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出題のポイント
【第一問】−40点−
問1(20点)
本問は、国税徴収法の規定に関する基本的な理解を問う問題である。
- (1) 交付要求(徴法82)は、強制換価手続に対する配当要求効のほか、交付要求に係る国税の時効の完成猶予及び更新効を有する(通法73
五)。一方、参加差押え(徴法86)は、これらの効果のほか、先行する滞納処分が解除された場合には、遡って差押えの効力を生ずる(徴法87)等の点で交付要求とは異なる。本問は、こうした交付要求及び参加差押えの効果及び効力の異同についての基本的な理解を問う問題である。
- (2) 差押財産の換価は、原則として、公売によらなければならないが(徴法94)、一定の要件を満たす場合には、公売に代えて、随意契約により売却することができる(徴法109)。本問は、こうした差押財産の換価の方法についての基本的な理解を問う問題である。
- (3) 本問は、納税緩和制度の一つである申請による換価の猶予について、その申請手続に不備がある場合の手続等を問う問題である。補正に係る手続や効果については、国税徴収法第152条第4項において準用する国税通則法第46条の2第7項から第9項までに規定が設けられている。
問2(20点)
本問は、相続があった場合の差押え及び相続による国税の納付義務の承継に関する基本的な理解を問う問題である。
- (1) 国税徴収法第51条においては、相続があった場合の差押えに関する規定が設けられている。相続があった場合の差押えについて、同条第1項は、まず相続財産から差し押さえるべき旨を規定し、同条第2項において、相続人における差押換えの請求権に関する規定が設けられている。本問は、同条の規定の立法趣旨とともにこれらの規定についての理解を問う問題である。
- (2) 国税通則法第5条においては、相続があった場合における相続人による納税義務の承継及び納付責任に関する規定が設けられている。本問は、設例に即して承継税額等を算出することができるかを問う問題であり、同条の規定を正確に理解しているか、また、法定相続分(民法900)及び代襲相続人の相続分(民法901)の規定を理解しているかを問う問題である。
【第二問】−60点−
本問は、具体的な設例における徴収方途やその範囲を問う応用問題である。
問1(15点)
国税徴収法第53条第1項は、損害保険に付されている財産を差し押さえた場合には、その差押えの効力は、保険金の支払を受ける権利に及ぶこと等を規定している。この場合に、保険金の支払を受ける権利が質権の目的となっていたときは、国税とその質権との優先劣後は、国税の法定納期限等と質権の設定時期の先後関係によって判定される(徴法8、同法15)。本問は、これらの規定について正しく理解できているかがポイントとなる。
問2(10点)
国税徴収法においては、滞納者又はその親族が受けた勲章その他名誉の章票(徴法75
九)、発明又は著作に係るもので、まだ公表していないもの(徴法75
十一)については、差押えが禁止されている。本問は、これらの規定について、その趣旨も含めて理解しているかを問う問題である。
問3(10点)
国税徴収法第76条第4項においては、退職手当等の差押禁止に関する規定が設けられている。
本問は、設例における事実関係から差押可能額を正しく計算するために、同条の規定を正しく理解できているかがポイントとなる。
問4(25点)
滞納者が自身を判定の基礎として同族会社に該当する会社の株式を取得したことなど、一定の要件に該当するときは、その同族会社は、その株主である滞納者の国税について第二次納税義務を負う(徴法35)。
本問は、設例の事実関係に即して、第二次納税義務の要件を満たしているか、また、その限度額はいくらかについて、根拠を示して説明することができるかがポイントとなる。