[令和5年4月1日現在法令等]

対象税目

法人税

概要

青色申告書を提出する法人の欠損金の繰戻しによる還付

青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(以下、この事業年度を「欠損事業年度」といいます。)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税額の還付を請求することができます。

なお、この制度は、中小企業者等(注)以外の法人の平成4年4月1日から令和6年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については適用しないこととされていますが、中小企業者等以外の法人であっても、(1)清算中に終了する各事業年度の欠損金額、(2)解散等の事実が生じた場合の欠損金額、(3)災害損失欠損金額および(4)銀行等保有株式取得機構の欠損金額については、欠損金の繰戻しによる還付制度を適用できることとされています。

(注)中小企業者等とは次の1から4の法人をいいます。

1 普通法人のうち(投資法人、特定目的会社、受託法人を除きます。)、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(次の(1)から(3)までに掲げる法人を除きます。)または資本もしくは出資を有しないもの(次の(3)及び(4)に掲げる法人を除きます。)です。

(1) 大法人(次のイからハに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人

 イ 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人

 ロ 相互会社および外国相互会社

 ハ 受託法人

(2) 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記(1)に掲げる法人を除きます。)

(3) 大通算法人

(※)大通算法人については、コード5900「グループ通算制度の概要」を参照してください。

(4) 相互会社及び外国相互法人

2 公益法人等または協同組合等

3 法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされる次の法人

認可地縁団体、管理組合法人、団地管理組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合、特定非営利活動法人、マンション建替組合、マンション敷地売却組合および敷地分割組合

4 人格のない社団等

解散等の事実が生じた事業年度の欠損金の繰戻しによる還付

解散(適格合併による解散は除き、通算子法人である場合には破産手続開始の決定による解散に限ります。)、事業の全部の譲渡(通算法人である場合における事業の全部の譲渡を除きます。)、会社更生法等の規定による更生手続の開始など一定の事実(以下「解散等の事実」といいます。)が生じた場合で、解散等の事実が生じた日前1年以内に終了した事業年度または解散等の事実が生じた日の属する事業年度において生じた欠損金額があるときは、上記と同様に欠損金額を繰り戻して法人税の還付を請求することができます。

災害損失欠損金額の繰戻しによる還付

災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度または災害のあった日から同日以後6か月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度または中間期間(災害欠損事業年度)開始の日前1年(青色申告である場合には、前2年)以内に開始したいずれかの事業年度(還付所得事業年度)の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができます。

(注1) 災害とは、震災、風水害、火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害および鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害ならびに害虫、害獣その他の生物による異常な災害をいいます。

(注2) 災害損失欠損金額とは、災害欠損事業年度の欠損金額のうち、災害損失の額(災害により棚卸資産、固定資産または一定の繰延資産について生じた損失の額で、資産の滅失等により生じた損失の額、被害資産の原状回復のための費用等に係る損失の額および被害の拡大または発生の防止のための費用に係る損失の額(保険金、損害賠償金等により補てんされるものを除きます。)の合計額をいいます。)に達するまでの金額をいいます。

適用要件

次の場合に応じて、それぞれ次の要件をすべて満たさなければなりません。

1 青色申告書を提出する法人の欠損金の繰戻しによる還付の場合

(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。

(2) 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。

(3) 上記(2)の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。

2 解散等の事実が生じた事業年度の欠損金の繰戻しによる還付の場合

(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。

(2) 解散等の事実が生じた日から1年以内に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。

3 災害損失欠損金額の繰戻しによる還付の場合

(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること。

(2) 欠損事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出していること。

(3) 上記(2)の確定申告書または仮決算による中間申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。

認定事業再編事業者における設備廃棄等欠損金額または特定設備廃棄等欠損金額

青色申告書を提出する法人で農業競争力強化支援法第19条第1項に規定する認定事業再編事業者(以下「認定事業再編事業者」といいます。)である法人の農業競争力強化支援法の施行の日(平成29年8月1日)から令和2年3月31日までの間に終了する事業年度において生じた一定の設備廃棄等欠損金額には、この制度の適用が認められます。

(注) 上記の措置については令和2年度税制改正により廃止されていますが、認定事業再編事業者である法人(令和2年3月31日以前に農業競争力強化支援法第18条第1項の認定を受けたものに限ります。)の令和2年4月1日以後に終了する事業年度において生じた一定の特定設備廃棄等欠損金額についてはこの制度の適用が認められることとなっています。

計算方法・計算式

還付金額の計算は次のとおりです。

(算式)

還付金額の計算式

(注1) 法人が還付金額の計算の基礎として還付請求書に記載した金額が限度となります。また、分母の金額が限度になります。

(注2) 通算法人については、上記とは計算方法が異なります。

根拠法令等

法法66、80、144の13、法令156、206、法規38、61の8、措法66の12、措令1の2、39の24、令2改正法附則91、法基通17-2-1~17-2-8

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