問5−1 「税理士業務を行うための事務所」とは、どのようなものをいいますか。

(答)
 「税理士業務を行うための事務所」とは、税理士業務を行う本拠をいいます。

【解説】
 「税理士業務を行うための事務所」とは、税理士業務の本拠をいい、税理士業務の本拠であるかどうかは、委嘱者等に示す連絡先など外部に対する表示に係る客観的事実によって判定することになります。
 「外部に対する表示」とは、例えば、看板等物理的な表示、ウェブサイトへの表示、契約書等への記載などが含まれます。

【参考法令】
 法第40条第1項
 基通40−1

問5−2 税理士業務の「本拠」とは、どのようなものですか。

(答)
 税理士業務の「本拠」とは、税理士等が自己所有又は賃貸借契約などにより自らの管理下とする場所のうち、税理士業務を執行するための場所として、外部に対する表示が行われた場所となります。

【解説】
 税理士業務の本拠について、税理士等が自らの管理下とする場所とし、外部に対する表示が行われた場所としているのは、行政庁・税理士会の指導、連絡及び監督の適切な実施や顧客の不測の損害を防止する観点から、法律関係を明確にする必要があるためです。
 したがって、上記の趣旨から住所借りや実態のない事務所の登録を認めるものではありません。
 また、自らの管理下であっても、外部に対する表示がなされていない場合は、本拠には該当しません。

【参考法令等】
 法第40条第1項
 基通40−1

問5−3 外部に対する表示がなければ、二ヶ所事務所に該当しませんか。

(答)
 本拠となる事務所以外の場所において、税理士や税理士事務所の使用人等が税理士の業務等を行っていたとしても、税理士事務所としての外部に対する表示がなければ、二ヶ所事務所には当たりません。

【解説】
 法第40条第3項は、「税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。」と規定し、税理士1人につき1税理士事務所に限ることとして、2以上の事務所の設置を禁止しています。
 「税理士事務所を二以上設けて」いる場合とは、例えば、自宅以外の場所に税理士事務所を設け、基通40−1の「外部に対する表示」をしている状態で、自宅においても基通40−1の「外部に対する表示」をして税理士業務を行っている場合などをいいます。
 したがって、自宅等の税理士事務所以外の場所で税理士業務を行っていても、その場所についての外部に対する表示がない場合には、二ヶ所事務所には当たりません。
 なお、「外部に対する表示」とは、看板等物理的な表示やウェブサイトへの連絡先の掲載のほか、契約書等への連絡先の記載などが含まれ(基通40−1)、本拠となる事務所以外の場所について税理士事務所と誤認されるおそれのある外部に対する表示をしている場合には、その場所は税理士事務所と判定され、二ヶ所事務所に該当することとなります。
 例えば、「○○○税理士事務所□□□分室」、「○○○税理士事務所□□□オフィス」など税理士事務所と誤認されるおそれのある外部に対する表示がなされている場合は、税理士事務所と判定されることになります。

【参考法令等】
 法第40条第3項
 基通40−1、40−2

【関連問】

問6−29 法第40条第3項違反(2以上の事務所の設置)があったとして行われる法第46条の規定による懲戒処分は、どのような内容ですか。

問5−4 税理士事務所を登録する際に留意すべき事項はありますか。

(答)
 税理士には、所属税理士会及び日本税理士会連合会の会則を守らなければならないとされています。例えば、会則には税務支援への従事に関する規定があり、税理士事務所以外の場所で主に税理士業務を執行し、その執行場所が遠隔地であったとしても、遠隔地であることを理由として税務支援への従事を断ることは、会則を守らない正当な理由となりません。
 したがって、税理士事務所を登録する際には、事務所の設置場所について留意する必要があります。

【解説】
 税理士は、所属税理士会及び日本税理士会連合会の会則を守らなければならないとされています(法第39条)。
 また、日本税理士会連合会会則では、税理士会員は、税理士に関する法令、本会の会則及び税理士会の会則、規則等を遵守しなければならないとされていることから、規則等についても遵守する必要があります。
 例えば、日本税理士会連合会の会則では、税理士会員は本会及び所属する税理士会が実施する税務支援に従事しなければならないとされ、病気療養その他正当な理由なくこれを拒むことができないとされていますが、事務所が遠隔地にあることは正当な理由に該当しません。
 また、税務支援の実施に関する規則では、税理士法人や開業税理士は、社員税理士や従業員である税理士が税務支援に従事する場合に協力しなければならないとされており、遠隔地であることを理由に協力に応じないということがないように留意する必要があります。

【参考法令等】
 法第39条
 日本税理士会連合会会則第66条
 税務支援実施に関する規則第9条