[令和5年10月1日現在法令等]

対象税目

消費税

概要

商品を販売した事業者がその取引を行った後に、売上値引きをしたり、売上割戻金や販売奨励金を支払ったり、売り上げた商品について返品を受けたこと等により売掛金の減額等を行う場合には、商品を販売した事業者は、これらの金額に対応する消費税額について調整する必要があります。

その調整方法等は次のとおりです。

調整が必要な取引

国内で行った課税資産の譲渡等に該当する取引に基因して支払われる次のもの(以下「売上げに係る対価の返還等」といいます。)が調整の必要な取引となります。

ただし、輸出取引など消費税が免除される取引に基因して支払われるものを除きます。

(1) 返品

(2) 値引き

(3) 事業者がその直接の取引先に支払う割戻し

この他、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの

(4) 海上運送事業を営む事業者が支払う船舶の早出料

(5) 販売奨励金等のうち、事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に対して金銭で支払うもの

(6) 協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち、課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分

(7) 課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日より前に支払を受けたこと等を基因として支払われる売上割引

調整を行うことができない取引

上記の売上げに係る対価の返還等であっても次に掲げる場合は調整を行うことができません。

(1) 免税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、課税事業者となった後の課税期間において行ったもの

(2) 課税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、事業を廃止し、または免税事業者となった後の課税期間において行ったもの

調整を行う時期

当初の課税資産の譲渡等を行った課税期間でなく、売上げに係る対価の返還等を行った課税期間において調整を行います。

調整の方法

課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除します。

ただし、課税資産の譲渡等の金額からその売上げに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を継続して行っているときは、この処理も認められます。

適用要件

売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額について控除を受けるには、売上げに係る対価の返還等をした金額の明細等を記録した帳簿を保存する必要があります。

課税資産の譲渡等の金額からその売上げに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を行っている場合も同様です。

なお、売上げに係る対価の返還等につき交付した適格返還請求書の写しまたは提供した適格返還請求書に記載すべき事項に係る電磁的記録に記載された消費税額等に基づき計算した金額を、売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額とする場合には、その適格返還請求書またはその電磁的記録を併せて保存する必要があります。

適格返還請求書の交付

売上げに係る対価の返還等を行う適格請求書発行事業者は、その売上げに係る対価の返還等を受ける他の事業者に対して、一定の事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(適格返還請求書)を交付する義務があります。ただし、その売上げに係る対価の返還等の金額が税込1万円未満である場合など一定の場合には、その義務は免除されます。

対象者または対象物

調整を行う必要がある事業者

国内で課税資産の譲渡等を行った事業者(免税事業者を除く)

計算方法・計算式

売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額は、税込みの売上げに係る対価の返還等の金額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となった売上げに係るものについては108分の6.24)(注)を乗じて算出した金額となります。

(注)平成9年3月31日までの課税資産の譲渡等に係るものについては103分の3、平成9年4月1日から平成26年3月31日までの課税資産の譲渡等に係るものについては105分の4、平成26年4月1日から令和元年9月30日までの課税資産の譲渡等に係るものについては108分の6.3。

また、売上げに係る対価の返還等の金額が課税資産の譲渡等(軽減対象課税資産の譲渡等に該当するものを除く。)に係る部分と軽減対象課税資産の譲渡等に係る部分とに合理的に区分されていないときは、その売上げに係る対価の返還等に係る税込価額に、その売上げに係る対価の返還等に係る課税資産の譲渡等の税込価額の合計額のうちに軽減対象課税資産の譲渡等の税込価額の占める割合を乗じて計算した金額を、その軽減対象課税資産の譲渡等に係る部分の金額として、計算します。

ただし、売上げに係る対価の返還等につき交付した適格返還請求書の写しまたは提供した適格返還請求書に記載すべき事項に係る電磁的記録を保存している場合には、その適格返還請求書に記載し、またはその電磁的記録に記録した消費税額等に100分の78を乗じて算出した金額を、売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額とすることができます。

根拠法令等

消法38、57の4、消令58、58の2、70の9、消基通14-1-1~4、14-1-6~8

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