出題のポイント

【第一問】−50点−

問1(30点)

 法人の期限後申告納付及び修正申告納付並びに更正の請求について基本的な理解を問う問題であり、主なポイントは次のとおりである。

  1. (1) 期限後申告納付及び修正申告納付
    •  申告書の提出期限後においても、課税標準又は税額の決定の通知があるまでは申告納付することができること
    •  申告書等に記載した課税標準額又は事業税額に不足額がある場合には、自主的に修正申告納付しなければならないこと
    •  事業税の計算の基礎となった法人税の課税標準について税務官署の更正又は決定を受けたときは、当該更正又は決定に係る課税標準額を基礎として修正申告納付しなければならないこと
    •  2以上の道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人(以下、「分割法人」という。)については、関係道府県ごとに修正申告納付しなければならないこと
  2. (2) 当該普通法人が更正の請求をできる場合
    •  申告納付すべき税額が過大であるとき等の場合に、その申告書に係る事業税の法定納期限から5年以内に限り道府県知事に対し、更正の請求をすることができること
    •  判決等があった場合には、判決等によりその事実が確定した日の翌日から起算して2月以内に更正の請求をすることができること
    •  その他、法人事業税においては次の場合に更正の請求ができること
    1. 1 前事業年度分の更正等があった場合
    2. 2 法人税の更正又は決定があった場合
    3. 3 分割基準に誤りがあった場合

問2(20点)

 複数の事業を併せて行う資本金1億円超の法人の事業税額の算定に当たり留意すべき点について、鉄道事業と小売電気事業とを併せて行う法人を例に、正しく理解しているかを問う問題であり、主なポイントは次のとおりである。

  1. (1) 課税標準の算定に関する留意事項
  2. 鉄道事業と小売電気事業は課税方式が異なることから、各事業の課税標準の算定に当たって、1各事業部門の共通の収入・経費の取扱い、2資本金等の額の按分について正しく理解しているかがポイントとなる。

  3. (2) 分割基準に関する留意事項
  4. 分割法人は事業の区分に応じた分割基準により関係道府県ごとに分割し、その分割した額を課税標準として、関係道府県ごとに事業税額を算定する。このとき分割法人が2以上の分割基準を適用すべき事業を併せて行う場合は、これらの事業のうち主たる事業について定められた分割基準によるものとされている。
     ただし、鉄道事業及び軌道事業(以下、「鉄軌道事業」という。)とその他の事業とを併せて行う場合にあっては、鉄軌道事業はその他の事業とは区分して独自の分割基準が適用される。これらの規定について正しく理解しているかがポイントとなる。

  5. (3) 税率に関する留意事項
  6. 各事業の区分に応じた割ごとの標準税率及びいわゆる制限税率について、正しく理解しているかがポイントとなる。

【第二問】−50点−

問1(25点)

 資本割額の算定について正しく理解しているかを問う問題であり、主なポイントは次のとおりである。

  1. (1) 資本割の課税標準の算定方法
  2. 資本割の課税標準となる資本金等の額は、法人税における資本金等の額を基礎としつつ、地方税独自の調整を加えたものである。 資料を基に1無償増資に係る加算、2資本金の額及び資本準備金の額の合算額との比較、3資本金等の額の月割計算、4控除額の算定(特定子会社の株式等に係る控除、外国事業に係る控除)及び5圧縮措置といった項目を、正しい順序で処理できるかがポイントとなる。

  3. (2) 分割基準及び分割課税標準額の算定方法
  4. 適切な分割基準を用い、資料を基に正しい分割基準の数値及び分割課税標準額を算出できるかがポイントとなる。

  5. (3) 税額の算定
  6. 各県の適切な税率を用い、各県の税額を正しく算定できるかがポイントとなる。

問2(25点)

 個人の事業税額の算定について正しく理解しているかを問う問題であり、主なポイントは次のとおりである。

  1. (1) 課税客体の判定
  2. 個人事業税の課税客体となる事業は法令に定めがあり限定列挙されているが、資料を基に個人の行う各事業に係る課税客体の判定について正しく行えるかがポイントとなる。例えば不動産貸付業及び駐車場業については、アパートの室数や駐車場の台数、屋内駐車場か否かにより事業性の判断が異なることに注意が必要である。

  3. (2) 個人の事業税の課税標準の算定方法
  4. 個人の事業の所得は、原則として所得税の所得の計算の例によるが、その計算の例によらない事項や各種の控除を適切に処理できるかがポイントとなる。本問の場合、事業者は、所得税法に規定する青色申告書を提出することにつき国の税務官署の承認を受けていない事業者(いわゆる白色事業者)であることに注意が必要である。

  5. (3) 2以上の道府県において行う事業に対する課税標準の按分
  6. 個人事業税では、所得の総額を事務所又は事業所の従業者の数で按分して定めることとされており、資料を基に正しく按分できるかがポイントとなる。

  7. (4) 税額の算定
  8. 各県の適切な税率を用い、各県の税額を正しく算定できるかがポイントとなる。