[令和6年4月1日現在法令等]

対象税目

相続税

概要

相続または遺贈により取得した財産が、災害によって被害を受けた場合の相続税の取扱いは、以下のとおりです。

特定非常災害発生日前に取得した特定土地等

特定非常災害(注1)発生日前に相続または遺贈により取得した特定土地等(注2)で、その特定非常災害発生日において所有していたものについては、その取得の時の時価によらず、「特定非常災害の発生直後の価額」によることができます。

なお、特定土地等の特定非常災害の発生直後の価額については、国税局長(沖縄国税事務所長を含む。)が「調整率」を別途定めている場合には、特定非常災害発生日の属する年分の路線価または評価倍率に調整率を乗じて計算することができます。

また、特定土地等について、被害の内容に応じて、下記「災害減免法による減免」の災害減免法の減免措置も適用できる場合があります。

(注1) 「特定非常災害」とは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第2条第1項の規定により特定非常災害として指定された非常災害をいいます。「特定非常災害の被害者の権利利益の保全を図るための特別措置に関する法律」および「特定非常災害」の適用状況等については内閣府ホームページを参照してください。

(注2) 「特定土地等」とは、特定非常災害により被災者生活再建支援法第3条第1項の規定の適用を受ける地域(同項の規定の適用がない場合には、その特定非常災害により相当な損害を受けた地域として財務大臣が指定する地域。「特定地域」といいます。)内にある土地または土地の上に存する権利をいいます。

特定非常災害発生日前に取得した特定株式等

特定非常災害発生日前に相続または遺贈により取得した特定株式等(注)で、その特定非常災害発生日において所有していたものについては、その取得の時の時価によらず、「特定非常災害の発生直後の価額」によることができます。

(注) 「特定株式等」とは、特定地域内にあった動産(金銭および有価証券を除きます。)、不動産、不動産の上に存する権利および立木の価額の合計額が保有資産の合計額の10分の3以上である法人の株式等(上場株式等を除きます。)をいいます。

特定非常災害発生日以後に取得した特定土地等

特定非常災害発生日以後同日の属する年の12月31日までの間に相続または遺贈により取得した特定土地等の価額は、「特定非常災害の発生直後の価額」に準じて評価することができます。

なお、その土地が、特定非常災害により物理的な損失(地割れ等土地そのものの形状が変わったことによる損失をいいます。)を受けた場合には、「特定非常災害の発生直後の価額」に準じて評価した価額から、その原状回復費用相当額を控除した価額により評価することができます。

特定非常災害発生日以後に取得した特定株式等

特定非常災害発生日以後同日を含む特定株式等の発行法人の事業年度の末日までの間に相続または遺贈により取得した特定株式等の価額は、「特定非常災害の発生直後の価額」に準じて評価することができます。

非上場株式等についての相続税の納税猶予および免除に係る特例の適用を受けている場合の災害等に関する税制上の措置

災害(注)により被害を受けた一定の会社、または中小企業信用保険法第2条第5項第1号から第4号までのいずれかの事由(これらの事由と災害を併せて「災害等」といいます。)に該当した一定の会社に係る非上場株式等について、次の1または2の期間に相続もしくは遺贈(「相続等」といいます。)により取得し、非上場株式等についての相続税の納税猶予および免除に係る特例の適用を受けている場合で、一定の事由に該当するときは、納税猶予税額が免除、または納税猶予期間中の要件が免除もしくは緩和されます。

1 災害等の発生前に相続等により取得

2 災害等の発生した日から同日以後1年を経過する日までの間に相続等により取得

(注) 災害とは、震災、風水害、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害および火災、鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害ならびに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。

※ 詳しくは、パンフレット「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)に係る災害等に関する措置の概要(令和6年6月)」(PDF/310KB)をご覧ください。

災害減免法による減免

相続等により取得した財産が、災害によって被害を受けた場合において、次の1または2のいずれかに該当するときには、相続税が減免されます。

1 相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額(債務控除後の価額)のうちに被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます。)の占める割合が10分の1以上であること。

2 相続税の課税価格の計算の基礎となった動産等(注)の価額のうちにその動産等について被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます。)の占める割合が10分の1以上であること。

(注) 動産等とは、動産(金銭および有価証券を除きます。)、不動産(土地および土地の上に存する権利を除きます。)および立木をいいます。

<法定申告期限前に災害があった場合>

法定申告期限前に災害があった場合は、相続等により取得した財産の価額から、被害を受けた部分で、保険金、損害賠償金等で補てんされなかった部分の価額を控除して課税価格を計算することになります。

なお、この特例を適用される方は、相続税の申告書に、被害の状況や被害額等を記載した相続税等の財産の価額の計算明細書を添付し、原則として申告期限内に提出していただくことになります。

<法定申告期限後に災害があった場合>

法定申告期限後に災害があった場合は、災害のあった日以後に納付すべき相続税額で、その課税価格の計算の基礎となった財産の価額のうち、被害を受けた部分で、保険金、損害賠償金等で補てんされなかった部分の価額に対応する金額が免除されることになります。

ただし、災害があった日以後に納付すべき相続税額には、延滞税等の附帯税や災害があった日現在において滞納中の税額は含まれません。

なお、免除を受けようとされる方は、相続税等の免除承認申請書に、被害の状況や被害額等を記載し、災害のやんだ日から2か月以内に、納税地の所轄税務署長に提出していただくことになります。

※ 詳しくは、パンフレット「相続税又は贈与税の災害減免措置について(令和6年1月)」(PDF/158KB)をご覧ください。

相続時精算課税に係る贈与により取得した土地または建物が災害により被害を受けた場合の税制上の措置

相続時精算課税に係る贈与により取得した土地または建物が、その贈与を受けた日からその贈与をした贈与者(被相続人)の相続税の申告期限までの間に、災害によって相当の被害を受けたことなど一定の要件を満たす場合には、その相続税の課税価格に加算されるその土地または建物の価額から、その被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除きます。)を控除することができます。

なお、この特例の適用を受ける場合には、原則として、災害が発生した日から3年を経過する日までに、被害を受けた部分の価額等を記載した承認申請書を、贈与を受けた者の贈与税の納税地の所轄税務署長に提出し、承認を受けなければなりません。

(注) この措置は、令和6年1月1日以後に土地または建物が災害により被害を受けた場合について適用されます。

※ 詳しくは、パンフレット「災害により被害を受けた場合の相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例について(令和6年1月)(令和6年7月改訂)」(PDF/194KB)をご覧ください。

根拠法令等

措法69の6、70の3の3、70の7の2、70の7の4、70の7の6、70の7の8、措令40の2の3、40の5の3、措通69の6・69の7共2および4、平29課評2-10外、災免法4、6、災免令11、12

関連リンク

◆災害関係

東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて

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