[令和7年4月1日現在法令等]

対象税目

法人税

概要

この制度は、中小企業者等で青色申告書を提出するもののうち、中小企業等経営強化法の認定(以下「特定認定」といいます。)を受けた特定事業者等に該当するものが、平成29年4月1日から令和9年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に、その中小企業者等のその特定認定に係る特定経営力向上計画に記載された新品の特定経営力向上設備等の取得または製作もしくは建設をして、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却または税額控除を認めるものです。

(注) 所有権移転外リース取引により取得した特定経営力向上設備等については、特別償却の規定は適用できませんが、税額控除の規定は適用できます。所有権移転外リース取引の内容については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。

中小企業庁ホームページにおいて、中小企業等経営強化法による経営力向上計画に係る手続き(経営力向上計画策定の手引き、認定事例集、経営力向上計画の申請様式類等)、経営力向上設備等に係る生産性向上要件証明書(工業会等による証明書について)および税制等のパンフレット(税制措置・金融支援活用の手引き)が掲載されていますので、そちらもご参照ください。

特別償却限度額

特別償却限度額は、次の減価償却資産の区分に応じそれぞれ次の金額となります。

1 機械および装置、工具、器具および備品、建物附属設備ならびに一定のソフトウエアで、中小企業等経営強化法の経営力向上設備等(経営の向上に著しく資する一定のものに限ります。)に該当するもの(2を除きます。)

 その取得価額から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額

2 機械および装置、工具、器具および備品、建物およびその附属設備ならびに一定のソフトウエアで、中小企業等経営強化法の経営力向上設備等(建物の新設または増設をする場合におけるその建物を含む生産等設備を構成するもので、経営の向上および経営の規模の拡大に著しく資する一定のものに限ります。)に該当するもの(以下「特定機械装置等」といいます。)

 次の減価償却資産の区分に応じそれぞれ次の金額

(1) 機械および装置、工具、器具および備品ならびに一定のソフトウエア

 基準取得価額(注1)から普通償却限度額を控除した金額に相当する金額

(2) 建物およびその附属設備

 基準取得価額(注1)の15パーセント(特定建物等(注2)については、基準取得価額の25パーセント)相当額

(注1) 基準取得価額とは、特定機械装置等の取得価額をいい、一の生産等設備を構成する特定機械装置等の取得価額の合計額が60億円を超える場合には、60億円にその特定機械装置等の取得価額がその合計額のうちに占める割合を乗じて計算した金額をいいます。

(注2) 特定建物等とは、その中小企業者等のその特定認定に係る特定経営力向上計画に記載された中小企業等経営強化法の経営力向上が確実に行われるために必要なものとして投資計画に記載された給与支給額増加目標を達成するために必要不可欠な建物およびその附属設備で、その中小企業者等の給与支給額増加目標を達成し、かつ、給与の支給額が著しく増加した事業年度であることにつき、経済産業大臣に報告した内容が確認できる書類を確定申告書等に添付することにより証明がされた事業年度において事業の用に供された建物およびその附属設備をいいます。

税額控除限度額

税額控除限度額は、次の減価償却資産の区分に応じそれぞれ次の金額となります。

1 上記の「特別償却限度額」の1または2(1)の減価償却資産

 取得価額または基準取得価額の7パーセント(特定中小企業者等(注)については10パーセント)相当額

2 上記の「特別償却限度額」の2(2)の減価償却資産

 基準取得価額の1パーセント(特定建物等については、2パーセント)相当額

なお、税額控除の控除上限は、この制度における税額控除および「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除制度」(措法42の6)における税額控除の合計でその事業年度の調整前法人税額の20パーセント相当額が上限とされています。

(注) 特定中小企業者等とは、「適用対象法人」の中小企業者のうち資本金の額または出資金の額が3,000万円を超える法人以外の法人または農業協同組合等もしくは商店街振興組合をいいます。

税額控除限度超過額の繰越し

税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20パーセント相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額(以下「繰越税額控除限度超過額」といいます。)について1年間の繰越しが認められます。

対象者または対象物

適用対象法人

この制度の適用対象法人は、中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合で、青色申告書を提出するもののうち、特定認定を受けた中小企業等経営強化法に規定する特定事業者等に該当するものとされています。

中小企業者とは、次の1または2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(注1)に該当するものは除かれます。

1 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)

(1) その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(注2)に所有されている法人(注3)

(2) 上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(注2)に所有されている法人(注3)

(3) 他の通算法人のうちいずれかの法人が次に掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人

イ 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人

ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)

(注1) 通算制度における適用除外事業者の詳細については、コード5900「グループ通算制度の概要」の「グループ通算制度における適用除外事業者の取扱い」 を参照してください。

(注2) 大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

1 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人

2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

3 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人

(1) 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人

(2) 相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

(3) 受託法人

4 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)

(注3) その発行済株式または出資の総数または総額の2分の1を超える数または金額の株式または出資が農林漁業法人等に対する投資の円滑化に関する特別措置法の承認会社に所有されている農地所有適格法人を除きます。

適用対象資産

この制度の対象となる特定経営力向上設備等は、その製作の後事業の用に供されたことのない(つまり新品の)生産等設備(注1)を構成する減価償却資産で上記の「特別償却限度額」の1または2に掲げるもののうちその中小企業者等のその特定認定に係る特定経営力向上計画に記載されたもので、一定の規模以上のもの(注2)とされています。ただし、貸付けの用に供する資産は、特定経営力向上設備等には該当しません(注3)。

(注1) 生産等設備とは、その法人が行う生産活動、販売活動、役務提供活動その他収益を稼得するために行う活動の用に直接供される減価償却資産で構成されているものをいい、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設のようなものは該当しません。

(注2) 「一定の規模以上のもの」とは、それぞれ次のものをいいます。

1 機械および装置

1台または1基の取得価額が160万円以上のもの

2 工具、器具および備品

1台または1基の取得価額が30万円以上のもの

3 建物およびその附属設備

一の取得価額が1000万円以上のもの

4 建物附属設備

一の取得価額が60万円以上のもの

5 ソフトウエア

一の取得価額が70万円以上のもの(複写して販売するための原本、開発研究用のものまたはサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。)

(注3) 特定経営力向上設備等からは、コインランドリー業(主要な事業であるものを除き、その管理のおおむね全部を他の者に委託するものに限ります。)または暗号資産マイニング業の用に供するものが除かれています。

指定事業

この制度の適用対象となる指定事業は次に掲げる事業です。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

(注)娯楽業(映画業を除きます。)は対象になりません。

また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。

対象期間

適用の対象となる期間(年度)

この制度の適用対象事業年度は、指定期間内に適用対象資産の取得または製作もしくは建設をして指定事業の用に供した場合におけるその指定事業の用に供した日を含む事業年度です。

ただし、この事業年度であっても、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度は除きます。

手続き

特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書および次の減価償却資産の区分に応じてそれぞれ次の書類を添付して申告する必要があります(注)。

1 上記の「特別償却限度額」の1に掲げる減価償却資産

 その中小企業者等が受けた特定認定に係る認定申請書の写しおよびその認定申請書に係る認定書の写し

2 上記の「特別償却限度額」の2に掲げる減価償却資産

 次に掲げる書類

(1) 上記1の書類

(2) その中小企業者等の投資計画の進捗状況について経済産業大臣に報告した内容が確認できる書類(特定機械装置等に係る投資計画に記載された給与等支給額増加目標およびその給与支給額増加目標を達成したこと(経営力向上が確実に行われるために必要な建物およびその附属設備につき、この制度の適用を受ける場合には、給与の支給額が著しく増加したことを含みます。)が確認できるものに限ります。)

また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書および上記1または2の書類を添付して申告する必要があります。

なお、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けるためには、繰越税額控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書を添付し、かつ、繰越税額控除限度超過額の繰越控除を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。

(注) 特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てることまたはその事業年度の決算確定日までに剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てることにより、損金の額に算入することも認められます。この適用を受けるには、確定申告書等に特別償却準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載をし、その積み立てた金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

注意事項

1 一の資産についてこの制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。

2 この制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却または他の税額控除の規定の重複適用は認められません。

根拠法令等

措法42の4、42の6、42の12の4、52の3、53、措令27の6、27の12の4、措規20の9

関連リンク

◆経営強化法による支援(中小企業庁ホームページ)

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