【納税者の方・金融機関等の方 共通】

問1 令和4年度の税制改正で措置された住宅ローン控除の申告・年末調整手続の簡便化の概要を教えてください。

(答)

○ 改正前の制度においては、住宅ローン控除の適用を受けようとする納税者の方は、住宅ローン債権者である金融機関等から交付を受けた年末残高証明書を、確定申告又は年末調整の際に、税務署又は勤務先に提出しなければならないこととされていました。
 また、住宅ローン債権者である金融機関等は、納税者の方から申請があった場合、年末残高証明書を交付しなければならないこととされていました。

○ この手続きについて、令和4年度の税制改正により、金融機関等が税務署に「年末残高調書」を提出し、税務当局から納税者に住宅ローンの「年末残高情報」を提供する方式(以下「調書方式」といいます。)に変更する改正が行われています。

○ この改正は、法令上、居住年が令和5年1月1日以後である者が、令和6年1月1日以後に行う確定申告及び年末調整について適用されますが、金融機関等におけるシステム改修等の対応の必要性から経過措置が設けられており、実務上は、この経過措置を全ての金融機関に適用するものと取り扱うこととし、令和6年1月1日以降に居住を開始した者について、対応が完了した金融機関等から、順次、調書方式に移行することとなっています。

○ 調書方式に移行した金融機関等は、税務当局にその旨の届出書を提出することとされており、国税庁ホームページにおいて、調書方式に移行した金融機関を公表することとしています。納税者の方は、調書方式に対応した金融機関等からのお借入れについて住宅ローン控除の適用を受ける場合には、「住宅ローン控除の適用申請書」を金融機関等に提出することとされています。

【納税者の方向け】

問2 確定申告や年末調整で住宅ローン控除の適用を受けるには、具体的にどのような手続きを行えばいいでしょうか。

(答)

【借入先の金融機関等が調書方式に移行している場合】

○ 住宅ローン控除の適用を受けようとする納税者の方は、住宅ローンの債権者である金融機関等が調書方式に移行している場合には、その金融機関等に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出することとされています。

○ 住宅ローン控除について、確定申告・年末調整により適用を受ける際には、納税者の方には、税務当局から、年末残高情報を、マイナポータル等を通じて通知(※)し、その情報を基に、確定申告・年末調整を行っていただくことを予定しております。なお、従来の年末残高証明書の添付等は必要ありません。

(※)マイナンバーカードの発行を受けていない等の理由により、マイナポータルを通じて年末残高等の情報を受け取れない方については、お手元の返済計画表等の書類により、ご自身で年末残高を確認し、確定申告書に入力・記入する必要があります。マイナポータルをご利用いただくと、マイナポータルからの年末残高情報の取得・確定申告書への自動入力(マイナポータル連携)が可能となりますので、是非、マイナンバーカードの取得をご検討ください。

○ 実際の確定申告の手続きは、令和6年1月以降に住宅に居住された方が対象となりますので、令和7年1月以降の確定申告期間での手続きが対象となります。手続きの詳細は、この確定申告期間に向けて、おって、国税庁ホームページ等に掲載する予定です。

【借入先の金融機関等が調書方式に移行していない場合】

○ 令和6年1月以降に住宅に居住された方であっても、住宅ローンの債権者である金融機関等が、まだ調書方式に移行していない場合には、従来どおり、金融機関等から年末残高証明書の交付を受け、確定申告書に添付又は提示していただく必要がありますので、ご注意ください。

問3 マイナンバーを記載した適用申請書を提出しないと、住宅ローン控除の適用は受けられないのでしょうか。

(答)

○ 法令上、調書方式により住宅ローン控除の適用を受けるためには、納税者の方は、マイナンバーを記載した適用申請書を金融機関等に提出することとされていますので、ご提出をお願いします。

○ マイナンバーを記載して提出いただけない場合、税務当局から、確定申告の際に必要な年末残高情報を通知することができません。

問4 私は、長年海外に居住していたことから、住宅ローン控除の適用申請書の時点では、マイナンバーを保有していません。金融機関から、マイナンバーを記載した適用申請書の提出を求められていますが、どのようにすればいいでしょうか。

(答)

○ 住宅ローン控除の適用申請書の提出時点において海外に居住している等の理由によりマイナンバーを保有していない方については、マイナンバーの代わりに、e-Taxの利用者識別番号を記載してください。

○ なお、e-Taxの利用者識別番号をお持ちでない方は、e-Taxホームページ「ご利用の流れ」の「1 利用者識別番号の取得」をご確認ください。

問5 金融機関から、マイナンバーではなく、「e-Taxの利用者識別番号」を記載した適用申請書の提出を求められています。なぜ、金融機関によって、記載が必要な内容が異なるのでしょうか。また、「e-Taxの利用者識別番号」は、どのようにして取得すればいいのでしょうか。

(答)

○ 改正後の制度においては、原則として、マイナンバーを記載した適用申請書の提出が必要とされております。一方で、年末残高調書の提出にあたって、マイナンバーに関する本人確認などの事務に係る準備が間に合わない金融機関等については、税務署に届出書を提出することで、年末残高調書にマイナンバーを記載せず、代わりにe-Taxの利用者識別番号を記載する方式(以下「併用方式」といいます。)を採用することができることとされています。

○ 併用方式を採用している金融機関等からの借入れについて、住宅ローン控除の適用を受ける場合に提出する住宅ローン控除の適用申請書については、マイナンバーに代えて、e-Taxの利用者識別番号を記載する必要があります。

○ なお、e-Taxの利用者識別番号の取得方法については、e-Taxホームページ「ご利用の流れ」の「1 利用者識別番号の取得」をご確認ください。

(注)既にe-Taxの利用者識別番号を取得されている方は、マイナンバーカードを用いてe-Taxにログインすることにより、ご自身のe-Tax利用者識別番号を確認することができます。

【金融機関等の方向け】

問6 債務者からの住宅ローン控除の適用申請書の受付について教えてください。

(答)

○ 住宅ローン控除の適用を受けようとする納税者は、住宅ローンの債権者である金融機関等に対して、「氏名」、「生年月日」、「住所」及び「マイナンバー」を記載した適用申請書を提出する必要があります。

○ この適用申請書については、書面又は電子データにより提出を受け付けていただくこととなります。適用申請書のひな型は以下のとおりですが、この様式によらず、金融機関における適宜の書式としても差し支えありません。
 なお、住宅ローンの契約の際の契約関係書類に当該適用申請書に係る申請事項を含めるなど、金融機関等において定める所定の方法で受け付けていただいても差し支えありません。
住宅ローン控除の適用申請書(ひな型)(PDF/256KB)

○ なお、マイナンバーの提供を受ける場合には、マイナンバーカード等により、マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の「本人確認」が必要となりますのでご注意ください。

○ 納税者からのマイナンバーの取得については、

・ 適用申請書への記載によらず、別途の方法(マイナンバーのみの別書式の使用や、Web・アプリなどの利用)により取得する

・ その納税者から過去にマイナンバーの提供を受けている場合において、適用申請書に「既に提供済のマイナンバーと相違ない」旨を記載していただく

  などの方法によっても差し支えありません。

○ なお、併用方式を採用されている金融機関等につきましては、債務者の方に、マイナンバーの代わりにe-Taxの利用者識別番号を記載していただく必要がありますが、利用者識別番号については、マイナンバーのような確認書類に基づく確認は必要ありません。

(注)e-Taxの利用者識別番号の取得方法については、e-Taxホームページ「ご利用の流れ」の「1 利用者識別番号の取得」をご確認ください。なお、既に利用者識別番号を取得されている納税者の方は、マイナンバーカードを用いてe-Taxにログインすることにより、ご自身の利用者識別番号を確認することができます。

問7 税務署への年末残高調書の提出について教えてください。

(答)

○ 適用申請書の提出を受けた債権者である金融機関等は、国税庁の指定するファイル形式で「年末残高調書」を作成し、債務者が居住を開始した最初の年は翌年1月31日までに、2年目以降はその年の10月31日までにe-Tax又は認定クラウド等を用いた方法で提出する必要があります。

(注)国税庁の指定するファイル形式は、XML形式又はCSV形式となります。なお、調書に係るこれらのデータ形式については、その仕様を以下のページで一般公開しています。

○ 年末残高調書の提出期間は、適用申請書の提出を受けた年から、債務者の住宅ローン控除の控除期間の終了する年までとなります。ただし、控除期間が不明な場合の提出期間は、法令上、14年間となります。
 なお、システム上、債務者ごとに提出期間を個別に設定する対応が難しい場合には、一律、14年間提出することとしても差し支えありません。

問8 調書方式又は併用方式を選択する場合の手続について教えてください。

(答)
【調書方式を選択する債権者の手続】

○ 令和4年度の税制改正により、債権者は、年末残高調書を税務署に提出することとされましたが、年末残高調書の電子データの作成のシステム改修が完了していない等の理由により、年末残高調書の提出が困難であって、調書方式を採用できない債権者については、年末残高調書の提出が免除され、代わりに「年末残高証明書」を適用者に交付することができる経過措置が設けられており、全ての債権者は、この経過措置の適用を受けられるものとして取り扱っております(特段の手続は不要です。)。

○ 今後、システム改修等が完了し、調書方式に移行することとなった債権者においては、「年末残高等調書の提出が困難な事情が解消した旨の届出書」(※)を提出する必要があります。
 なお、この届出書の提出期限は、調書を提出する日の前日までとなっておりますが、調書方式にご対応いただいた金融機関を国税庁ホームページに掲載してご案内する予定であるところ、ホームページの更新に一定の時間を要するため、上記の提出期限にかかわらず、可能な限り早めのご提出をお願いいたします。

(※)「年末残高等調書に係る経過措置に関する届出書」の様式は、以下のとおりです。調書方式を採用する場合には、「年末残高等調書の提出が困難である事情が解消した旨の届出」の欄及び「年末残高等調書に個人番号を記載することが困難な事情が解消した旨の届出」の欄の両方にチェックを付してご提出ください。 なお、この届出書については、e-Taxにより、イメージデータ(PDF形式)を送信することによって提出が可能です。詳しくは、e-Taxホームページ「イメージデータで送信可能な手続について」をご覧ください。
・「年末残高等調書に係る経過措置に関する届出書」(PDF/166KB)

【併用方式を選択する債権者の手続】

○ 併用方式を選択する債権者においても、調書方式を採用する場合と同様に、「年末残高等調書の提出が困難な事情が解消した旨の届出書」(※)を提出いただく必要があります。

(※)「年末残高等調書に係る経過措置に関する届出書」の様式は、以下のとおりです。併用方式を採用する場合には、「年末残高等調書に個人番号を記載することが困難な事情が解消した旨の届出」の欄にはチェックを付さずにご提出ください。
なお、この届出書については、e-Taxにより、イメージデータ(PDF形式)を送信することによって手続が可能です。詳しくは、e-Taxホームページ「イメージデータで送信可能な手続について」をご覧ください。
・「年末残高等調書に係る経過措置に関する届出書」(PDF/166KB)

問9 債務者から受領した住宅ローン控除の適用申請書の内容については、どのように保存すればいいでしょうか。

(答)

○ 適用申請書の提出を受けた債権者である金融機関等は、帳簿を備え、申請者別に、適用申請書の申請事項を記載又は記録しなければなりません。

○ 上記の帳簿については、専用の帳簿(適用申請書の一覧表等)を作成するほか、適用申請書(申請事項を他の書類に含めている場合には当該書類)自体を帳簿として保存することによることもできます。

○ なお、保存が必要な期間は、上記の帳簿はその適用者の最終の年末残高調書の提出期限の翌年3月15日から7年間、年末残高調書の控はその年末残高調書の提出期限の翌年3月15日から7年間となります。

(注)上記の帳簿の作成に当たり、マイナンバーと、それ以外の申請事項を、必ずしも同一の帳簿に記載・保存する必要はなく、それぞれ別々の帳簿で管理し、その別々の帳簿を必要に応じて照合することができるように管理することもできます。

問10 調書には、原則として債務者のマイナンバーを記載することとされていますが、住宅ローン控除の適用申請書の時点で債務者がマイナンバーを保有していない場合には、どうすればいいでしょうか。

(答)

○ 住宅ローン控除の適用申請書の提出時点において、債務者の方が海外に居住している等の理由によりマイナンバーを保有していない場合については、「調書方式」を選択している債権者においても、マイナンバーの代わりに、e-Taxの利用者識別番号を記載してください。

問11 「据置期間」の欄には、何を入力すればいいでしょうか。

(答)

○ 住宅ローン控除の対象となる借入金等については、償還期間又は賦払期間(以下「償還期間等」といいます。)が10年以上のものであることが要件とされていますが、この償還期間等には、元本の据置期間は、利払いの有無にかかわらず含まれないこととされています。このため、調書に償還期間等として記載いただいた期間の内に据置期間が含まれる契約については、当該据置期間をご記載いただく必要があります。
 なお、償還期間等から据置期間を除いた期間が 10 年未満となるものについては、住宅ローン控除の対象となる借入金等には該当しないこととなりますので、調書の提出は行わないようにご注意ください。

問12 前払賃料融資額の欄には、何を入力すればいいでしょうか。

(答)

○ 住宅ローン控除の対象となる住宅の取得等の際に、その住宅に係る土地等について、定期借地権の設定を行う場合、その設定時において、借地権者が借地権設定者に対して、借地に係る契約期間の賃料の一部又は全部を一括前払いの一時金(以下「前払賃料」といいます。)として支払うときには、その前払賃料は賃料として支払うものであり、その前払賃料の支払に充てるための借入金については、「土地の上に存する権利の取得に要する資金」に充てるための借入金には該当しないことから、住宅ローン控除の対象とはならないこととされています。

○ そのため、住宅に係る土地について、前払賃料に係る融資がある場合には、該当がある旨を「前払賃料融資額」欄に、その融資額を「融資額」欄に入力してください。

問13 年末残高調書については、2年目以降は10月末までに提出する必要があるとのことですが、提出後、繰上返済や延滞等により年末残高に異動が生じた場合や、債務者が死亡した場合には、どのように対応すればいいでしょうか。

(答)

○ 2年目以降(適用申請書の提出を受けた年の翌年以降)の年末残高調書の提出期限は、その年の10月31日とされており、提出時における年末の予定残高を入力し、ご提出していただくこととなります。

○ 上記の年末残高調書の提出後、例えば、繰上返済等により年末残高に異動が生じた場合や、債務者が死亡した場合であっても、提出した年末残高調書の修正など、債権者において特段の対応は必要ありません。

(注)債務者において、年末残高の異動の内容や、死亡日の残高を踏まえ、申告等の手続を行う必要があります。

問14 提出をした年末残高調書に誤りがあった場合の対応について教えてください

(答)

○ 年末残高調書の提出後に、その内容に誤りがあることが判明した場合には、提出期限(初年度は1月末、2年目以降は10月末)までに、正しい内容の調書をご提出ください。

○ 提出期限後に誤りがあったことが判明した場合など、期限までに上記の訂正ができなかった場合や、何らかの理由により期限までに調書をご提出いただけなかった場合には、税務当局から債務者の方に、正しい内容の年末残高情報を通知することができません。
 そのため、債務者ご本人において、正しい金額による年末調整・確定申告等でご対応いただくことになりますので、金融機関から、該当する債務者に対し、誤りがあった旨及び正しい金額のご連絡をお願いします。

問15 年の途中で債務者が死亡した場合、死亡の日における残高情報に基づく調書を提出する必要がありますが、システムにおける対応が困難です。この場合には、従来の証明書方式によることは可能ですか。

(答)

○ 年末残高調書方式に移行された金融機関においては、原則として全ての債務者について調書方式でご対応いただく必要がありますが、例えば、債務者の方が年の途中で亡くなられた場合など、特定のケースについて、システム上対応することが困難な場合には、従来の年末残高証明書方式によることとしていただいても差し支えありません。

問16 住宅ローンの契約をした年ではなく、その後の年分において住宅ローン控除の適用申請書の提出があった場合の対応について教えてください。

(答)

○ 年末残高調書は、債務者から住宅ローン控除の適用申請書の提出があった年分以後の年分について提出してください。適用申請書の提出があった年分より前の年分に係る調書を提出する必要はありません。
 なお、調書の提出期限は、適用申請書の提出があった年分の調書はその翌年1月31日、翌年以降の年分の調書はその年分の10月31日までとなります。

○ 過去の年分の年末残高については、年末残高調書を提出する必要はありません。この場合、債務者の手続においては、別途、お手元の返済計画表等の書類により、ご自身の年末残高を把握することにより、住宅ローン控除の申告・適用を受けることができますので、債務者の方から過去の年分の残高について照会があった場合には、お伝えいただくようにお願いいたします。
 なお、その際の様式は、適宜の様式で差し支えありませんが、従来の年末残高証明書の様式を用いても差し支えありません(当該様式に、マイナンバーの記載は不要です。)。