住用賃貸建物)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除ができないとする規定が設けられています。

なお、この規定の適用を受ける場合であっても、上記「高額特定資産の仕入れ等を行った場合」から「棚卸資産の調整措置の適用を受けることとなった場合」の規定は適用されます。

※ 居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の制限については、「消費税法改正のお知らせ 」(令和2年4月)の「Ⅱ.居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度の適正化」を参照してください。

対象者または対象物

高額特定資産など一定の資産を取得した事業者

根拠法令等

消法12の4、36、37、消令25の5、消基通1-5-30、13-1-4の2

関連コード

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