出題のポイント

【第一問】−50点−

問1(25点)

 本問は、固定資産税の納期及び賦課徴収の方法に加え、固定資産税の徴収に当たり、市町村が納税者に交付しなければならない文書についての基本的理解を問う問題である。
 固定資産税の納期は、原則として、4月、7月、12月及び2月中において、当該市町村の条例で定めることとされているが、このように年四期に分けているのは、納税者の納税の便宜を考慮して、一時に多額な税負担を強いることをせず、円滑な徴収を確保しようとする趣旨に基づくものである。
 固定資産税の徴収については、普通徴収の方法によらなければならないこととされているが、本問では、さらに、固定資産税の徴収に当たって、市町村が納税者に対して交付しなければならない納税通知書及び課税明細書について、それぞれに記載すべき事項及び交付期限を問うこととしており、主に次の点への理解がポイントとなる。

  •  納税通知書に記載すべき事項については、課税内容について納税者が理解し、納得の上での納税を期待する意図から、法をもって明示されており、課税の根拠となった法律等が記載されていること。
  •  課税明細書については、納税者自身が課税内容をチェックするため極めて重要な役割を果たしており、土地については、当該土地の所在、地番等が記載され、家屋については、当該家屋の所在、家屋番号等が記載されていること。
  •  納税通知書の交付期限は、納期限との間に余裕期間をおくことにより納税者に便宜を供与するため、遅くとも納期限の10日前までとされており、課税明細書の交付期限も同様に納期限の10日前までとされていること。

 そのほか、固定資産税が納期限までに完納されない場合の督促、滞納処分についての基本的理解についても問うており、督促状による「督促」が、租税債務の履行を催促する行為であるとともに、次に来るべき滞納処分手続の前提要件をなすものであることへの理解もポイントとなる。

問2(25点)

 本問は、固定資産評価審査委員会に対する審査の申出について、基本的理解を問う問題である。固定資産税の課税客体となる固定資産は、市町村長によってその価格等が決定されるが、固定資産の価格は、納税者の負担に直接重大な影響を持つものであることから、価格に関する納税者の不服については、審査の衡平を期するため、市町村長に処理させることとせず、別個の独立した合議制の機関である固定資産評価審査委員会において、慎重に審査決定することとしている。
 更に、本問では、審査の申出に関して、その対象となる事項及びその手続等についても問うこととしており、主に次の点への理解がポイントとなる。

  •  審査の申出ができる者は固定資産税の納税者であること
  •  審査の申出ができる事項は「価格」のみとされていること
  •  審査の申出ができる期間は、一定期間に限定されていること
  •  固定資産評価審査委員会の決定に不服がある場合には、固定資産税の納税者は、裁判所に対してその取消しの訴えを提起することができること

【第二問】−50点−

 本問は、税額の計算問題を通して固定資産税制度の総合的な理解を問う問題である。
 問1は、宅地等に係る負担調整措置及び新築住宅特例についての理解を問う問題であり、問2は大規模償却資産についての理解を問う問題である。

問1(25点)

 本問は、商業地等に係る負担調整措置及び前年度から用途変更のあった宅地等に係る負担調整措置並びに新築住宅に適用される特例措置を理解した上で土地及び家屋に係る税額を適正に算出できるか、総合的な理解を問う問題である。
 商業地等に係る負担調整措置については、負担水準が0.6以上0.7以下となる場合には、宅地等調整固定資産税額が据え置かれることや宅地等調整固定資産税額に上限が設けられていること、また前年度から用途変更が行われた宅地等については、変更後の用途に係る市内の平均負担水準を用いて前年度課税標準額を算出する必要があること等を踏まえて土地の税額を算出する必要がある。
 また、新築住宅特例の適用に当たっては、床面積の要件及び居住割合の要件の充足を確認した上で120u相当分を限度に固定資産税が減額されること等を踏まえて家屋の税額を算出する必要がある。

問2(25点)

 本問は、大規模償却資産の課税主体、市町村が課税することのできる課税定額の増額の算出の特例についての理解を問う問題である。本問においては、主に次の点への理解がポイントとなる。

  1. (1) 大規模償却資産の課税標準額については、課税定額に増額分を上乗せした額までが市町村課税分となり、その限度額を超える部分が道府県課税分となること。
  2. (2) 課税定額は課税市町村の人口規模によって額が異なること。
  3. (3) 増額分について、当該償却資産が新設大規模償却資産に該当する場合には算定方法が別途定められているとともに、課税市町村の基準財政需要額又は基準財政収入額によって増額分に差が生じること。