問3−1 税理士の登録は、開業税理士、所属税理士、社員税理士の3つに区分されていますが、登録する税理士はどのような判断基準をもって選択することになるのですか。

(答)
 税理士として自己が行う業務形態に応じた区分で登録することになります。

【解説】
 税理士登録は、開業税理士、所属税理士及び社員税理士のうち、いずれか一の区分で登録をしなければならないとされており(法第18条、規第8条、基通18−1)、この登録区分は、税理士が行っている業務形態に応じて決定されるものです。
 この場合の業務形態について、特に、開業税理士と所属税理士の場合は、納税者等との委嘱契約に基づいて税理士業務を行っているかどうか、あるいは、納税者等と委嘱契約を締結することなく、「補助者として」税理士業務を行っているかどうか、つまり、納税者等との委嘱契約を基本に判断することになります。
したがって、税理士がいずれの登録区分に属するかについては、納税者等との委嘱契約を基本においた業務形態の選択によって登録区分が決まることになります。
 また、それぞれの登録区分の変更についても、業務形態の変更によって判断されることになります。この業務形態に変更が生じたときは、遅滞なく、登録区分の変更申請をしなければなりません(法第20条、基通20−1)。

【参考法令等】
 法第18条、第20条
 規第8条
 基通18−1、20−1

問3−2 所属税理士は、従事する税理士等が委嘱を受けた事案について、自らの名において税理士業務を行うことができることになっていますが、「自らの名において税理士業務を行う」とは具体的にどのようなことをいうのですか。

(答)
 例えば、所属税理士が税理士証票を提示して単独で税務調査の立会いを行ったり、税務書類を作成し、当該書類を作成した者として自ら署名することをいいます。

【解説】
 所属税理士とは、従事する開業税理士又は税理士法人が委嘱を受けた事案について、補助者として税理士業務を行う者をいいます。
 この所属税理士が行う業務は、法第2条第3項に規定されているように、税理士が行う業務であることから、所属税理士自身の名前で税理士業務を行うことになります。
 具体的には、所属税理士は、従事する税理士等の補助者として自らの税理士証票を提示して税務調査の立会いを単独で行う、あるいは、税務書類を作成し、その作成税理士として、所属税理士自らが署名することにより、その身分及び責任の所在を明らかにすることになります。
 なお、署名の際には、法第33条第3項の規定により、所属する税理士法人又は税理士事務所の名称を付記するとともに、所属税理士である旨を表示する必要があります(法第33条、規第16条、基通33−1)。

【参考法令等】
 法第2条の3、第33条
 規第16条
 基通33−1

問3−3 法第30条の税務代理権限証書は、どのような税理士が提出するのですか。所属税理士は提出することができるのですか。

(答)
 納税者等と委嘱契約をした開業税理士又は税理士法人が提出するものであり、原則として、所属税理士が提出することはできません。
 ただし、例外として所属税理士は、その使用者である税理士又は税理士法人の承諾を条件に、納税者等との委嘱契約に基づいて税理士業務を行うことができるとされており、この場合については、所属税理士が法第30条の税務代理権限証書を提出することができます。

【解説】
 法第30条の税務代理権限証書は、納税者等との委嘱契約に基づき作成され、税務官公署に提出されるものです。したがって、当該書面を提出することができるのは、納税者等との委嘱契約に基づいて税理士業務を行う開業税理士又は税理士法人に限られます。
 なお、所属税理士は、原則、開業税理士又は税理士法人の補助者として業務に従事し、納税者等から直接委嘱を受けることはできませんので、法第30条の税務代理権限証書を提出することはできないこととなります(法第2条、規第8条)。
 ただし、例外として所属税理士は、その使用者である税理士又は税理士法人の承諾を条件に、納税者等との委嘱契約に基づいて税理士業務を行うことができることとされています(規第1条の2)。

【参考法令等】
 法第2条
 規第1条の2、第8条

【関連問】
 問3−6 所属税理士が補助者としてではなく、納税者と直接委嘱契約を行って税理士業務を行うことはできますか。

問3−4 開業税理士が、他の税理士又は税理士法人の補助者として税理士業務を行うことはできるのですか。

(答)
 開業税理士は、他の税理士又は税理士法人の補助者として税理士業務を行うことはできません。

【解説】
 法第2条第3項の規定は、税理士が、従事する開業税理士又は税理士法人の事務所を本拠として、その従事する開業税理士等の補助者として(自己の名において)税理士業務を行う形態を認めるものであり、開業税理士が、この規定に基づいて他の開業税理士又は税理士法人の補助者として税理士業務を行うことまで認めているわけではありません。
 つまり、開業税理士は、自らの事務所を設けて、当該事務所を本拠として税理士業務を行うこととなるので、そもそも、他の開業税理士又は税理士法人に従事して税理士業務を行うことはあり得ないこととなり、仮に、開業税理士として登録を受けた税理士が、他の税理士の事務所で補助者として税理士業務に従事するのであれば、税理士登録を開業税理士から所属税理士に変更する必要があります(法第20条、規第10条、基通20−1)。
 なお、開業税理士が、他の開業税理士又は税理士法人が委嘱を受けた事案について、従来どおり納税者等から直接の委嘱(共同代理)又は特別の委任(個別的な委任)を受けて税理士業務を行うことはできます(法第31条)。

【関係法令等】
 法第20条、第31条
 規第10条
 基通20−1

問3−5 所属税理士が、従事する開業税理士又は税理士法人とは別の開業税理士等の補助者として税理士業務を行うことはできるのですか。

(答)
 所属税理士は、従事する開業税理士又は税理士法人とは別の開業税理士等の補助者として税理士業務を行うことはできません。

【解説】
 開業税理士は、税理士事務所を設置して、納税者等との委嘱契約に基づいて税理士業務を行うこととされており、この事務所は、開業税理士一人につき一事務所に限られています(法第40条第1項、第3項)。また、社員税理士及び所属税理士は事務所を設けてはならないこととされており(法第40条第4項、規第18条)、社員税理士は競業禁止によりその税理士法人以外で税理士業務を行うことはできないこととされています(法第48条の14)。これらは、法律関係を明確にする等の観点から、税理士業務を行う本拠とする事務所は1か所に限定するものです。
 このようなことから、補助者として税理士業務を行う者は、別に事務所を設けたり、従事する開業税理士又は税理士法人とは別の開業税理士等の事務所を本拠として税理士業務を行ったりすることは許されるものではなく、従事する税理士法人等の補助者として常時その税理士業務に従事するものでなければなりません。
 したがって、所属税理士は、従事する開業税理士又は税理士法人とは別の開業税理士等の使用人として従事し、税理士業務を行うことはできません。

【参考法令】
 法第40条、第48条の14

問3−6 所属税理士が補助者としてではなく、納税者と直接委嘱契約を行って税理士業務を行うことはできますか。

(答)
 所属税理士は、その使用者である税理士又は税理士法人の承諾を条件に、納税者等との委嘱契約を締結し、税理士業務を行うことができます。

【解説】
 所属税理士は、その使用者である税理士又は税理士法人の承諾を条件に、納税者等との委嘱契約に基づいて税理士業務を行うことができるとされています(規第1の2)。
 なお、所属税理士が納税者等との委嘱契約を締結するに当たっては、以下の手続等が必要となります。

1 その都度、あらかじめ、その使用者である税理士又は税理士法人の書面による承諾を得る。

2 次に掲げる事項を記載した書面に上記1の承諾を得たことを証する書面を添付し、納税者等(委嘱者)に対して交付するとともに、当該事項について説明する。

(1) 所属税理士である旨

(2) その勤務する税理士事務所の名称及び所在地又はその所属する税理士法人の名称及び勤務する事務所(当該事務所が従たる事務所である場合には、主たる事務所及び当該従たる事務所)の所在地

(3) その使用者である税理士又は税理士法人の承諾を得ている旨

(4) 自らの責任において委嘱を受けて税理士業務に従事する旨

(注)当該書面の交付に当たっては、所属税理士は当該書面に署名しなければなりません。

3 所属税理士は、納税者等(委嘱者)に対して、上記説明を行った場合には、その旨を記載した書面にその委嘱者の署名を得るとともに、その写しを税理士又は税理士法人に提出する。

4 所属税理士は、上記の承諾を得て自ら委嘱を受けた税理士業務が終了したとき又は承諾を得たにもかかわらず委嘱を受けるに至らなかったときは、速やかに、その使用者である税理士又は税理士法人にその旨を報告する。

 また、直接受任した場合の税務書類等への付記に当たっては、
1 所属税理士である旨
2 その勤務する税理士事務所の名称又はその所属する税理士法人の名称
3 直接受任である旨
 を付記することとされています。

【参考法令等】
 規第1条の2、第16条
 基通33−1