ごあいさつ

 税務大学校 税務情報センター 租税史料室は、租税に関する歴史的な文書・図書・写真等を収集・保存するとともに、租税制度の研究や展示などを通じて所蔵史料を広く一般に公開している施設です。
 当史料室では、平成12年から毎年特別展示を実施しており、これまで江戸時代の年貢、地租改正、営業税などに関連する史料を紹介してまいりました。今回の特別展示は、明治20年に我が国に導入された「所得税」をテーマにとりあげ、所得税が導入された当時の時代背景や初期の所得税制度とともに、導入当時の所得税の特徴のひとつであった所得税調査委員に関する史料を展示しています。
 所得税導入の主たる目的は、新たな財源の確保でしたが、地租や酒税の比重が大きく、地主層に偏っていた税負担の不公平を是正する効果も期待されていました。
 現在、所得税は我が国の基幹的な税となっていますが、導入初期の所得税と比較することは意義あるものと考えます。また、納税者の中から選出された所得税調査委員が所得の調査に当たっていたという事実にも、大変興味をひかれます。
 この図録は、この度の特別展示の内容を皆様にご紹介するものです。租税史料室では、今後も特別展示などを通じて、できるだけ多くの所蔵史料を紹介してまいりたいと考えておりますので、より一層のご支援とご協力をお願いいたします。

平成19年1月
  税務大学校 税務情報センター所長
やな 達朗