出題のポイント

【第一問】−50点−

問1(25点)

 本問は、固定資産税の納税義務者に対する情報開示制度のうち、縦覧制度、固定資産課税台帳の閲覧制度及び台帳記載事項の証明制度の3つについて、基本的な理解を問う問題である。
 これら3つの制度は、いずれも固定資産税に対する納税者の信頼を確保するための制度であり、縦覧制度は、固定資産税の納税者が、他の土地や家屋の評価額との比較を通じて、自己の土地や家屋の評価額が適正かを判断するために設けられているものであり、固定資産課税台帳の閲覧制度及び台帳記載事項の証明制度は、納税義務者等が固定資産課税台帳の記載内容を確認するために設けられているものである。
 また、縦覧は、毎年4月1日から、4月20日又は当該年度の最初の納期限のいずれか遅い日以後の日まで行うことができることとされている一方、固定資産課税台帳の閲覧及び台帳記載事項の証明は、請求できる期間に制限がなく、いつでも行うことができることとされている。
 このほか、縦覧ができるのは納税者に限られているが、固定資産課税台帳の閲覧及び台帳記載事項の証明は、納税義務者以外の賃借人等も活用ができるなどの違いがあり、本問は、それぞれの制度の趣旨だけでなく、具体の制度の違い等について、正確に理解していることがポイントとなる。

問2(25点)

 本問は、固定資産課税台帳及び固定資産税の納税義務者についての基本的な理解を問うものである。
  固定資産課税台帳は、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳を総称したものであり、各市町村は固定資産課税台帳を備えなければならず、固定資産税は、この固定資産課税台帳に登録されたところによって課税される。すなわち、固定資産税は、固定資産課税台帳に登録された価格等を課税標準とし、固定資産課税台帳に登録された所有者に課される台帳課税主義をとっている。
 固定資産税は固定資産の所有者に課税されるものであるが、本問では、さらに、具体の事例における納税義務者の取扱いについての理解を問うこととしており、主に次の点への理解がポイントとなる。

  •  不動産登記法による既登記の土地又は家屋については、登記簿に所有者として登記されている者をもって固定資産税の納税義務者たる固定資産の所有者とし、その者に固定資産税が課されること。
  •  賦課期日現在において未登記の家屋であっても、当該家屋の現実の所有者は家屋補充課税台帳に登録され、固定資産税が課されること。
  •  土地又は家屋の登記簿上の所有者が死亡した場合、登記簿上の所有権の移転登記がなされない限り、当該登記簿上の所有者(旧所有者)が登記されたままの状態となるが、この場合においては、賦課期日現在において現に土地又は家屋を所有している者(相続人等)に対して固定資産税が課されること。

【第二問】−50点−

 本問は、税額の計算問題を通して固定資産税制度の総合的な理解を問う問題である。
 問1は、地目が田、畑又は山林である土地の税額の計算についての理解を問う問題であり、問2は償却資産(移動性償却資産)についての理解を問う問題である。

問1(25点)

 三大都市圏の特定市の市街化区域農地(以下「特定市街化区域農地」という。)、一般農地及び山林について、負担調整措置を含めた税額の計算方法の基本的な理解を問うものである。農地の税額算定に関しては、特定市街化区域農地については、一般の農地や三大都市圏の特定市以外の市街化区域農地とは異なる負担調整措置を適用する必要があること、また山林の税額算定に関しては、宅地等に係る負担調整措置を適用する必要があること等を踏まえて、税額の算定を行う必要がある。

問2(25点)

 償却資産の課税標準額については、資産ごとに異なる耐用年数に基づく減価償却、課税標準の特例措置の適用があるほか、移動性・可動性償却資産については配分規則に基づき関係市町村への価格の配分が行われる。
 本問は、船舶の税額算定を通じて、これらの規定の適用に関する基本的な理解を問うものである。資料で与えられた条件に基づき適切に課税標準の特例措置を適用するとともに、固定資産の価格の各市への配分に当たっては、対象船舶が外航船舶で、てい泊港が特別とん譲与税法に規定する開港以外の港である場合の入港回数の計算方法に留意するなど、与えられた資料に基づき適切に各市への配分を計算する必要がある。