参考

1 国税庁のこれまでの取組

(1) 国税庁においては、平成9年6月の中央酒類審議会の報告「酒販免許制度等の在り方について」を踏まえ、酒類業界の公正な競争秩序の確保を図る観点から、平成10年4月に「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針」(「指針」)を発出し、酒類業界に対してその周知・啓発を図ってきました。
 また、従来から実施している酒類の取引状況等実態調査(「取引実態調査」)については、より充実した調査を実施することとし、指針に示された公正なルールに則しているとは言い難い取引等の改善に向けて指導してきました。

(2) 平成12年8月には、酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会において「未成年者の飲酒防止等対策及び酒類販売の公正な取引環境の整備に関する施策大綱」が決定され、関係省庁における関係施策の充実強化、総合的な取組の徹底を図ることとなり、国税庁としては、次の取組の徹底を図ってきました。

・ 指針による取組を更に徹底・促進し、合理的とは認められない取引の改善に向けて積極的な指導を行う。

・ 平成12年11月に公正取引委員会が策定した「酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」(「酒類ガイドライン」)について、公正取引委員会と連携して、酒類業者に対する説明会を実施し、その周知徹底を図る。

・ 酒類の取引実態調査の調査結果を公表し、改善に向けた業界の取組を促すとともに、調査件数を増加させ、取引の改善を指導した業者に対してはフォローアップ調査を行う。

・ 酒類市場における流通・取引慣行等の問題点について、公正取引委員会との間で、一層の連携強化を図る。

2 「酒類ガイドライン」発出後の業界の状況

 公正取引委員会から「酒類ガイドライン」が発出され、酒類の流通における不当廉売、差別対価等の規制についての考え方が示されるとともに、メーカー及び卸売業者に対し、リベート等の供与基準の明確化、取引の相手方に対する提示等、取引の適正化のための取組を推進するよう要請されたことを受け、酒類業界では、公正取引の確保に向け、次のような取組を推進してきました。

(1) 業界団体等による「基本的な考え方」の発出
 ビール酒造組合、日本蒸留酒酒造組合、全国卸売酒販組合中央会、日本酒造組合中央会の各酒類業団体中央会及び明日の業務用酒販業界を考える会(任意団体)は、国税庁の「指針」及び公正取引委員会の「酒類ガイドライン」の考え方を踏まえ、「公正な取引のための基本的な考え方」(「基本的な考え方」)を発出し、各団体に属する酒類業者が遵守すべき基本的な考え方を示すとともに、各企業が自社の取引指針(社内基準)を作成し、そのチェック体制を構築するよう周知・啓発しています。
 また、全国卸売酒販組合中央会は、酒類の公正な取引秩序の確保を図る観点から、平成13年9月に「酒類ガイドライン遵守推進本部」を設置するとともに、支部ごとに「支部酒類ガイドライン遵守推進本部」を設置し、「指針」及び「酒類ガイドライン」の遵守について周知・啓発を行っています。

(2) 全国卸売酒販組合中央会による「公正取引遵守宣言」の発出
 平成14年6月に、大手ビールメーカー各社が相次いで発泡酒の主力銘柄の希望小売価格を10円値下げした際、全国卸売酒販組合中央会は、こうした値下げが酒類流通業界をいたずらに混乱させ公正な取引に逆行するおそれがある旨指摘し、直ちに「公正取引遵守宣言」を発出するとともに、大手ビールメーカー各社に対し公正取引遵守の要請をしました。

(3) 大手ビールメーカー各社による「公正取引遵守宣言」の発出等
 全国卸売酒販組合中央会の要請を受け、大手ビールメーカー各社は、今般の価格改定はリベートの支出抑制により公正取引遵守が図られることを期待したものであるとして、今後より一層合理的な基準に基づく社内基準の整備及びその遵守に努める旨の「公正取引遵守宣言」を発出しました。
 その後、同年11月には、各社において、「公正取引遵守宣言」発出後の具体的な取組状況について、「社内基準の見直し(リベートの支出抑制等)及び営業部門への遵守徹底を図ってきた結果、新社内基準について概ね酒類流通業界からも理解を得られている。」旨の自己評価をしています。
 また、酒類業界全体においても、「指針」、「酒類ガイドライン」及び「基本的な考え方」を受けて、社内基準の策定、取引先への事前提示及びその遵守体制の構築に取り組むなど、公正な取引環境の整備に向けて真剣に取り組んでいます。


「平成13事務年度における酒類の取引状況等実態調査の概要」の公表について