酒税は、明治30年代日露戦争を契機に財政需要を満たすべく国税の税収第1位となります。時代が大きなうねりを見せる中、酒税は、その地位を保ち国の税収を支えますが、広く租税負担の均衡が図られる中、昭和10年代には、所得税や法人税(昭和15年に所得税から独立)の税収が急速に伸びたことにより、所得税や法人税にその座を譲ることとなりました。
 平成22年度の特別展示では、酒税が国税の中心であった明治中期から、戦後の混乱期を経て今日に至るまでの、酒税の変遷、酒税行政の執行状況、業界の健全な育成への取組み、酒造業者の経営努力、技術改良や官民一体となった社会問題への取り組みなどの様子を紹介しました。

酒税関係年表

年代 酒税関係 備考
明治4年7月 清酒、濁酒、醤油醸造鑑札収与並収税法規則の制定
(酒株制度の廃止。酒造家に免許を下附。酒類の冥加金廃止。)
 
明治8年2月 酒類税則の制定  
明治13年9月 酒造税則の制定  
明治22年2月   大日本帝国憲法発布
明治27〜28年   日清戦争
明治29年3月 酒造税法の制定
(清酒・濁酒・白酒・味醂・焼酎を対象)
 
明治32年1月 自家用料酒税廃止・自家用料酒の禁止  
明治34年10月 酒精及び酒精含有飲料税法の制定  
明治34年12月 麦酒税法の制定  
明治37〜38年   日露戦争
大正3〜7年   第一次世界大戦
昭和2年〜   金融恐慌、世界恐慌、昭和恐慌
昭和13年4月 酒類販売業が免許制度となる 日中戦争
昭和14年3月 酒類の価格が統制価格となる 国家総動員法
昭和14〜20年   第二次世界大戦
昭和15年3月 酒税法の制定
(造石税、庫出税の併課)
 
昭和18年4月 庫出税に級別差等課税制度を採用  
昭和19年4月 造石税の廃止、庫出税のみとなる  
昭和21年11月   日本国憲法公布
昭和28年2月 酒税法(現行法)の制定  
昭和37年4月 酒税法の大幅改正
(酒類の種類分類の改正、従価格制度の採用、申告納税制度の採用)
 
平成元年4月 酒税法等の大幅改正(級別制度の廃止、従価格制度の廃止、酒類の種類間の税率の見直し等、酒類の表示基準制度の創設) 消費税導入
平成18年5月 酒税法等の一部改正(酒類の分類を10種類から発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類の4種類に簡素化、一部酒類の定義を改正)  

目次

酒税が国を支えた時代

  1. 第1位の時代
  2. 酒税行政と酒税
  3. 昭和戦前の酒税
  4. 戦後の酒と酒税