所得税は、給与や資産・営業などから生じる所得に課税される税金ですが、現在では国税収入の約30%という重要な地位を占めています。
 この所得税が日本に導入されたのは明治20年(1887)のことですが、新たな財源を確保することが主な目的でした。また、当時の税制では、地租・酒税の比重が大きく地主層の負担が非常に重かったので、こうした不公平を是正する効果も期待されていました。
 所得税は、明治32年(1899)の全面改正などを経て現在の形へと移行していきますが、戦前までの所得税と現在の所得税を比べた時に大きく異なるのは、納税者の中から選挙によって選出され、所得の調査に当たった所得税調査委員の存在でした。
 今回の展示では、日本において所得税が導入された当時の時代背景や導入初期の所得税制度、そして所得税調査委員について紹介しています。