平成14年12月24日
国税庁

 平成13事務年度(平成13年7月〜平成14年6月)に実施した、酒類の取引状況等実態調査の概要は、別添のとおりです。
 当庁としては、本「平成13事務年度における酒類の取引状況等実態調査の概要」の公表を基に、個別の事業者の指導はもとより、今後の酒類業界全体における公正な取引環境の構築へ向けた取組を促していくこととしています。
 なお、この資料についてご意見等がございましたら、郵便又はインターネット(国税庁ホームページの掲示板)によりお寄せください。

【意見書の提出先】
 国税庁 課税部 酒税課
  〒100-8978 東京都千代田区霞が関3-1-1
【本件問い合わせ先】
 国税庁 Tel(代) 03(3581)4161
  課税部 酒税課
  課長補佐 前田(内線3735)


平成14年12月
国税庁

1 調査の目的

 国税庁では、酒類における公正な取引環境の整備を図るため、当庁が平成10年4月に発出した「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針」(以下「指針」といいます。)及び、公正取引委員会が平成12年11月に発出した「酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」(以下「酒類ガイドライン」といいます。)の積極的な周知・啓発に努めるとともに、酒類販売場等に臨場して酒類取引の実態を把握するため、平成4事務年度から酒類の取引状況等実態調査を実施しており、「指針」に示された公正なルールに沿っているとは言い難い取引等が認められた場合には、合理的な取引が確保されるよう指導するなどして、公正な取引に向けた酒類業者の自主的な取組を促しています。

(注) 酒類販売の公正な取引環境の整備に向けたこれまでの取組については参考のとおりです。

2 調査の概要

(1) 平成13事務年度(平成13年7月〜平成14年6月)においては、約19万6千場にのぼる酒類製造場・酒類販売場(以下「酒類販売場等」といいます。)のうち、著しく廉価な価格で継続的に販売しているなど取引に問題があると考えられた酒類販売場等1,558場(前年度1,393場、前年度比111.8%)を対象として、酒類の取引状況等実態調査を実施しました。

(2) 調査を行った酒類販売場等のうち、取引の中のいずれかに(一つでも)1総販売原価を下回る価格で販売をするなど「合理的な価格の設定」がなされていないと考えられた取引があったものは1,482場(調査場数に対する割合95.1%)、2特定の取引先に対して不透明なリベート類を支払うなど「取引先等の公正な取扱い」が行われていないと考えられた取引があったものは162場(同10.4%)、3「公正な取引条件の設定」がなされていないと考えられた取引があったものは15場(同1.0%)でした。

(注) 調査の実施状況の詳細については資料1のとおりです。また、「指針」に示した公正なルールに沿っているとは言い難い取引等のうち主な事例は資料2のとおりです。

(3) 調査において、「指針」に示された公正なルールに沿っているとは言い難い取引等が認められた場合には、その改善のための指導を行ったところです。この指導により、酒類販売場等の経営者等は、自社の価格設定や取引条件の設定の不合理さを認識し、今後、販売コストを考慮した価格設定を行う、あるいは、リベートの支出基準を策定する等、取引の改善に向けて取り組んでいく意向を示しています。

3 今後の取組

(1) 酒類業界では、現在、リベート等に係る社内基準の策定、取引先への提示及びその遵守体制の構築、公正取引遵守の宣言に取り組むなど、酒類の公正な取引環境の整備に向けて、酒類業界全体として積極的に取り組んでいるところです。

(2) 国税庁としては、今後も、公正取引委員会と連携を取りつつ、次のような施策の実施を通じて、引き続き、酒類販売の公正な取引環境の整備に向けた酒類業界の自主的な取組を促していくこととしています。

イ 「指針」及び「酒類ガイドライン」の周知・啓発に努めます。

ロ 自社基準の策定、取引先への提示及びチェック体制の構築について周知・啓発に努めます。

ハ 酒類の取引状況等実態調査の内容の充実を図っていきます。

ニ 改善状況を確認するフォローアップ調査を実施し、指導の実効性を高めます。