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出題のポイント
【第一問】−50点−
問1(25点)
本問の(1)は、個人住民税の所得控除制度の趣旨に対する理解度を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。
- 所得控除は、その納税義務者の担税力に応じた税負担を求めるために、納税義務者の個人的な事情を考慮して、担税力の差異による負担の不均衡を調整する制度であること。
- 所得税は所得再分配機能を有するのに対し、個人住民税は能力に応じて広く負担するいわゆる負担分任を基調とするものであるため、扶養控除などは所得税よりも低い金額となっていること。
本問の(2)及び(3)は、担税力の差異による負担の不均衡を調整するという所得控除制度の趣旨を特に表している障害者控除及び扶養控除について、その意義及び概要についての基本的な理解度を問うものであり、次のような点について、それぞれの控除の特徴を押さえつつ、正確に説明することができるかがポイントとなる。
- 障害者控除は、納税義務者自身が障害者である場合又は納税義務者が障害者である控除対象配偶者若しくは扶養親族を有する場合に、税制上の配慮を行う仕組みであること。
- 所得割の納税義務者又は同一生計配偶者及び扶養親族が障害者に該当する場合には、26万円(特別障害者に該当する場合は30万円)をその者の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除すること。
- 扶養控除は、納税義務者が扶養親族を有する場合に、税制上の配慮を行う仕組みであること。
- 納税義務者が控除対象扶養親族を有する場合には33万円を、特定扶養親族を有する場合には45万円を、老人扶養親族を有する場合には38万円を、同居老親等扶養親族を有する場合には45万円を、それぞれその者の前年の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除すること。
- 年齢16歳未満の扶養親族に係る扶養控除及び年齢16歳以上19歳未満の扶養親族に係る特定扶養親族に係る上乗せ部分(個人住民税では12万円)は、平成24年度分の個人住民税より、それぞれ廃止されたこと。
- 令和6年度分の個人住民税より、国外居住親族は年齢29歳以下の者又は高齢者である年齢70歳以上の者などに限って控除の対象とされたこと。
- それぞれの控除は、個人住民税の「地域社会の会費」としての性格から、控除額が所得税に比べて少なくなっていること。
問2(25点)
本問
から
までは、個人住民税の給与所得者に対する特別徴収制度の趣旨に対する理解度を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。
- 特別徴収の対象となる納税義務者の範囲は、納税義務者が前年中において給与の支払を受けた者であり、かつ、当該年度の初日において給与の支払を受けている者(特別徴収の方法によって徴収することが著しく困難である者を除く。)であること。
- 1月1日現在において給与の支払いをする者で、当該給与の支払いをする際に所得税の源泉徴収義務があるものは、市町村の長へ給与支払報告書を提出しなければならないこと。
- 市町村は、特別徴収の方法によって個人住民税を徴収しようとする場合には、当該年度の初日において給与の支払いをする者のうち、所得税の源泉徴収の義務がある者を、条例によって特別徴収義務者に指定し、かつ、特別徴収義務者及びこれを経由して納税義務者に、前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額を特別徴収の方法によって徴収する旨を通知しなければならないこと。
本問
は、個人住民税の給与所得者に対する特別徴収制度の電子化に対する理解度を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。
- 給与支払報告書を提出する義務がある者で、所得税の給与所得に係る源泉徴収票の記載事項についてe-Tax等による提出が義務付けられるもの(前々年に所得税の給与所得に係る源泉徴収票の提出すべきであった枚数が100枚以上である者)は、給与支払報告書記載事項について、地方税関係手続用電子情報処理組織(eLTAX)等により市町村の長に提供しなければならないこと。
- eLTAXを通じて給与支払報告書を提出する特別徴収義務者(特定特別徴収義務者)が、特別徴収義務者に対する特別徴収税額通知の電子的な提供を希望する場合、市町村の長は、当該通知の通知事項を、eLTAXを通じて提供しなければならないこと。
- 特定特別徴収義務者のうち、納税義務者に通知を電子的に送付できる体制を有する者が、納税義務者に対する特別徴収税額通知の電子的な提供を希望する場合、市町村の長は、当該通知の通知事項を、eLTAXを通じて特定特別徴収義務者に送信し、これを経由して当該納税義務者に提供しなければならないこと。
【第二問】−50点−
地方税法における個人の住民税は、均等割、所得割、利子割、配当割及び株式等譲渡所得割が課されることとされている。このうち、所得割については、所得税法の所得計算等により算出した総所得金額等に、地方税法の所得控除、税額控除等を適用し、課税総所得金額及び所得割の税額を算出することとされている。
本問は、個人の住民税について、所得税法の所得計算、地方税法の所得控除、税額控除等の計算、現年分として特別徴収されることとなる税額の計算等、個人の住民税の総合的な理解を問う問題であり、その主なポイントは次のとおりである。
- (1) 給与所得、配当所得、一時所得、利子所得、不動産所得、雑所得の計算
- (2) 退職所得の課税の特例の計算
- (3) 寄附金税額控除(一般、特例、申告特例)の計算
- (4) 各種所得控除の適用判定
- (5) 住民税非課税判定 等