この度の東日本大震災により被害を受けた皆様方に心からお見舞い申上げます。
 日本は、世界有数の災害頻発国です。北海道や日本海側の豪雪地帯では数メートルの雪が積もり、雪害に悩まされています。梅雨前線による大雨や台風は、毎年のように全国各地で水害や土砂崩れを引き起こしています。また、大陸プレートの重なり合う地点に国土があるため、火山が多く、数年ごとに大きな地震・噴火が起きています。このように、わが国は多様な災害に襲われているのです。
 現代の税制では、災害被害者に対する租税の特別措置は、まる1「災害減免法」と2所得税の「雑損控除」という二本柱で対応しています。個人の場合には、納税者自身が有利な方を選択できることになっています。また、平成7年(1995)の阪神淡路大震災および平成23年(2011)東日本大震災の際には、それぞれ3「震災特例法」が創設されました。
 まる1「災害減免法」の正式名称は、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」(法律第175号)です。昭和22年(1947)12月13日に成立しましたが、昭和14年(1939)に制定された旧法を全面的に改正したものです。2の「雑損控除」は、昭和25年の所得税の改正のときに新たに付け加えられました。このように、2つの制度は、第2次世界大戦後に導入されたものなのです。
 本年度の展示では、災害に対する税の救済制度について、明治から現在までの間を中心に、歴史的に振り返ってみたいと思います。

目次

災害からの復興と税

  1. 地租の時代
  2. 関東大震災と税務署の対応
  3. 災害減免法の成立
  4. 平成の大震災