ごあいさつ

 税務大学校 税務情報センター租税史料室は、租税に関する歴史的な文書・図書・写真等を収集、整理及び保存するとともに、その公開等を通じて、租税制度の研究に資するほか、租税に関する知識の普及、納税意識の高揚に寄与することを目的に設置されている施設です。当史料室では、平成12年から毎年特別展示を実施しており、これまでも江戸時代の年貢、地租改正、営業税、所得税、酒税などに関連する史料を紹介してまいりました。平成23年度の特別展示(展示期間:平成23年10月〜平成24年9月)では、「営業税が国税であった時代」をテーマに取り上げ、国税としての営業税が登場した明治中期から、戦後に地方へ移譲されるまでの歴史について、史料やパネルを用いて展示し、紹介いたしました。江戸時代、商工業者には運上・冥加と呼ばれる税を課していました。明治時代に入り、運上・冥加は、当初江戸時代の制度を継承し、国・地方とも課税を行いましたが、明治8年(1875)に雑税整理が行われ、明治11年の地方税規則制定により、地方税としての営業税・雑種税となりました。その後、拡大する国の財源を確保するため、地方の営業税の対象とされていた多くの事業を対象として国税としての営業税が明治29年創設されました。大正15年(1926)には、営業税は営業収益税に改められ、すでに国税の中心となっていた所得税(明治20年創設)を補完するなど時代によって変化しました。これらに関する史料を通じて、半世紀にわたる税制や執行体制の変遷について理解を深めていただければ幸いに存じます。

 租税史料室では、今後も特別展示などを通じて、できるだけ多くの所蔵史料を紹介してまいりたいと考えておりますので、より一層のご支援とご協力をお願いいたします。

目次

営業税が国税であった時代

  1. 国の営業税の創設
  2. 営業税(国税)の執行体制
  3. 営業収益税の時代
  4. 営業税、地方財源となる

特別展示の風景

(写真)特別展示の風景