出題のポイント

【第一問】−30点−

 酒税法の理解を幅広く問うものです。

問1(15点)

  1. (1) 酒税は、原則として製造場から移出されるときと保税地域から引き取られるときに納税義務が発生します。これは、いつでも消費され得る状況に置かれるからです。
     酒税は酒類が消費されることを前提として課される趣旨から、たとえ製造場の外へ移出していない場合であっても酒税の納税義務が成立する場合があり、本問は、納税義務の成立について理解しているかを問うものです。
  2. (2) 酒母ともろみは、酒税法上の酒類としては扱っていませんが、酒類となる直前の段階であるため、酒税法では、酒母又はもろみの製造にも、別途、製造免許が必要としています。
     しかし、特定の場合には、製造免許を要しない場合があり、本問は、酒母ともろみの製造免許の要否について理解しているかを問うものです。
  3. (3) 酒税は、製造場から移出されるときと保税地域から引き取られるときに納税義務が発生します。
     保税地域から酒類を引き取る際の納税方式には、申告納税方式と賦課課税方式があります。
     申告納税方式には関税法の特例申告があります。
     どういった場合にどの方式が適用されるか、特例の内容は何か、本問は、保税地域から引き取る酒類に係る酒税の申告の取扱いを理解しているかを問うものです。
  4. (4) 酒税法では、酒税の保全のために的確な検査取締りを行う必要があるため、酒類製造者に対して記帳義務や届出義務等を課しています。
     酒類の製造場又は保税地域以外の場所で酒類を詰め替える場合に必要な手続は何か、本問は、この詰め替えの届出義務について理解しているかを問うものです。
  5. (5) 災害により亡失等した課税済の酒類については、その被災酒類に課された酒税を控除又は還付する措置があります。
     他方で、保険等により損失の補填を受ける場合も考えられます。
     どのような場合に酒税相当額が控除されるか、本問は、被災酒類に係る酒税の救済措置の適用要件を理解しているかを問うものです。

問2(15点)

 酒税の納付期限の延長に関し、関税法の特例輸入者の場合と特例輸入者以外の場合の取扱いの相違点について理解しているかを問うものです。

【第二問】−70点−

 本問は、事例を基に製造場から移出した酒類について、1酒類の品目、2その判定理由、3その酒類の課税標準数量に対する酒税額、4控除を受けようとする酒税額、5納付すべき酒税額までの算出を求める問題です。
 現行酒税法では、酒類をその原料、そして醸造、蒸留、混和の製造方法や、発泡性といった性状の違いによって、17品目に分類し、それぞれに異なる税率を適用して酒税額を計算することとなっており、これが酒税の課税上の基本となっています。
 そこで、

  1. (1) 製造方法等による酒類の区分を理解しているか。

  2. (2) 各品目の税率の計算方法を理解しているか。

  3. (3) 酒税の課税標準の規定や免税の規定を理解しているか。

  4. (4) 租税特別措置法に定める酒税の税率の特例の規定を理解しているか。

  5. (5) 戻入控除の適用要件及び控除額の計算方法を理解しているか。

という観点から出題しております。
 具体的には、品目判定について、例年と同様8つの酒類を出題し、

  1. 1 原料、製造方法等を踏まえた酒類の品目判定及び判定に至った理由、
  2. 2 品目を判定した酒類に対する課税標準数量、
  3. 3 酒類の品目ごとに適用すべき税率と酒税額、
  4. 4 酒税額から控除することのできる戻入控除の適用を受ける数量、
  5. 5 最終的に納付すべき酒税額

の、大きく5点について、計算過程とともに記載を求め、その理解を問うものです。