2024年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」は、杜氏・蔵人等がこうじ菌を用い、長年の経験に基づき築き上げてきた酒造り技術のことで、500年以上前に原型が確立したといわれています。日本各地の気候風土に応じて発展し、日本酒、焼酎、泡盛、みりん等の製造に受け継がれ続け、酒は日本の社会文化的行事に不可欠な役割を果たしています。伝統的酒造りは社会文化的行事を根底で支える技術とされています。
一方で、日本酒については、国内消費向けの出荷量が昭和48年度のピーク時から、令和5年度には3割以下にまで減少するなど、需要の低迷が続いています。このままでは、各地域の歴史とともに育まれた酒蔵及び「伝統的酒造り」が将来的に失われかねないおそれがあり、「伝統的酒造り」の保護及び次の世代への継承は業界全体の課題です。
国税庁では、伝統的な酒造りの文化を持続的に発展・継承させて、「伝統的酒造り」を次世代に継承していくため、意欲と能力のある者により酒造りがはじめられる取組として、酒蔵の事業承継の支援事業を実施してまいります。
「伝統的酒造り」の技術承継に係る実証分析事業は、ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」の高い技術力を、伝統や歴史と共に次世代へ円滑に承継することを目的とし、熱意を持つ者がその技術を継承する過程における課題等を調査・実証分析し、その結果を公表することで業界全体での事業承継の円滑化を図るとともに、輸出促進にも資する「伝統的酒造り」の魅力である伝統や歴史の維持を目指すものです。
酒蔵の事業承継・再生支援に自ら取組み、「伝統的酒造り」の維持・発展に尽力されている方によるセミナーを開催いたします。