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出題のポイント
【第一問】−50点−
問1(25点)
本問の(1)は、個人住民税の配偶者控除の前提となる同一生計配偶者及び控除対象配偶者の理解度を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。
- 同一生計配偶者は、納税義務者の配偶者でその納税義務者と生計を一にする一定のもののうち、前年の合計所得金額が48万円以下である者をいうこと。
- 控除対象配偶者とは、同一生計配偶者のうち、前年の合計所得金額が1,000万円以下である納税義務者の配偶者をいうこと。
本問の(2)は、個人住民税における配偶者控除と配偶者特別控除についての基本的な理解度を問うものであり、それぞれ次のような点を正確に説明することができるかがポイントとなる。
- 配偶者控除は、所得割の納税義務者が控除対象配偶者を有する場合、その納税義務者の前年の合計所得金額が900万円以下である場合は33万円、900万円超950万円以下である場合は22万円、950万円超1,000万円以下である場合は11万円をその者の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除すること。
- 配偶者特別控除は、所得割の納税義務者が、その納税義務者と生計を一にする一定の配偶者で控除対象配偶者に該当しないものを有する場合、その納税義務者の前年の合計所得金額が900万円以下である場合は最高33万円、900万円超950万円以下である場合は最高22万円、950万円超1,000万円以下である場合は最高11万円をその者の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除すること。
- 個人住民税における配偶者控除は、その「地域社会の会費」としての性格から、控除額が所得税における控除額よりも少なくなっており、配偶者特別控除に関しても、控除額の最高額が所得税における最高額よりも少なくなっていること。
- 一方の配偶者が所得割の納税義務者として配偶者特別控除の適用を受けている場合は、他方の配偶者は配偶者特別控除の適用を受けることはできないこと。
本問の(3)及び(4)は、複数の納税義務者間での配偶者の取扱いについての理解度を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。
- 住民税申告書や給与支払報告書等に記載されたところにより、同一生計配偶者又は扶養親族のいずれか一にのみ該当するものとされること。
- 二以上の納税義務者について同一人が同一生計配偶者又は扶養親族として住民税申告書や給与支払報告書等に記載されたとき、その他同一生計配偶者又は扶養親族のいずれかに該当するかを定められない場合は、その夫又は妻である納税義務者の同一生計配偶者とされること。
- 所得割の納税義務者の同一生計配偶者又は配偶者特別控除の対象となる生計を一にする配偶者に該当する配偶者は、死亡した配偶者又は再婚した配偶者のうち一人に限ること。
問2(25点)
本問
から
までは、個人住民税の退職所得課税の趣旨に対する理解度を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。
- 個人住民税所得割は原則として所得の発生した翌年度にすべての所得を総合して課税する方式を採用しているが、退職所得については退職した年の翌年には退職者の手元にそのまま残っていないことが多いこと等に鑑み、源泉徴収の対象となる退職所得についてはその発生年に他の所得と区分して課税することとしていること。
- 分離課税の対象となる退職所得は合計所得金額には算入されないこと。
- 分離課税に係る所得割は、その退職手当等の支払いを受けるべき日の属する年の1月1日におけるその者の住所所在の道府県及び市町村において課すること。
- 分離課税に係る所得割の税率は、道府県民税4%、市町村民税6%であり、特別徴収税額は、退職手当等の支払いを受ける者が提出した退職所得申告書に支払い済みの他の退職手当等がない旨の記述がある場合及び退職所得申告書の提出がない場合には、所得税法に規定する退職所得の金額の計算の例により算定した退職所得の金額に上記税率を乗ずることにより計算した税額となり、退職手当等の支払いを受ける者が提出した退職所得申告書に支払い済みの他の退職手当等がある旨の記載がある場合には、その支払い済みの他の退職手当等とその支払う退職手当等の金額の合計額について算定した退職所得の金額に上記税率を乗ずることにより計算した金額から、その支払い済みの他の退職手当等についての分離課税に係る所得割の額を控除した残額に相当する税額となること。
- 市町村が分離課税に係る所得割を徴収する際には特別徴収の方法によらなければならず、特別徴収義務者は特別徴収した分離課税に係る所得割について、徴収の日の属する月の翌月10日までに納入申告書を市町村長に提出するとともに、その納入金を市町村に納入する義務を負うこと。
- 退職所得申告書の提出がない場合において、その者のその年中における退職手当等の金額について適法に計算した分離課税に係る所得割の額が、特別徴収税額を上回るときは、その超える金額相当額を直ちに普通徴収の方法によって徴収しなければならないこと。このとき、納期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じた延滞金を加算して徴収しなければならないこと。
本問
は、退職所得申告書及び特別徴収票に対する理解度を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。
- 退職手当の支払いを受ける者は、その支払いを受ける時までに退職所得申告書をその支払い者を経由して市町村長に提出する必要があること。このとき、支払い済みの他の退職手当等がある旨を記載した申告書を提出する時は、その申告書にその支払い済みの他の退職手当等に係る特別徴収票を添付しなければならないこと。
- また、退職所得申告書が退職手当等の支払い者に受理された時は、その申告書は、その受理された時に市町村長に提出したものとみなされること。このとき、当該退職手当等の支払い者は退職所得申告書の提出期限の属する年の1月10日の翌日から7年を経過する日までの間、当該退職所得申告書を保存し、市町村長の求めがあった場合に提出することとされていること。
- 特別徴収義務者は、退職手当等の支払いを受ける者の各人別に特別徴収票2通を作成し、その退職の日以後1ヶ月以内に、1通を市町村長に、他の1通を退職手当等の支払いを受ける者に交付しなければならないとされていること。ただし、法人がその役員等に対して支払う退職手当等以外の退職手当等については、特別徴収票の市町村長への提出を省略できること。
【第二問】−50点−
地方税法における個人の住民税は、均等割、所得割、利子割、配当割及び株式等譲渡所得割が課されることとされている。このうち、所得割については、所得税法の所得計算等により算出した総所得金額等に、地方税法の所得控除、税額控除等を適用し、課税総所得金額及び所得割の税額を算出することとされている。
本問は、個人の住民税について、所得税法の所得計算、地方税法の所得控除、税額控除等の計算、現年分として特別徴収されることとなる税額の計算等、個人の住民税の総合的な理解を問う問題であり、その主なポイントは次のとおりである。
- (1) 給与所得、配当所得、譲渡所得、利子所得、雑所得の計算
- (2) 退職所得の課税の特例の計算
- (3) 寄附金税額控除(一般、特例、申告特例)の計算
- (4) 各種所得控除の適用判定
- (5) 住民税非課税判定 等