《照会の前提となる事実関係について》

1 組織再編成の概要

※当事会社の名称、組織再編成の態様、実行日などを記載してください。

 株式会社A社(東京都●区●1-1-1(●署))は、株式会社B社(東京都■区■1-1-1 (■署))を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」といいます。)を行う予定です。なお、合併契約の効力発生日は、平成×年4月1日です。

2 組織再編成の目的・経緯・背景

 A社は、主に●●業を営んでいますが、売上先との契約の解消が続き、それ以降、収入が大きく減少したため債務超過の状態に陥り、事業の継続が困難となっています。
 一方、A社の関係会社であるB社は、主に■■業を営み、一時期経営状況が悪かったものの、近年は業績が好調であり、借入金の返済も順調です。
 このような状況下、B社は、A社保有の事務所等を新たな拠点として事業を拡大することを企図し、A社は、B社との新規事業展開により存続を図ることができると考え、本件合併を行うこととしました。

3 組織再編成の当事会社が行う事業の内容及び組織再編成後の事業の異動状況

(1) A社の事業

1 主な事業
 ●●業(・・・する事業。平成×年度の売上金額は××円。従業員×人)

2 その他の事業
 ▲▲業(・・・する事業。平成×年度の売上金額は××円。従業員×人)

(2) B社の事業

1 主な事業
 ■■業(・・・する事業。平成×年度の売上金額は××円。従業員×人)

2 その他の事業
 ▲▲業(・・・する事業。平成×年度の売上金額は××円。従業員×人)

(3) 合併後の事業の継続見込み

合併法人であるA社は、B社から引き継ぐ■■業、▲▲業をともに継続する予定です。

4 組織再編成の当事会社の資本金及び株主の状況

  合併法人 被合併法人
  A社 B社
設立年月日 昭和Y年4月1日 昭和Z年4月1日
決算期 3月 3月
資本金 ○○○円 ○○○円
株主 甲一族(個人甲とその親族)70%

その他株主 30%

個人甲 100%

5 資本関係の変遷

※一連の組織再編成の内容を記載するとともに、組織再編成前後の資本関係を図示してください。

(1) 本件合併前の平成×年3月○日に、甲は、保有しているB社株式の全部をA社に譲渡します(以下「本件株式譲渡」といいます。)。

(2) 甲は、B社設立の日から本件株式譲渡まで継続してB社の全株式を保有しています。また、A社は、本件株式譲渡から本件合併前まで継続してB社の全株式を保有します。

(3) 甲一族は、A社設立の日から本件合併の日まで継続してA社の発行済株式の70%を保有しています。

(4) 甲一族は、本件合併後もA社の株式を継続して保有する見込みです。

(5) 本件合併前後のA社とB社の資本関係の変遷は次のとおりです。

資本関係の変遷

6 組織再編成に伴い支払う対価の有無とその内容

本件合併においては、本件合併前に合併法人A社が被合併法人B社の発行済株式の全部を保有する関係があることから、被合併法人B社の株主であるA社には、合併法人A社の株式その他の資産は交付されません(無対価)。

7 引継ぎを受ける未処理欠損金額

本件合併により、A社はB社の未処理欠損金額●●円を引き継ぐ予定です。

8 照会者において確認したい事項

1から7の事実関係がある場合、本件合併は、適格合併に該当すると考えて差し支えないでしょうか。また、適格合併に該当するとした場合、A社は、B社の未処理欠損金額●●円について欠損金の引継制限の規定の適用を受けないと考えて差し支えないでしょうか。
 具体的には、引継制限の規定の適用に当たっては、被合併法人と合併法人との間に当該合併法人の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係があると考えてよいでしょうか。

(注)合併の前に「完全支配関係」がない場合や合併を行った事業年度開始の日の「5年前の日から支配関係が継続」していない場合には、上記の事実関係のほか、組織再編成により移転する事業の継続見込みや移転する事業に関する従業者の従事見込み、当事会社の事業規模(売上金額・従業者数・資本金など)、役員の継続見込み、株式の継続保有見込みなどについても説明していただく必要があります。

《確認したい事項に対する照会者の見解とその理由について》

※記載が困難な場合には、分かる範囲で記載してください。

【関係法令】※平成28年4月1日現在の法令を基に作成しています。

1 合併の適格判定について

(1) 完全支配関係

完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下「当事者間の完全支配の関係」といいます。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます(法法2十二の七の六)。
 そして、上記の政令で定める関係とは、一の者が法人の発行済株式の全部を保有する場合における当該一の者と当該法人との間の関係をいいます(法令4の22)。

(2) 適格合併

合併前に合併に係る被合併法人と合併法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係がある場合の合併で、当該被合併法人の株主等に合併法人株式以外の資産が交付されないものは、適格合併に該当します(法法2十二の八イ、法令4の32)。

(3) 無対価合併

上記(2)の合併が被合併法人の株主等に合併法人の株式その他の資産が交付されない合併(以下「無対価合併」といいます。)である場合には、合併法人が被合併法人の発行済株式の全部を保有する関係があるものに限り、適格合併に該当します(法令4の32一かっこ書)。

2 適格合併が行われた場合の被合併法人の有する未処理欠損金額の引継制限について

 内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合には、被合併法人の未処理欠損金額は合併法人に引き継がれることとされていますが(法法572)、当該適格合併が次の(イ)から(ハ)のいずれの場合にも該当しないときには、合併法人は、被合併法人の未処理欠損金額について引継制限を受けます(法法573、法令11234)。

(イ) 当該適格合併がみなし共同事業要件を満たす場合(法法573、法令1123)。

(ロ) 被合併法人と合併法人との間に当該合併法人の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係(※)がある場合(法法573、法令1124一)。

(ハ) 被合併法人又は合併法人が当該5年前の日後に設立された法人である場合であって、当該被合併法人と当該合併法人との間に当該被合併法人の設立の日又は当該合併法人の設立の日のいずれか遅い日から継続して支配関係があるとき(法法573、法令1124二)。

(※)支配関係

支配関係とは、一の者(支配関係の判定における一の者が個人である場合には、その者及び親族などこれと関係のある個人をいいます。)が法人の発行済株式の総数の50%超の数の株式を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下「当事者間の支配の関係」といいます。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいいます(法法2十二の七の五、法令41、法令4の21)。

そして、上記の政令で定める関係とは、一の者が法人の発行済株式の総数の50%超の数の株式を保有する場合における当該一の者と法人との間の関係(以下「直接支配関係」といいます。)をいい(法令4の21前段)、この場合において、当該一の者及びこれとの間に直接支配関係がある法人又は当該一の者との間に直接支配関係がある法人が他の法人の発行済株式の総数の50%超の数の株式を保有するときは、当該一の者は当該他の法人の発行済株式の総数の50%超の数の株式を保有するものとみなされます(「みなし直接支配関係」。法令4の21後段)。

【照会者の見解】

1 本件合併の適格判定について

本件合併前において一の者であるA社は、B社の発行済株式の全部を保有していることから、被合併法人であるB社と合併法人であるA社との間にはA社による完全支配関係があることとなります。また、本件合併は無対価合併であるところ、本件合併前にA社がB社の発行済株式の全部を保有する関係があることから、本件合併は適格合併に該当することとなります。

2 本件合併に係る未処理欠損金額の引継制限について

(1) 支配関係について

A社の設立の日から本件合併前まで、甲一族は継続してA社の発行済株式の総数の50%超の数の株式を保有しています(一の者(甲一族)による直接支配関係)。また、B社の設立の日から本件株式譲渡前まで甲は継続してB社の発行済株式の全部を保有しています(一の者(甲一族)による直接支配関係)。そして、本件株式譲渡後から本件合併前までの期間については継続してA社がB社の発行済株式の全部を保有しており、当該期間においては、甲一族との間に直接支配関係があるA社がB社の発行済株式の総数の50%超の数の株式を保有していますので、甲一族はB社の発行済株式の総数の50%超の数の株式を保有するものとみなされます(一の者(甲一族)によるみなし直接支配関係)。

(2) B社の有する未処理欠損金額の引継制限について

上記(1)のとおり、本件合併(適格合併)に係る被合併法人であるB社と合併法人であるA社との間には、A社の適格合併の日の属する事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係(一の者(甲一族)との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係)があることとなります。したがって、A社は、B社が有する未処理欠損金額の引継制限を受けません。